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喧嘩

「言い過ぎだと思いませんかヴィリー様! 毎回毎回顔を合わせる度にこれなんですよ!」

「ヴィリアン様も一言言ってください! この子本当に昔からこれなんですよ! 口だけで絶対動かないんです!」


 どうしてこうなったのか。お茶とお菓子出されて、それをつまみながら二人の言い合いが終わるまで待つはずが、何で巻き込まれているんだ。

リシアとアドラは我関せずと言わんばかりに顔を逸らして二人でお喋りだよ。お願いだから私もそっちに混ざらせてよ。


「その前に私の用件済ませてよ」

「用件済ませたらヴィリアン様帰っちゃうじゃありませんか!」


当たり前でしょ。何で二人の喧嘩に巻き込まれなきゃいけないんだ。


「ヴィリー様いなくなったらスティーディアにずっと小言言われちゃいます! 可哀想とは思いませんか⁉︎」


私が一番可哀想だよ。


「私があなたをいじめてるみたいに言わないでよ! 元はと言えばあなたがいつもいつも私に掃除なんてさせるから!」 

「別にそんなこと皆に言わなくてもいいじゃん! スティーディアは昔っからそう! 私のことヴィリー様に勝手に話したりしてたし!」

「話しちゃいけないことは話していないでしょ!」

「私の前職とか私の様子とか勝手に話していたじゃん!」

「むしろ何を隠す必要があるのよ! そんなに前職のことを隠したかったの⁉︎」

「そうだよ! 隠したかったよ! スティーディアだって私が無理やり退職したことくらい知ってるでしょ! あんな職場忘れたかったのに!」

「知らないわよ! あなた何にも教えてくれないのだから! ヘラヘラしながら急に家に押しかけてきて逃げてきたって! あなたを匿っている時私がどれだけストレス抱えていたか知らないでしょ!」

「あの時はスティーディアしか頼れなかったのだから仕方なかったじゃん! そんなに言うならあの時追い出せばよかったじゃん!」

「あなたは追い出そうとしても応じないでしょ! それに、仮に追い出したとして、あなたはどうしていたのよ!」

「私は天才だからどうにでもできるよ!」

「だったら最初から頼らないでよ!」

「なんでそんな酷いこと言うの!」

「あなたが始めたことでしょう!」

「──さい」

「どう思いますかヴィリアン様!」

「酷いと思いませんかヴィリー様!」


 私はテーブルを思いっきり叩いた。リシアとアドラもビクッと肩を動かし、私の方を見る。


「うるっさい! 私の側で喧嘩しないでよ! したいなら二人だけでやって! 私を巻き込まないで! 私は二人の友人でも同僚でも、ましてや家族でもない! 付き合いが長いから勘違いしてるかもだけど、私はただの生徒! 二人の事情なんて知ったこっちゃない! いいからさっさと外出許可証三枚頂戴! もう本当に、シスタとリシアの事で頭がいっぱいいっぱいなのに、余計な問題を私に吹っかけないで。大人なんだから、そんな子供じみたことで私を頼らないでよ……」


私が溜息を吐くと、二人も少しは反省したようだ。


「すみませんヴィリアン様。大声を出してしまいまして。大人げなかったです」

「すみませんヴィリー様。えっと、その、嫌いになっちゃいましたか?」

「こんなことで嫌いになるほど私の器は小さくない。けど、本当に勘弁してよね。次やったらお父様とお母様に報告するから」

「え、あー、それはちょっと困りますね〜」

「だったら気をつけること。それじゃあ、ティディは外出許可証発行して」

「外出許可証ですか……。ヴィリアン様とアドラ様はご実家にそのことをお伝えしていませんよね?」


ティディは少し難しそうな顔をした。


「うん。今日決まったことだし」

「僕はそもそも手紙すら出していませんからね」

「となると、ちょっと発行が難しいといいますか、その、今お二人には護衛がついていない状態ですので、学園としてもそう簡単に許すことができないのです」

「護衛なんていなくても、私がいれば十分だよ」

「それで何かあった場合、私が責任を取ることになってしまいますし、そもそもお二人の身分を考えると私では手に負えませんし。それに、私としても生徒に危ない目に遭ってほしくありませんので、いくらヴィリアン様が強かろうと許可できません」

「じゃあ何? 家から護衛が来るまでダメってこと?」

「はい」


じゃあゲームの町デートってどうやってたんだよ。抜け道教えろ運営。


「どうするのボス? たぶん結構時間かかるよ。両親が仕事で不在だったら尚更ね」

「あの、私は大丈夫ですか?」

「リシアさんは平民ですよね。護衛がいないのでそもそも家を通す必要がないと言いますか。ですので、リシアさんだけなら問題ないです」


かと言って、リシアだけを町に行かせるわけにはいかない。はぁ、どうしよう。


「護衛がいれば良いんだよね?」

「家の許可も必要に決まっているでしょう。まあ、それはお付きの者に許可を取れればそれで良いけど」

「じゃあ私が付いて行くよ。丁度町に行く予定あったし。ニーファさんなら私が付くと言えばすぐに許可下ろしてくれるでしょ」

「え、うーん……。まあ、確かにあなたなら」

「じゃ、決まりね。ヴィリー様達はどこに行きたいの?」

「シスタの誕生日プレゼントを買いに行くの」

「そういえばこの前シスタ様の誕生日だったね。香水でもあげようかな。スティーディアはあげないの?」

「学園で教師が生徒に物なんてあげられないでしょ」

「へー。じゃあヴィリー様から渡しておいて」

「あなたって人は……」


とりあえず、話はどうにかまとまり、私とアドラはそれぞれニーファと執事から許可のサインを貰え、無事外出許可証も発行してもらえた。

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