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プレゼント

 除け者にされている事に耐えかねたのか、アドラが話に割って入ってきた。


「何二人でコソコソ話してるの? 僕仲間外れ?」

「アドラがどんどん先に行くからでしょ」

「だって疲れたんだもん。ボスおぶってよ」

「絶対嫌だ。あとちょっとなんだから自分で歩きなさい」

「はぁ、僕の足を虐めるなんて。ボスにそういう趣味があったとは」

「誤解を招くような事言わないで」

「じゃあおぶってよ」

「そもそもこの荷物が目に入らないの?」

「何をそんなに買ったのさ」

「プレゼントだよ」

「シスタちゃんもそんなにぬいぐるみを貰ったら困るでしょ」

「誰がシスタだけの物と言った」


 丁度リシアの部屋の前に着いたので、私は袋の中からぬいぐるみを一つ取り出す。


「それ──!」


リシアは私の手の中にある茶色のテディベアを見て目を見開いている。


「はい、リシア。今日は付き合ってくれてありがとう。綺麗な部屋で大切にしてあげてね」


リシアは私の手からそっと受け取ると、ぬいぐるみの顔をじっと見つめ、大切そうに抱きしめた。


「本当に良いのですか?」

「良いよ。今日のお礼」

「でも私、何もしていませんし」

「ぬいぐるみをあげるのはリシアの案だよ。それに、今日楽しかった。だから、ありがとう。私の感謝の気持ち受け取ってくれる?」


リシアは嬉しさからか、ほんの少し目を潤ませた。


「はい、ありがとうございます」


 リシアを部屋に戻し、私はアドラと二人になった。


「リシア、凄く喜んでいたね。あんな事言っていたくせに、最初っからあげるつもりだったんでしょ」

「ううん。最初はシスタのプレゼントしか買わなかった。でもね、あんな風に見ていたら思わずあげたくなっちゃうよ。昔から今も変わらず本当に欲しかったんだなって思ってね。おかげでリシアの誕生日にはまた違う物を考えないといけなくなったけど」

「変わらずね。たしかに、昔手に入らなかった物は成長しても心にずっと残るからね」

「だろうね。だから、はい」


私はアドラに小さい色違いの犬のぬいぐるみが三匹入ったカゴバックを渡した。


「え、何これ」

「欲しかったんでしょ、ぬいぐるみ」

「え、いや、なんで」

「何が?」

「だって僕、男だよ。いくら僕が可愛いからって、男がぬいぐるみなんて──」

「好きに性別なんてないよ。ぬいぐるみが好きな男がいたって別にいいじゃん。何がおかしいの?」

「それは……」

「私はアドラの事情なんて知らない。だけど、人の好意くらいちゃんと受け取りなよ。礼儀として」


そう言うと、ようやく受け取る気になってくれたようだ。


「ありがとう、ボス。そういうところ本当に大好き」

「そうですか。じゃあ、私はこっちだから。大切にしてよ」

「するよ。だって、もう僕の宝物だから」

「そう言ってもらえて何より」


 手を洗ったりなど多少の身なりを整えてからシスタの部屋に向かう。


「遅れちゃったけど、お誕生日おめでとう、シスタ」


私は丁寧にラッピングされたプレゼントをシスタに渡す。


「ありがとうございます、お姉様。開けても良いですか?」

「もちろん」


シスタは丁寧に包装を解くと、姿を現したぬいぐるみを二匹とも抱き上げた。


「可愛い」

「何をあげれば良いか分からなかったから、リシア達にも協力してもらったんだ」

「だからぬいぐるみなんですね。ありがとうございます、お姉様。……お姉様、この子を持ってもらっても良いですか?」

「いいよ」


シスタはそう言ってネコのぬいぐるみを私に持たせた。


「なんだかお姉様みたいですね、その子」


ちょっとおかしそうにシスタは笑った。


「そんなに似てる?」

「はい、そっくりです。そうなりますと、この子は私ですか?」

「うん。何だかシスタみたいだなって思ってね。思わず手に取ったんだ」

「お姉様にはこんなに可愛く私が見えているんですね」

「違うよ。もっと可愛く見えてる。昔から言ってるでしょ、シスタは誰よりも何よりも可愛いって」

「ふふ、お姉様は相変わらずですね。ありがとうございます、大切にしますね」

「うん。シスタが喜んでくれて良かったよ」


その後、シスタはネコにリン、ウサギにエルと名付けて可愛がってくれているようだ。ちなみに、名前の由来は教えてくれなかった。秘密と言った時のシスタ、すごく可愛かった。

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