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299話─超克の堕天使! サモンマスターアポリオン!

 静寂に包まれた玉座の間に、ポータルが現れる。クローン精製用に保管されていたキルトの左腕を破壊し終えたエヴァたちが、乗り込んできたのだ。


「キルト、待たせてごめん! やることは終わったわ、加勢に……!?」


「なんだ、これは? バイオンとヘルガは……死んでいるのか?」


「いや、それよりキルトくんだよ! 早く助けに行かなきゃ!」


 キルトの気配を追って、玉座の間に足を踏み入れたエヴァたち。彼女らが見たものは……隅の方で気を失い倒れ伏すヘルガ。


 床に転がる、奥義の威力を軽減する肉の盾にされて腹部に風穴が空いたバイオンの遺体。そして、その近くで仰向けに倒れるキルトの姿だった。


「みんな……よかった、無事……なんだね」


「キルト、何があったの!? なんでヘルガとバイオンが死んでるの!?」


『落ち着け、エヴァ。雌犬は死んでおらん、気を失っているだけだ。バイオンは……あやつがキルトと我の奥義を防ぐ盾にしおった。遠くの方に吹っ飛んだタナトスの切り札がな!』


 息も絶え絶えなキルトに代わり、ルビィが説明を行う。奥義が炸裂する直前、シャグニは剛力で無理矢理バイオンを引っ剥がした。


 そして、身代わりに奥義を受けさせた……が、死に体のバイオンでは盾の役割はほぼ果たせず。鎧を砕かれ吹き飛ばされるなか、苦し紛れにキルトに斧を叩き込んだと言う。


「大丈夫、こんなのかすり傷みたいなものだから……」


「無理をなさらないでください、マスター。リトル・イゴール、死せる者の蘇生を。わたくしはマジンフォンの機能でマスターを癒やします」


「うん、任せて!」


 バイオンの蘇生をイゴールとメリッサに任せ、ミューは手早くキルトの治療に取りかかる。マジンフォンに魔力を流し、搭載された機能を用いる。


【1・8・2・4:ヒーリングメイル】


「あ、傷が……あっという間に消えちゃった」


「魔神たちが持つ再生能力を、一時的に他者に付与するアプリです。これが……む!」


「やれやれ、やはり死に損ないでは盾にもならんな。全く、我の鎧が砕けてしまったぞ。これは弁償してもらわねばならんな」


 キルトの治療とバイオンの蘇生を終えた、ちょうどその時。部屋の奥に吹き飛ばされていたシャグニ……サモンマスターアポリオンが戻ってきた。


 黄金の鎧は全身にヒビが入り、胸元の部分は完全に砕けてしまっている。首から下の実体は無いようで、鎧の下はがらんどうだった。


「ほう、人数が増えたな。なら自己紹介せねばなるまい。我はフィニスの魂のカケラより生まれし者、シャグニ。またの名をサモンマスターアポリオン」


「なんですって!? フィニスの魂から生まれた!?」


「エヴァちゃん先輩、気を付けて! こいつはアブソリュート・ジェムの力を宿したサモンカードを使ってくるよ!」


 キルトの言葉と、シャグニの名乗りを受けエヴァたちの間に緊張が走る。相手の姿を見た瞬間、全員が理解したのだ。


 今目の前にいる者は、これまで戦った誰よりも強いと。全員を見渡した後、堕天使は三度サモンギアを起動させ……姿を変える。


CONVERT(コンバート)SEALED(シール・ド) FALLEN(フォーリン) ANGEL(エンジェル) MODEL(モデル)


「な、なんや? あいつ真っ黒になりおったで!」


「ようやくガーディアンズ・オブ・サモナーズが揃ったのだ。全員纏めて葬るのに相応しい姿に」


「うるせぇ! お前の本体のせいで、オレたちの世界は……」


「許せねえ、フィニスの魂のカケラだからなんだつてんだ! 俺とサウルが倒してやる!」


【♠K:PROMOTION(プロモーション)


PROMOTION(プロモーション)SKY(スカイ) KING(キング) STYLE(スタイル)


【♣K:PROMOTION(プロモーション)


PROMOTION(プロモーション)FORTRESS(フォートレス) KING(キング) STYLE(スタイル)


 鎧を再生させ、漆黒の堕天使となったシャグニが一歩踏み出した次の瞬間。故郷をフィニスに破壊されたサウルとレドニスが、いの一番に立ち向かう。


 それぞれキングの力を使い、シャグニを仕留めんと突進していく。だが……。


「ムダだ、お前たちには死よりも酷い裁きを下してやろう!」


SEAL(シール) TWIN(ツイン) SABRE(セイバー)


