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相性

 勉強するとなってもまずは場所に困った。図書館は悪口的なあれで絶対に集中出来ない。じゃあ誰かの部屋にするかということになったが、あの馬鹿をシスタの部屋に入れさせるわけにはいかない。また、私の部屋も入れさせられない。リシアはともかくあいつは絶対色々いじる。もし何か見つけられたらたまったもんじゃない。じゃああの馬鹿の部屋? あいつのことだ、絶対勉強できる環境なんて整っていないだろうから却下となった。結局、ティディにお願いして空き教室を使わせてもらえることになったのだが……。


「初めからこうしておけば良かったんだよ。ねーボス。僕〜ここ分からなくて〜ボスに教えてほしいな」

「君はそんな初歩的な事すらも分からないとは、相変わらず馬鹿だな。騎士になりたいのなら強さ以外にも頭の良さが必要だと教えられなかったのか?」

「うっせ! そもそも何で王子もいるんだよ!」

「僕が何をしていようと、どこにいようと勝手だろう。君に僕の行動を制限する権限はない」

「まあまあ。せっかく来てくださったのです、一緒に勉強しましょう。王子様は頭がとても良いと聞きます、よければ分からないところを一緒に考えてくださると嬉しいです」

「アドラ様、ヴィリアン様をあまり困らせないで下さいね」


はあ、結局全員集合か……。


「アドラ、言っとくけど私よりも王子に聞いた方がすぐだし答えも確かだよ。私は必要な分の知識しか取り入れてないから、応用的な物になると少し時間がかかる」

「えー、ボスは僕のこと何だと思っているの? 僕こう見えて、全然頭良くないんだよ。ほら、よく言うでしょ、ちょっとくらい抜けている方が愛嬌あるって」


侯爵の息子が聞いて呆れる。そういえば、たしかにこいつゲームでも頭良くなかったわ。大体平均くらい。知れば知るほどダメさが見えてくる攻略対象ってこいつらくらいじゃないの?


「リシア、あの馬鹿は王子とシスタが見てくれるから、私達はこっちのアホをどうにかしよう」


このテストは順位が張り出される。私達がこいつらとテス勉してることくらい他の人達も見ているだろう。なら、この馬鹿共のテストの順位を少なくとも三十位くらいまでにはしないと。私と王子はともかく、シスタとリシアは、こいつらの順位を上げさせない為にテス勉の邪魔をしていたとかなんとかあらぬ噂を立てられる。


「ヴィリアン様、意外と乗り気ですね」

「私の時間を奪うんだ、徹底的にやるから覚悟しとくんだよ、アドラ」

「あ、あれ〜、おかしいな、もうちょっと穏やかなのを想像していたんだけど」

「泣き言言っても絶対許さないから」

「は、はい……」


こうして、放課後は毎日集まり、二人の学力を上げていった。


「お、おいヴィル、テスト、まだなのか?」

「まだって、あと二週間後だよ」

「へ⁉︎ でもヴィル、一月後って言ってたじゃねーか!」

「いや、だから一月後……あー、もしかして入学から一月後だと思った? 違うよ、入学からなら二月後。言葉って難しいね」


ネイトは明らかに絶望した顔を見せた。


「なら今から勉強やる必要無かったじゃねーか!」

「自分の学力のこと考えて言ってる? 今でようやく平均点レベル。テストの難易度によってはまだまだ下回る確率の方が大きい。それに、赤点のラインが分からない以上、上位に食い込めるレベルの学力は必要でしょう。それに、他にも魔法とか剣術もあるんだから。ネイトは剣術はともかく魔法はダメでしょ。アドラは魔法使えるし、お前ほど勉強出来ないわけじゃないし、実習の方も求められるであろう技術は身につけさせた。今は割と安定してきてる。お前だけ取り残されてるぞ、ネイト」

「う、嘘だろ……」


ネイトはヘナヘナと力無く席に座った。


「頼むヴィル、王子かシスタどちらかでいい、お前かリシアと交換してくれ! あいつらもう嫌だ! 王子は一々馬鹿にしてくるし、シスタはあれでスパルタだ! 教え方は優しいが、提示する課題の量がえげつねえ! しかも終わらなかったやつと間違えたやつはヒント付けたからもう一度解けだぞ! 新しい課題と一緒に! 俺そのせいでここ最近寝不足なんだよ!」

「あー」


シスタ、生活の大半を勉強に当ててるからね、シスタと同じ量は流石にきついだろうな。それにこいつはシスタみたいに頭良くないから時間足りないだろうし。


「分かった、とりあえずシスタには課題の量減らすよう言っといてあげるから、もう少し頑張りな。王子にも一応注意はしておくよ。効果はないだろうけど」

「ヴィル〜! 好きだー! 俺一生お前についていくからな!」

「気色悪い、やめろ。もっとスパルタにするようにお願いするぞ」

「そ、それは本当に勘弁してくれ」

「はぁ……」


とりあえず、皆が授業から戻ってきたら言っておくか。この調子じゃ、いつか逃亡を図りそうだし。

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