表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

77/311

75話─乙女連合VSヘルガ

 翌日の朝。フィリールとエヴァが帰還し、結果をキルトに報告する。バルクスに話を通し、協力を得られたとのことだった。


 商業ギルドに関しては、直接キルトと話をしたいとのことらしくすぐにOKが出るわけではないようだ。報告を終えた後、エヴァはルビィと連れ立って屋敷を発つ。


「さあて、あの【ピー】犬女はまだ帝都にいるかしらね。アタシ『の』キルトにマーキングするようなクソ【自主規制】にはシツケをしないとねぇ?」


「全くだ。前回は諸事情で滅せられなかったが、今回は奴の息の根を止めてくれるわ」


 キルトに宣言した通り、ヘルガに『落とし前』をつけさせるため二人は帝都にやって来た。冒険者ギルドに乗り込み、ヘルガを探す。


「雌犬ぅぅぅぅぅぅぅ!!!! どこに隠れてもムダよ、さっさと出てきなさぁぁぁぁい!!!」


「貴様の逃げ場はないぞ!! おとなしく我らの裁きを受けるがよいわぁぁぁぁぁ!!!」


 鬼気迫る勢いで乗り込んできた二人を見て、冒険者や受付嬢たちはぎょっとしてしまう。併設されている酒場を含め探すも、ヘルガの姿はない。


「いないわね、あのアマ……。どこに行ったのかしら」


「おい、そこのお前。ヘルガという冒険者を探している。どこにいるか知らぬか?」


「ひえっ! そ、その……ヘルガさんは今現在、依頼の遂行中でして……。外部の方には、守秘義務の関係でお教え出来ないんですよ……」


 どこに行ったか突き止めるべく、受付嬢を問い詰める二人。不幸にも目を付けられた受付嬢は、ギルドの規約を盾にささやかな反抗を試みるが……。


 その程度で諦めるほど、エヴァとルビィは物わかりがいいわけもなく。スッと目を細め、二人して相手の前に立つ。


「へえ。ギルドの決まり事と自分の命……どっちを天秤にかけるか即決出来るんだ。立派ねぇ、あんた」


「ひえっ」


「なら仕方ない、お前が話さぬと言うのなら」


「ひえええええ! ごめんなさいごめんなさい、言います! 言いますから命だけは!」


 二人に脅され、呆気なく心折れた受付嬢。腰砕けになりながらも、ヘルガがどこに行ったのかを洗いざらい話す。


 数日前から、ヘルガはモンスター討伐のため帝都の南東方面にある古代遺跡へ行っているらしい。大がかりな討伐になるようで、あと数日は戻らないだろうとのことだった。


「ふむふむ、なるほど。じゃ、早速行くわよルビィ。ああ、そうそう。脅して悪かったわね、はいこれ」


「な、なんですこれ……って、きききき金貨ぁ!?」


「クレイ撃破の礼にと皇帝から貰った報奨金の一部だ。怖がらせた詫びに譲ろう。もうここに用はない、出発だ!」


 すっかり怯えきってしまっている受付嬢に、ギッシリ金貨の入った小袋を渡してからギルドを去るエヴァたち。


 ヘルガのいる古代遺跡へ向け、早速ポータルを使って移動する。馬車で往復すると十日近くかかる距離でも、ポータルなら一瞬だ。


「到着っと。へぇ、雰囲気ある所ね。ゴーレムとかキカイ系のモンスターがいそう」


「奴のことだ、サポートカードの補充を兼ねてここを選んだのだろう。愚かな奴め、狭い場所に追い込んでしまえばこちらのものだというのに」


 転移した二人の目の前に、大きな遺跡が現れる。あちこちが苔むした、白亜の巨城……だったのだろう建造物だ。


 あちこちが崩れており、見栄えはあまりよくない。が、如何にもお宝がありそうな気配がプンプンしている。ついでに、モンスターの気配もたっぷりだ。


「行くぞ、あの雌犬に限ってそんなことはないだろうが……モンスターに倒された可能性もある。さっさと探し出して折檻してやろう」


「ええ、そうね。あのクソ犬は」


「よお。オレに会いに来たのか? ククク、随分とまぁ熱心なファンだな、え?」


 いざ乗り込まん、としかその時。とうのヘルガ本人が遺跡から出てきた。サモンマスターの力を解放しているようで、腰にはサモンギアであるベルトが巻かれている。


「あら、そっちから出てくるなんて殊勝な心がけじゃない。それに免じて、ドギツいお仕置きをしてあげるわ」


「キルトにマーキングしおってアバズレめ! 今回こそは鉄槌を下してやる! 覚悟しろ!」


「ククッ、そういう用件かい。いいぜ、ゴーレムどもをブランクカードにブチ込んでやったところでな……昂ぶってんだ、相手してくれよ。キルトみたいに、オレを楽しませろ……!」


