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もう一つの話し合い

 ネイトの足止めをした時も、思えば魔法を掛けたのが私だと見抜いていたからではないのだろうか。あの馬鹿が私の仕業だと言った可能性もあるが。王子は何でもできて、さらには王子という高貴な立場、それ故に感性がズレ、性格が終わってしまっているが、人を見る目は確かにあると思う。何を考えているのかは何一つ分からないが、相手にぶつける言葉は割と的を得ている。ムカつくが。すぐムキになりやすく、幼稚な部分が拭えないのはどうしようもないが、私達の言葉に素直に従うようになれば、何気に一番まともにできる素質がある。……あれ? そういえば、エミットルートってそんな感じだった気がしなくもない。つまり、とにかく仲良くなって、私達の言うことを聞かせるようにする。そうすれば、あいつのファンだって増えるはず! けどまあ、そこまで仲良くなるのが一番難しいんだけど。


リシアとは、とりあえず各々の得意で仲間を増やしてもらうという方針で話が決まった。というか短い話し合いだったせいで、そんな当たり前な結論しか出せなかった。

ネイトは剣術、体術でファンを。女性ファンは肉体的な頼りの良さを前面に押し出す。あと、女性はちょっとくらい馬鹿な方が愛嬌があって良いとか言うから、性格はあのままでいいや。

アドラは今の感じではなく、同じ目線で話すようにさせてファンを。今は高嶺の花を演じているから、現在アドラを慕う者がいても少し距離がある。だから、距離を近くしてガッチリハートを掴ませる! けど、あいつちょっとうざいからその悪い部分が露呈しなければ良いんだけど。

王子はそもそもがアレなので、ファンの件は後回しにしてとりあえず人との交流を。そして少なからずまともに人付き合いが出来るようにする。

さてと、どれほど上手くいってくれるかな。とりあえずは期待しないでおこう。何せあの馬鹿共だもん、私とリシアのサポートがあれど、そう上手くいくわけがない。


 日が経ったので、早速作戦実施! とはいかない。私にはもう一つ解決しないといけないことがある。


「シスタ、起きてる?」

「はい」


シスタは私の方を見ずに返答した。

シスタの側についていたニーファは、私が目配せをすると席を外した。


「怪我はどう?」

「指先はある程度動かしても問題なくなりました。明日からは部屋に戻って良いとのことです。授業は自己判断になりますが」

「そっか。良くなっているようでよかったよ。それで、その、前はごめんね」

「いいえ。お姉様の苦しみに気づけていなかった私が悪いのです」

「ううん、シスタは何も悪くないよ。シスタからすれば、ずっと私が好き好んでやっていた事のように思うだろうからね。実際、その通りなんだけど」

「いいえ、私がいなければお姉様は無理をする必要などありませんでした」

「そのことなんだけどね、昨日リシアと話したんだ。それでね、泣かせちゃった」


シスタはちらりとこちらを見た。


「リシアちゃんが?」


シスタの反応からしても、あのリシアが泣くのって相当なことなんだろうな。作中で泣いたのも一部のバッドエンドルートだけだし。


「うん。理由はラウザの時と同じ。私がシスタのことしか見えていないから。そもそもリシアを泣かせたきっかけの話が、シスタも言う通り、私が自分を大切にできないこと。そのことをリシアにも指摘されて、改善してほしいって言われたの。それをできないって言ったことでリシアを悲しませた。リシアはシスタの言うことだったらもっと聞いたのではないかって。私にその気は無くても、皆からはそう見えてしまうんだって。それを知った時、すごく悲しくなった。ラウザの時にあれほど後悔したのに、また繰り返してしまったって。どうすれば良いか分からなくなって、私は胸の内を話したの。そうしたら、リシアが教えてくれた。私は私を傷つけるのが怖いから、自分を知ろうとしないのではって」

「お姉様が傷つくことが怖い?」

「うん。それ聞いた時ね、何だか少し自分に近づけた気がするんだよ。ごめん、何言ってるかよく分からないよね」

「いいえ」

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