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早めの帰省

 とりあえず、どうにもならないのなら受け入れるしかない。ソルシーに念を押して確認しなかった私の責任でもあるから。納得はできないけど。


「あ、もしかしたらなんですが、幼児退行が起こるかもしれません。ヴィリー様くらいの歳に服用させた例があまりないので確実とは言えませんが、副作用としては一応、身体の年齢に精神が引っ張られるとあるので気をつけてください。まあ、様子を見る限りはばっちり起きてそうですけど。でもヴィリー様、昔から大人びたところがあったので大丈夫でしょう。今よりも頑固で我儘でシスタ様に執着するくらいですし」


碌なこと言われてないな私。


「その点ソルシーは今も昔も変わらないからいいよね〜」

「むっ、嫌味ですか?」

「そうだよ。それ以外に何があるの?」

「一気に可愛げがなくなりましたね」

「そうですか。それは残念ですね〜」

「お姉様、それ以上はダメですよ。ソルシー様が原因とはいえ、わざとではないのですから」


シスタにそう言われると何も言えなくなってしまう。


「分かった」

「良い子です」


なんか、シスタ私を下として扱ってない? 見た目のせい?


「とりあえず今の問題は服ですね。ここにヴィリアラ様に合う服はありませんから。流石に一日では仕立てることは不可能ですし」

「家ならお姉様の服あると思いますけど」

「え、この格好で帰るの?」

「でもそれ以外方法はありませんし」

「事前に連絡を差し上げずに伺ってもよろしいのでしょうか?」

「事情を話せば分かってくれると思います。家にはラウザもいますので、お姉様がダメでも私がいればなんとかなると思います」

「見せた方が早いですしね。あなたも行くのよ。ちゃんと公爵様方に報告して謝りなさい」

「え⁉︎ あ、あ〜、スティーディアに任せるよ……」

「あなたが一番分かっているのだから、あなたが説明しなさい。安心しなさい、私も付き添うから。ほら、観念して早く着替えてくる」

「もー、分かったよ。ヴィリー様、何かあったら私を庇ってください、お願いします。本当にお願いします!」

「内容次第」

「本当にお願いしますね!」


 こうして、五人で少し早い帰省をすることになった。


「ほ、本当にヴィリアラお嬢様ですか⁉︎」

「本当だよ」

「魔法薬ってすごいですね……。あ、どうぞ、おかえりなさいませ」

「どうも」


時間かかるかと思ったけど、あっさりと通してもらえた。ここの門番大丈夫か? シスタ達がいたとはいえ、こんな奇想天外な話信じるとか。もし私が偽物だったらどうする。一応幼少期の私か分かる人に確認くらいするでしょ。念の為両親に報告だな。


「え⁉︎ ヴィリアラお嬢様⁉︎」

「どうしてこのような可愛らしいお姿に……?」


すれ違う人全員同じような反応をして見せた。長く勤めている人に関しては私のこの姿を懐かしんでいるようだった。


「はぁ、ようやくついた」

「皆さんに声を掛けられてましたからね」

「そうだね。さてと、どちらか居てくれると助かるんだけど」


できれば父親が。


 私は両親がよく仕事で使っている部屋をノックした。


「どうぞ」


聞き親しんだ穏やかな女性の声が聞こえて、私はあからさまにテンションが下がった。怒られないといいな。


「失礼します」

「あら、おかえりなさい。それにしてもこんなに大勢だなんて。連絡を見逃してしまったのでしょうか」


母親は一瞥しただけのせいか、私のことにはまだ気づいていないようだ。


「それにしてもヴィリアがいないなんて珍しいですね。シスタの側から離れるなんて、あの子も少しは変わり始めているのでしょうか」

「あ、いや、いますよ、ここに……」


弱々しく出した声に母親が反応すると、誰よりも驚いた顔をした。


「え⁉︎ ヴィリア⁉︎ どうしてこんなことに!」


母親はそう言いながらシスタから私を受け取った。


「ほら、ちゃんと説明しなさい」

「はい……。実はですね──」

「すみません、少し待ってもらえますか? 主人も連れてくるので」


ソルシーの言葉を遮り、母親は私を抱っこしたまま父親の元へ向かった。

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