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79話─ルマリーン監獄にて

「着いた! さあ、乗り込むよみんな!」


「ええ、任せてちょうだい。久々の戦いね……腕が鳴るわ!」


『サモン・エンゲージ』


 監獄内でロコモートとジャスティスの対決が行われているなどつゆ知らず、ルビィに乗せてもらい屋上に降り立ったキルトたち。


 四人一斉に変身を行い、監獄の中に突入していく。内部は非常警報がけたたましく鳴り響き、看守たちが侵入者の鎮圧に向かっていた。


「ん!? あなたたたちは……今ちまたで噂のサモンマスターたちじゃないですか! なるほど、ダグラス監獄長が援軍を頼んでくれたんですね! こりゃありがたい!」


「あ、いえ、そういうわけじゃないんですけど……まあ、助けに来たことは変わらないしそれでいいんじゃないかな?」


『キルト、こやつらに構っている暇はないぞ。早くロージェを見つけて仕留めねば』


「おお、声が聞こえる!? ……などと言っている場合じゃありませんね。侵入者は放送室に向かったようでして、今から鎮圧に行くところです。ご同行者願えませんか!?」


「いいですよ、でも戦うのは僕たちに任せてください。サモンマスターを倒せるのは、同じサモンマスターだけですから」


 放送室に向かっていた看守の一人が、キルトたちに気付き同行してほしいと願い出てきた。当然、断る意味もないためキルトは了承する。


 他の看守たちと合流し、サモンマスタージャスティスことロージェが立て籠もる放送室に向かう。が、その頃ロージェは……。


「フンッ! こんなブーメラン、叩き落としてくれるわ!」


「あらら、壊されちゃったね。ま、いいや。やっぱりヒーローは自分の身体を武器にしないとね!」


「いちいちシャクに障る奴だ……それに、ここは狭くて立ち回りにくい。こうなれば……ハッ!」


 放送室の中でサモンマスターロコモートと戦っていたが、狭さに辟易していた。もっと広い場所で断罪を行おうと、壁を破壊して広場に逃げる。


「あっ、待て!」


「フハハハ、悔しければ追ってくるがいい! ま、貴様が追い付く前に囚人どもを殺してやるがな!」


「そんなことはさせない! 絶対に逃がさな」


「そこのお前、動くな! 怪しい奴め、放送室を乗っ取った男の仲間か!?」


「ああもう、こんなタイミングでぇ!」


 ロージェを追いかけようとした瞬間、キルトたちが同行しているのとは違う看守の一団が放送室に踏み込んできた。


 臨戦態勢を取る彼らに警棒を向けられ、壁の穴も魔法で塞がれてしまう。こうなると、もうどうしようもない。


「はいはい、とりあえず降伏はするから。でもね? ボクを捕まえておくと困ると思うよ? 放送室ジャックした奴、今下の広場に逃げたし」


「なにっ!? だが、大丈夫だ、我々は班を三つに分けて鎮圧に来たからな。他の班が上手いことやって」


「! みんな下がって! 広場から攻撃が来る!」


『リフレクトコマンド』


『キャノンコマンド』


 いつまでもロコモートが降りてこないのをチャンスとばかりに、卑怯にも攻撃を行うロージェ。黒い大型大砲を呼び出し、砲撃を行う。


「悪を生かす偽善者どもよ、死ぬがいい! ヴィジラントバスター!」


「くっ……うあっ!」


「!? 跳ね返され……ぬおっ!」


 身体の脇に構えた大砲から弾を発射し、看守たち諸共ロコモートを始末しようとするロージェ。間一髪、サモンカードの使用が間に合った。


 だが、弾を受け止めたはいいものの衝撃でロコモートは吹き飛び、看守たちにぶつかってしまう。一方のロージェは、跳ね返ってきた弾を慌てて避ける。


「ふう、危なかった……。おのれ、肝が潰れたぞ! もう一発浴びせて、奴を今度こそ」


『スイングコマンド』


「おっと、そうはさせへんで! ウチの『プレイスパイダー』でボッコボコにしたるわ!」


「見つけたよ、ロージェ! いや……サモンマスタージャスティス!」


「ぐふっ! おのれ、貴様らァ……!」


 もう一発弾を浴びせ、今度こそトドメを……と意気込むなか、別のサモンコールが響く。アスカことサモンマスターミスティが廊下の奥から飛び出し、ヨーヨーの一撃を叩き込んだ。


