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魔法の可能性

 三日後、時間を作ってソルシーの部屋を訪れた。


「私、ヴィリー様はもう少し早く来てくれると思ってました」

「シスタが今日用事あるらしくて、一緒にいられないから来たんだよ」

「私は二の次ですか。冷たいですね」

「逆にどう考えたらシスタより優先してもらえると思ったの?」

「どう考えてもシスタ様に敵うことなんてありませんよ。まあいいです、その辺に座ってください」


つい先日ティディが掃除したばかりだと言うのに、もう散らかってるよ。一応足の踏み場とかはあるけど、来週にはもうアウトだな。リシアは大丈夫かな? あれから部屋見てないけど、もう戻ってるなんてことないよね? 


「実はヴィリー様にちょっと手伝ってもらいたいことがありまして」

「何? 例の試験のことじゃないの?」

「まだ結果出てないじゃないですか〜。それはまた今度です! てことで、今日はこの箱の中にヴィリー様の魔法を入れてほしいのです!」


ソルシーは二つの透明な箱を私の前に置いた。この世界にプラスチックなんてないのに、一体どうやって手に入れたのやら。


「何これ?」

「とりあえずこの中に魔法を発現させてください!」

「いやまあ別にいいけどさ」


私は氷と風の魔法を箱の中に入れた。


「ありがとうございます!」


ソルシーが杖で箱を二回ずつ叩くと、魔法が魔力と思われる塊へと姿を変えた。


「本当に何これ?」

「魔力って魔法になってしまうと流れが見えなくなっちゃうじゃないですか。そんな時にはこれ! これは、私が作った魔法を魔力に変換する魔道具です! これを使って属性の研究を進めているんですよ! すごいと思いませんか!」


この人本当に魔法関連に関しては有能なんだな。他がダメだけど。


「これ見て何か分かるの?」

「分かりますよ。しっかり見てみてください」


そう言われて顔を近づけて見てみる。


「先に言っておきますね。操作型と生成型の大きな違いの特徴として、魔力の密度が違うんです。ですから、生成型の方が難しく、また、魔力の消費が激しいのです。それ以外に気づくことはありませんか?」

「なんか、こうして見ると作りが違うね。風の方は魔力の流れが不規則なのに対して、氷は決まっている。あと、作りもちょっと違う。風はなんて言うかフニャフニャなのに対して、氷はしっかりしているというか」

「そう! それなんですよ! これこそ多属性持ちへの第一歩なんです! この魔力の作りの理解をもっと深めれば、私もヴィリー様みたいに複数の属性を使えるようになるはずです! そもそも、ヴィリー様のおかげで複数の属性を所持できることは証明できましたからね。感謝していますよ。ありがとうございます!」


なんやかんやソルシーのこの性格に救われている部分があるなとちょっと思う。

ソルシーの目標を知っていたからこそ、最初こそ風魔法を使える事を黙っていようと思っていた。先を越された事に対して嫉妬されるのではないか、嫌味を言ってくるのではないか、もしかしたら八つ当たりされるのではないかと思っていたから。でも、私のその心配なんて露知らず、ソルシーに伝える決意を固めるのに費やした時間を無駄だと言わんばかりに私の二属性を褒めて、むしろ誇らしいとすら言ってくれた。

その時思った。ソルシーは魔法が使えることが嬉しいのではなく、魔法自体が大好きなんだって。だから、魔法の可能性が広がる事を何よりも嬉しく思っているんだ。たとえ自分が見つけたものでなくとも。


「どうしましたか、ヴィリー様?」

「楽しそうだなって」

「それはそうですよ! 目標にまた一歩近づけるんですから!」

「そっか。ちなみに、お茶くらい出ないの?」

「え? お茶なんてありませんよ」

「前出してなかった?」

「あれはスティーディアが持ってきた物ですから。私がお茶を買うことなんて滅多にありませんよ。水さえあれば水分には困りませんし。浄化は自分でできますからね」


ふふんと自慢げにしているが、何も自慢になっていないからね。むしろ客人にお茶すら出せない事を恥じるべきだと思うよ。


「じゃあ水でいいよ」

「台所にある瓶は浄化しているやつなので、好きに飲んでもらっていいですよ」

「どうも」


どうせソルシーのことだからお菓子すらないんだろうな。こんなことなら作って持ってくれば良かったよ。


「コップは〜?」

「その辺にあるの使ってください」

「えっ」


まさかとは思うが、この洗い物の山から見つけろってこと? はは、いや、まさかね。

そう思って別のところを探したが、結局戻ってきてしまった。

どうにか見つけ出したが、いつのか分からない以上そのまま使いたくないので、綺麗に洗ってから水を注いだ。なんで他人の部屋に来てまで洗い物しないといけないんだと思う。


「なんかこの水甘い気がするんだけど、大丈夫なやつ?」

「ずっと普通の水だと飽きるじゃないですか。だからたまに味つけたりしてるんですよ」

「ふーん」


砂糖水みたいなものか。

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