ドレスコード
二人で頭を悩ませていると、悩みの種であるリシアがシスタと一緒にやってきた。
「お二人とも、どうされたのですか?」
「聞いてよリシア、大変な事態が起きているんだよ」
私は二人にドレスコードの件を話した。
「それは困りましたね。他所行きの服は制服しかありませんし、ドレスなんて高価な物、家にもありませんし」
「私のドレスが貸せたら良かったんだけど」
シスタは明らかに視線をリシアの胸にやった。とても複雑そうな顔をしている。大丈夫だよシスタ、私は貧乳も好きだよ!
「背丈はあまり変わりませんよね」
「そうだね、見た感じは。強いていうならリシアが少し高いくらいかな」
リシアの身長は百五十四、シスタが百五十二と本当に誤差なのだ。
「……胸を潰せば私のドレス入りますかね?」
今度は私の方をちらりと見た。たしかに何かあった時のために胸潰しの物はあるよ! 一度も使った事ないけどさ!
「私の胸をですか?」
「苦しいかもしれないけど、今回はそれしかないと思って」
「貸していただけるのでしたらとても助かります。苦しいのも構いません。ですが、どうやって潰せば……」
「お兄様、ニーファさんがさらしを持っていましたよね」
「え?」
「持っていましたよね」
話を合わせてというなんとも言えない圧をシスタから感じる。
「え、あ〜うん。そうだね〜。胸が邪魔になる時があるとか言って、一応持ってるって言ってたね〜。結局使った事ないみたいだし、リシアが良ければ役に立ててあげてよ」
くそ! 自分で言ってて悲しくなる! 私だって一度でいいから胸が邪魔だとか言ってみたい! さらしに出番を与えたかったよ!
「本当に良いのですか?」
「うん、いいよ。ニーファが持ってても使わないし。それに、貴族は一度表舞台で着たドレスは着ないんだよ。だから、遠慮しないで」
一応シスタが表舞台に出た事ないことは黙っておこう。
「え、本当に良いのですか? シスタちゃん、社交界は小さい時の一回だけだって」
リシア知ってたよ。さてどうしたものか。
「気にしないで。服もずっと着ていなければ痛むだけだから。ドレスもリシアちゃんが着てくれるなら喜ぶよ」
私は一体何着のドレスを泣かせてきたんだろうね。何着かはシスタの普段着になったけど、派手なやつは普段着にできないからお蔵入りなんだろうな。父親とかがたまにクローゼットから出して、着なくなった私を思って泣いてそう。
「シスタちゃんがそこまで言うなら、お言葉に甘えさせてもらうね。ありがとう」
とりあえず丸く収まったようで良かったよ。
「ちなみにリシアはドレス一人で着れるの?」
いいや、まだ収まってないようだ。
「え、それはどうでしょう? ドレスなんて着たことありませんし」
「ニーファに手伝わせるから大丈夫だよ」
「常識を考えてもそれはできないよ。他の家の使用人が主人以外の着替えを手伝うなんてことしないでしょ。おそらく着替えも審査員が見ているだろうから、入学時に登録している使用人以外は認めてくれないよ」
何たるクソシステム! ゲームではどうやってたんだよ! 大事なとこ省くな運営!
「こればかりは仕方ありませんね。今日一日、ニーファさんに一人でドレスを着用する方法を教えてもらおうね」
「すみません、お願いします」
「じゃ、ボスは今日僕と一緒にいようね」
「剣術の訓練に付き合ってくれるならいいよ」
「明日に備えて僕は休む事にするね」
念のためですが、あくまで百合小説なのでメインが男とくっつくことはありません。