「お前はもう包囲されている! 武器を捨てて大人しく投降しなさい!」


「フン、投降だと? 誰がするか、せっかくこの力を得たんだ。ようやく断罪出来るんだぞ、この世にはびこる悪を! この手で!」


「うわ、すんごいブーメランやなジブン。全部ブッ刺さっとるで、オッサン」


「小娘が知ったふうな口を利くな! 全員纏めて吹き飛ばしてやる! ヴィジラントバスター!」


「みんな下がって! ここは僕が引き受けるから!」


「私も力を貸そう、守りには自信があるからな!」


『シールドコマンド』


『ウォールコマンド』


 砲身を看守たちに向け、攻撃を行うロージェ。すかさずキルトとフィリールが前に出て、サモンカードを使い盾を呼び出す。


 放たれた砲弾をガードした……はいいが、弾が割れた瞬間濃い煙が吹き出してくる。濃煙に紛れ、完成しつつある看守たちの包囲網から脱出するつもりだ。


「うわっぷ! この煙じゃ、まともに動けないよ!」


「そういう時はウチにお任せやで、キルト。あいつが逃げるつもりなら……こうするまでや!」


『トラップコマンド』


 視界を奪われ、みながオロオロするなかアスカがサモンカードを使う。ロージェの移動しそうな場所を狙い、クモの巣の地雷を仕掛ける。


 ……が、その直後に聞こえてきたのは絡め取られたロージェの悲鳴ではなく、何かを破壊するけたたましい爆発音だった。


「!? な、何だ!? あいつは一体感何をしようとしているんだ!?」


「やっと煙が晴れ……あっ、いない! そうか、床を破壊して逃げたな!」


「まずいですよ、地下には凶悪犯罪者たちを収監している独房があるんです! そこに逃げ込んで解放なんてされたら……」


「いや、あいつのことだから解放なんてしないよ。みんな殺されちゃう、それだけは防がないと!」


 衝撃で煙が四散し、何が起きたのかを知ることに。ロージェは包囲をすり抜けるのではなく、床を壊して地下階層に逃げたのだ。


 最初にキルトたちと出会った看守曰く、地下にも囚人たちがいるらしい。見過ごしてはおけないと、キルトたちは穴から直接下に降りることに。


「看守さんたちは、出入り口の封鎖を。追い詰められたロージェが逃げな」


「とーうっ! ふっはっはっ、待っていたよサモンマスタードラクルくん! 初めましてだね、ボクはサモンマスターロコモート! 正義の味方さ!」


『ええい、なんだこんな時に! この忙しいタイミングで出てくるんじゃない!』


「そうだよ! 確かに探してはいたけどさ……そもそもなんでここにいるの!? ちょっと都合良すぎじゃない!?」


「あんた何やってんのよこんなところで! というかなんで放送室にいたわけ?」


「探す手間は省けたが……なんというか……こう……もっと適切な登場タイミングがあるだろう!」


「なんちゅーとこに出てくんねんジブン! 余計めんどいことになるやないか!」


 放送室に来た看守たちをどうにか説得し、広場に降りてきたロコモート。これからロージェを追いかけようという時に、である。


 彼女が監獄に潜入していたことなど知らないキルトたちは、突然の乱入に総ツッコミ状態だ。そんな彼らにも動じず、ロコモートは腰に手を当て得意気だ。


「ふふふ、いいじゃないの。正義の味方ってのは、遅れてやって来るものだし? ……なんて言ってる場合じゃないや、さっさと追いかけよう。この穴に逃げたんでしょ? あいつ」


「あっ、そうだった! ドルトさんは看守さんたちと一緒に行動して。僕たちと一緒だと危ないから」


「分かった、そうしよう。……気を付けろ、奴は何をするか分からん。地下でも平気で大砲を撃つ危険性がたる。十分用心してくれ」


「うん、分かった。さあ、行くよみんな!」


「おー!」


 なんだかんだありつつ、サモンマスターロコモートとの邂逅を果たしたキルトたち。彼女と共に、地下にある独房エリアに続く穴へ飛び込む。


 だが、この時のキルトはまだ知らなかった。この乱戦を、厄介極まりない人物が嗅ぎ付けつつあるということを。


「……あいつの匂いがするな。いい匂いだ……戦ってるな? キルトめ。ククク……なら、オレも参戦させてもらうとするか」


 ルマリーンから遠く離れた、帝都シェンメック。漆黒の女狼が、再び戦い(祭り)に参戦しようとしていた。そして……。


「よし、新人研修も終わりだ。早速実戦に出てもらうぞ。というわけで、今からキルトを殺しに行く。着いてこい、ゾルグ!」


「おう、任せ……こほん、任せてください隊長! キルトなんかすぐにぶっ殺してやりますぜ!」


 理術研究院の刺客たちも、ついに動き出す。サモンマスターたちが入り乱れる混沌の戦いが今、幕を開ける。

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― 新着の感想 ―
[一言] わざわざ正義執行にやって来てるけど襲撃してる時点でオドレの罪状も確定だぞ(ʘᗩʘ’) 新参も混ざりに来てるけどこの地下で戦って大丈夫か?(゜o゜; そんな騒動と闘争の匂いを早くも嗅ぎ付け…
[一言] >「フン、投降だと? 誰がするか、せっかくこの力を得たんだ。ようやく断罪出来るんだぞ、この世にはびこる悪を! この手で!」 ならば貴様の正義は? 貴様の正しさは誰が保証するんだね? 誰もし…
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