変な話題
どうしようもないことで悩んでいても仕方ないので、夕食を食べることにした。
「そういえばリシア」
「何でしょうか?」
「さっき私に好きって言っていなかった?」
リシアはかなり息を呑み込んだのか咽せた。本当によく咽せるヒロインだ。ま、あえてこのタイミングで言ったのだけど、予想以上に面白い反応だ。
「え、あ、その、それはですね、違くて」
「あはは、ごめんね、分かってるよ。友達としてだよね。リシアが私を恋愛的に好きになるはずないもんね」
だって私、ダメンズ好きのリシアには刺さらないからな。本当にリシアはあの攻略対象共のどこを好きになるんだか。第一印象とのギャップか? もしかしてギャップ萌えが性癖なのか?
「もし本気だと言いましたら、ヴィリアン様はどうしますか?」
「え?」
リシアは割と本気の目をしていた。これ以上揶揄うなという警告だろう。変な話題を振った責任を取って乗ろう。
「そうだね、正直困るかな。リシアというより私の問題。立場とか」
男装している立場だしね。デートくらいならまだしもベットインは流石に相手できないし。
「貴族の方はそういうの厳しそうですもんね」
「いや、ネイトとかよくその辺の女の子捕まえてるじゃん。だから家によると思うよ。流石に王子となると厳しいだろうけど」
「ヴィリアン様の家はどうなのですか?」
「私の家か……」
私女だしな、言われたこともない。ラウザにはどうするんだろ。母親厳しいだろうからな、絶対ネイトみたいな不誠実な感じだと怒るだろうな。父親も母親一筋だし、一夜限りとか理解出来なさそう。でも相手を決めれば婚姻前でも全然許しそう。むしろ頑張りなさいとか言ってきそうだな。父親そういうところ緩いし。でも、お姉ちゃん許しませんよ! ラウザに恋愛とかまだ早いと思う! うん、姉離れ反対! もしラウザが相手を連れてきた時は絶対ハニトラ掛けてやる。引っかかったら意地でもラウザと別れさせる。ブラコン上等! 可愛い弟をどこぞの生半可なお嬢さんに渡してたまるものか!
「めちゃくちゃ厳しいよ」
主に私が。
「そうですか……。その、あくまで興味なのですが、ヴィリアン様は私と付き合えますか? 立場とかは今は無視するということで」
「え? うーん」
立場を無視ってどっち? 私が女の場合? それとも男? うーん、これは、付き合うの範囲によって変わるな。
「ちなみに付き合うってどこまで?」
「え⁉︎」
恥ずかしいことかもしれないけどそこははっきりしてくれないと私の考えに違いが出てしまう。
「その、逆にヴィリアン様はどこまでだと思っていますか?」
逆質問か。それは困るな。
「そもそもリシアってどこまで知ってるの?」
ゲームをやっていても性知識の深さについては教えてくれないからな。ワンチャンキスまでが限界の可能性があるけど、この顔の赤さは絶対それ以上知っているな。
「えっ」
「え?」
「ヴィリアン様のエッチ……」
一瞬宇宙が見えた。私の頭が空の彼方へ飛んでいきそうになった。
「ち、違くて! 別に邪な気持ちで聞いたんじゃなくて! その、真剣に考えようと思った結果で!」
「シスタちゃんに言いつけますから」
「そ、それだけはやめて! お願いリシア! シスタにだけは!」