「言われなくも楽しいバトルにしてあげるわ。ま、楽しむのはあんたじゃなくてアタシたちだけどね!」


『サモン・エンゲージ』


 獰猛な獣のような笑みを浮かべるヘルガに啖呵を切った後、エヴァは契約(エンゲージ)のカードをスロットインしてサモンマスターブレイカに変身する。


 あらかじめコピーコマンドの存在をルビィから聞いているため、ステゴロで飛びかかっていく。素の体術にも自信があるがゆえの行動だ。


「オラッ! その顔をへこませてやるから覚悟しなさいっ!」


「おっと、アブねえあぶねぇ。ほら、どうした? オレに一撃入れるんだろ? やってみろよ、ほらほら」


「そうか、なら遠慮なくブン殴らせてもらおう。竜の拳は痛いぞ、歯を食いしばれ!」


 拳を唸らせ、風を切る鋭い連撃を放つエヴァ。が、獣人特有の身のこなしでその全てを華麗に回避しているヘルガ。


 そこにルビィが加わり、二人がかりでのリンチが始まる。大人げない行為にも怯まず、文句を言うどころか嬉々としてヘルガは殴り返す。


「ククク、楽しいなぁ! ええ、こうやって殴り合うのはよ! ……グッ!」


「チッ、こんだけ殴ってんのに余裕あん……ぐふっ! やったわね、このっ!」


「全く、これではお互いカードを使う余裕が……ぼふぁっ!」


 二対一の殴り合いでも、ヘルガは一歩も引かずひたすら拳を振るう。しまいには、数で勝るエヴァたちに優位に立ちつつある始末。


 このまま返り討ちにされたのではプライドに傷が付くため、何としてでも相手をぎゃふんと言わせねばならない。そこで……。


「ルビィ!」


「分かった、任せろ! フンッ!」


「ぐうっ!?」


 声のトーンからエヴァの要望を即座に把握し、ルビィが行動に移る。低空タックルをブチかまし、ヘルガを抱えて前進していく。


 その間にエヴァは後ろに下がり、デッキホルダーからサポートカードを取り出す。キルトから『コピーコマンドはサポートカードの効果を複製出来ない』と聞いていたからだ。


「こいつでお仕置きしてやるわ! 覚悟しなさい!」


『サポートコマンド』


「フン、来るか? いいぜ、なら……」


「ぐおっ!?」


「オレも使わせてもらうぜ? サポートカードをなぁっ!」


『サポートコマンド』


 対するヘルガも、ルビィを後ろにブン投げてからサポートカードを取り出してスロットインする。先に効果を発揮したのは、エヴァの方だ。


 緑色の屈強な体躯を持つ単眼の魔物、『サイクロプス』を呼び出した。少し遅れて、ヘルガの隣にくすんだ赤色をした亀型のゴーレム『ガンナドーン』が姿を現す。


「行きなさい、サイクロプス! あのモンスターをぶっ潰せぇぇぇ!!」


「グフォオオオオ!」


「いいぜ、返り討ちにしてやる。ガンナドーン、あの一つ目野郎を撃ち抜いてやりな」


「ギュイ、ガキキキィン!!」


 甲羅から伸びる砲身をサイクロプスに向けながら、ガンナドーンは駆動音を響かせる。モンスター同士が激突するなか、当人たちも再びぶつかり合う。


「ぶっ飛ばしてやるぁぁぁぁぁぁ!! この【規制表現】ぁぁぁぁぁぁ!!!!」


「今こそ断罪の時! 怒りの鉄拳を受けるがよいわぁぁぁぁぁ!!!」


「来やがれ。返り討ちだぜぇぇぇぇぇ!!!」


 女たちの戦い、その結末は果たして。

面白いと感じていただけましたら、ブクマ・評価等していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >「さあて、あの【ピー】犬女はまだ帝都にいるかしらね。アタシ『の』キルトにマーキングするようなクソ【自主規制】にはシツケをしないとねぇ?」 >「全くだ。前回は諸事情で滅せられなかったが、今回…
[一言] この戦い自体、見逃せない問題だけに何日続くやら(ーдー) 長くて丸3日、早くて夕暮れかな?(゜ロ゜)そんだけ殴り会えば因縁から友情に変わってるかもな(ーдー)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