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不気味な店

 二日後、私はソルシーの部屋に来ていた。


「まだ準備終わらないの? もう皆集合してるんだけど」

「あと少しですから。肌寒くなりましたからね〜、一応防寒着をと」


大抵の乙女ゲームは春スタートだろうが、このゲームは秋スタートなのだ。だから、今は十一月、間違っても肌寒いのレベルじゃない。ソルシーはインドアだから、その辺の感覚が狂っているのだろう。


「よし、良いですよ! 行きましょう!」

「やっとか」


 我が家の馬車に乗り込み町まで向かう。


「うわっ、思ったより寒い。可愛い僕が風邪を引かないように暖めて」

「そこに服屋あるから自分で買ってこい」

「冷たいな〜。体だけでなく心も冷えちゃうよ」

「勝手に冷えてろ。リシアは寒くない? 特に足」


リシアは制服だから、下スカートなんだよね。女子高生とか制服でよく足出してるけど、あれ気合いなんだよね。めちゃくちゃ寒い。正直凍えている。


「少し肌寒いですが、今のところ問題ありません」

「寒かったら言ってね。ソルシーからローブ剥ぎ取るから」

「なんで私のなんですか! ヴィリー様がコート脱げば良いじゃないですか!」

「私の大きいじゃん。いいから早く行くよ。まずはソルシーの買い物なんでしょ、早く案内して」

「ヴィリー様はせっかちですね」


 案内された先は人生で絶対にお世話になりたくないと思ってしまうほど怪しい外観と内装の店舗だった。


「え、ここ?」

「そうですよ〜」

「もしかして僕達知らず知らずのうちに危ない橋を渡らされているんじゃ……」

「失礼ですね。私がやらかしたことなんて一度だけです」


いや、逆に不安になる言い方なんだけど。


「いいから入りますよ」


 かなり強引に狭い店舗の中に入らされた。今回は護衛の任も引き受けられてるから、ソルシーから離れることも叶わない。


「誰もいませんね」

「いると思うよ。前言った例の物用意できましたかー」


ソルシーが声を張り上げると、奥の方からガサガサと音が鳴った。店の様子を見ても思うが、魔法使いって片付けられない人が多いんだな。


「できてますよ〜。かなり面倒な品を頼んでくれましたね」

「ご存知の通り今学園で先生やってるんですよ。おかげで部屋も用意してもらえますし、その分お金が浮くんですよ〜。あれ? 店主さんじゃありませんね」

「父さんはしばらく帰ってきませんよ。だから、しばらくは僕がここの店主です」


薄暗い光に灯されて見えた顔は、見知った人物だった。


「スラグさん?」

「ヴィリアン様じゃないですか。そっか、ヴィリアン様学園生ですもんね。ああ、だからウィザルド様が教師してるんですか。ヴィリアン様教えられる人あんまりいないですしね」

「お知り合いの方ですか?」

「うん。私が魔法の教師をしていた時の同僚」

「え、魔法を教えられていたのですか?」

「ソルシーに騙される形でね」

「人聞きが悪いですね」

「魔法以外でウィザルド様の言葉を真面目に受け取ってはいけないって有名ですからね。騙されたのはヴィリアン様の落ち度ですよ。はい、商品に間違いないか確認してください」


スラグさんは重そうな音を立てて木箱を台に置き、蓋を開けた。


「こ、これ何に使うの?」

「材料的に薬でも作るんじゃないですか? こんなでもやっぱり凄い人ですね。魔法薬は作成に資格が要りますし、魔道具以上に難しくてお金のかかる趣味ですから。呪法が使えることが最低条件ですし。僕は一生できません」


魔法薬で有名な物は前世でもお馴染みポーションだが、まあ、他にも色々とある。色々と。作れる人が限られているから、効能が弱い物でもそれなりに高い。前世で例えると、中古車から高級車くらいの値段の振れ幅がある。


「その分良いものが作れた時のリターンが大きいんですよ。うん、問題ないですね。ありがとうございまーす。じゃあ次はこれをお願いしますね〜。これお金です」

「うへ〜、また面倒な物を。もうご自身で収集した方が時間と金銭的にも良いと思いますよ。ウィザルド様のことですから、採取の資格も持ってますよね?」

「私は属性の研究もしているので、そんなに暇じゃないんですよ。お金は渡しておくので、よろしくお願いしますね。用意できたらまた学園に手紙をお願いしまーす」

「はいはい分かりましたよ。どうもご贔屓に。ヴィリアン様もまた」


スラグさんは足取り重そうに奥へと戻っていった。


「それじゃあ、今度はシスタ様の誕生日プレゼントですね。ではヴィリー様、これお願いしますね〜。どれも高いので気をつけてください」

「え、はぁ⁉︎」


 品物を私に押し付けて店から出ようとするソルシーを呼び止める。


「な、どういう意味⁉︎」


ソルシーは振り返るとニンマリと嫌な顔をした。


「私が無償で護衛を引き受けるわけないじゃないですか〜。これは交換条件ですよ。それに、私は両手じゃないと持てないので、いざという時杖を振れませんし。その点、ヴィリー様なら片手で十分ですよね。トレーニングだと思ってお願いしますね。それじゃあ行きましょう!」


そうだよね、ソルシーはそういう人間だよね。くそ〜ハメられた!

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