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購入

 支払いの時にぬいぐるみ店を教えてもらい、どうにか辿り着くことができた。予想以上に高い情報代となってしまった。思わずため息が出てしまう。母親に何も言われないよね? 今更になって高い出費に心配が出てきた。


「いらっしゃいませ」 


 流石は高級店が教えた店。店内だけでなく店員にすら気品が溢れているよ。そして、予想を裏切らない値段。


「か、可愛い──!」


リシアが目を輝かせるのは分かっていたけれど、アドラも目をキラキラとさせていた。


「シスタ様にはどれをあげるんですか?」

「それを今から見るんだよ」

「じゃあ私そこで座ってるので、終わったら教えてくださいね」


興味のない事にはとことん冷めるんだなこの人。


「うーん」


 やっぱりクマが多いな。テディベアはどの世界でも人気ってことか。


「シスタはどの動物が好きなのかな……」


ウサギとか似合いそうだな。特にこの白いウサギとか。黒目だし、ふわふわだし、何だかシスタみたい。このウサギのぬいぐるみを抱えたシスタとか尊いの極み! さらにウサ耳なんてつけたら私はもう死んじゃうよ。ま、この世界にそんな物ないけど。ちょっと残念。……いっそのこと作ろうかな?


「悩んでる?」

「まあね。シスタはどんなのが好きかなって思って」

「シスタちゃんの好きな物なんて簡単じゃん。決まってないなら僕が選んであげるよ。というかもう見つけてあるし」


そう言ってアドラは私の手を引っ張った。


「これなんてどう?」


アドラが選んできたのは、淡い紫色の目をした茶色いネコのぬいぐるみだ。


「いいね、可愛いじゃん」


触り心地もモフモフで気持ち良い。おすわりのポーズだから飾るのも容易だし、中々良いかもしれない。


「でしょ! 紫色のリボンをつけたら完璧だよ」

「何で紫?」

「え、だってなるべくボスに近いぬいぐるみを選んだんだもん。ボスの性格的にもネコがピッタリだし」

「なんか複雑に思えてきた」

「でも、シスタちゃんは喜ぶと思うよ。ボスのこと大好きだし」

「いや、だとしても……」

「このぬいぐるみなら、シスタちゃんもボスが近くにいる気がして安心するんじゃないかな?」


こいつは本当に口車に乗せるのが上手いんだから。

結局、私が最初に良いなと思ったウサギのぬいぐるみとこのネコのぬいぐるみをプレゼントする事にした。


「リシア──」


リシアはじっと一つのぬいぐるみを触りもせず、ただただ見ていた。きっと、昔もあんな風にショーウィンドウ越しに見ているだけだったんだろうな。


「すみません、いくつか追加させてください」


 今度こそ買い物を終わらせ、私達は寮に戻った。


「では、三人とも気をつけて帰ってくださいね! あ、ヴィリー様は明日以降暇な時に私の部屋に来てください! 私はこれで失礼します!」


学園に着いて早々、ソルシーは元気な足取りで自室へと向かっていった。シスタにあげるとか言ってた香水の件は絶対忘れてるな。


「元気な方ですね」

「能天気なだけだよ。私達も帰ろうか」

「そうだね。僕もう疲れたよ」


アドラが私達より一歩前に出ると、リシアが私にだけ聞こえるように話しかけてきた。


「ヴィリアン様、前した質問のこと覚えていますか?」


覚えていますよ。何とか回避できたと思ったのに、ここで戻ってきたか。


「覚えてるよ。どうやったら意識してもらえるかだよね」

「はい」

「私に聞かれてもやっぱり分からないしか答えられないよ。強いていうなら、そうだね、笑顔でいることだね。リシアは笑顔が一番可愛いから」


今は無難な答えで許してほしい。私もいつか時がきたら話すようにするから。


「ありがとうございます」

「うん、可愛い。すっごく」


そうだよ、その笑顔が一番だよ。ずっとその笑顔を絶やさないで。私の事を知ったとしてもね。それが私への救済にもなるから。

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