 シャグニは柄の両端に湾曲した刃が生えた剣を召喚し、前方へ走る。すれ違いざまにサウルとレドニスを切り裂いた、次の瞬間。


 二人がよろめいた直後、黒い光に包まれ……姿が消える。そして、二人の立っていた場所にそれぞれの絵が描かれた『契約(エンゲージ)』のカードが落ちていた。


「え? は? な、何が起きた? 二人はどうなったんだ!?」


「エルフよ、知りたいか? なら教えてやろう。あの二人は我の持つ封印の双刃剣により、サモンカードに封じられたのだ。案ずるな、お前たちもカードに封印してやろう。そして……故郷が滅びる様を見届けさせてやる。その後で殺してくれようぞ!」


「! みんな、避けて!」


 ドルトが狼狽えるなか、シャグニは得意気に答える。その直後、堕天使は翼を羽ばたかせ飛翔する。キルトが叫び、全員が回避行動を取るが……。


「はや、過ぎる……」


「これが、魔魂片……フィニスの魂から生まれた奴の、チカラ……」


「ドルトさん、フロスト博士!」


 ドルトとアリエルが避けきれず、刃に斬られてサモンカードに封印されてしまった。その後も、シャグニの快進撃は止まらず……。


『ディメンションコマンド』


「うわっ!? か、身体が動か……うあっ!」


「めーちゃん……ごめんね……」


『いーく……ん……』


「どうだ、空間ごと固定されて動けなくされるのは。後で是非感想を聞きたいものだ」


 空間を支配する『空間のサファイア』の力により、プリミシアと双子が倒れ。


『タイムコマンド』


「お前たちは頑強そうだ、念入りに刻んでやるとしよう!」


「ぐっ……! 済まない、キルト……」


「わたくしですら……動きを、目で追えないとは……」


 時を支配する力を持つ『時間のルビー』の効果で、時を加速させるシャグニ。その勢いに乗して、ウォンとミューを切り刻み封印した。


 そうこうしているうちに、目を覚ましたヘルガとよみがえったばかりのバイオンもサモンカードにされてしまい……最後に、キルトたちGOS(ゴッズ)の創設メンバーだけが残った。


「なんなのよあいつ……やばすぎでしょ。タナトスの奴、とんでもないモンを残してくれたわね!」


「流石にこれは……ノーマルモデルでは勝てない! リジェネレイトしなければ……」


「四人の奥義を直撃させればなんとか、っちゅうトコかいな。ホンマバケモンやで、あいつは……」


「うん、やるしかない! みんなを助けるためにも、ここでシャグニを倒す!」


 あっという間に仲間たちを倒してしまったシャグニを見て、エヴァたちは決める。全員の全力をブチ込んで仕留めねばならないと。


 キルトは仲間たちの言葉に頷き、全員一斉にリジェネレイトのカードを取り出す。その様子を、堕天使は楽しそうに眺めていた。


【Re:NIFLHEIMR(ニヴルヘイム) MODEL(モデル)


【Re:EXCITE(エキサイト) BEAT(ビート) MODEL(モデル)


【Re:SHADOW(シャドウ) DANCER(ダンサー) MODEL(モデル)


【Re:AIR(エア) SONIC(ソニック) MODEL(モデル)


「ほう、これは壮観だな。お前たちの最後の晴れ舞台というわけだ」


「余裕だね、シャグニ。でも、もう終わりだ! 僕たちの全力を叩き込んでやる!」


「ええ、やるわよ! フィリール、アスカ! 奥義の準備を!」


「任せろ、我が誇りに賭けて必ず奴を仕留める!」


「ここが踏ん張りどころや! 全身全霊、正真正銘のフルパワーや!」


【アルティメットコマンド】


 キルトたちは、一斉に奥義を発動した。四重の鎖とリングによって、シャグニは完璧に身動きを封じられる。


 仕掛けてきたところをカウンターするつもりでいたシャグニは、目を丸くして驚く。雁字搦めにされ、まったくの動けないのは予想していなかったのだ。


「これは……ふむ、面白い。この我を抑え込むとはな」


「笑ってられるのもここまでだ! アウロラルスターシュート!」


「チリになりなさい! 絶唱のジーニアス!」


「終わらせる……この戦いを! ムゲンラセンダン!」


「てやあああああ!! スカイフォールエンドライバー!」


 四人の奥義が直撃し、シャグニを鎧ごと破壊していく。だが、当の本人は涼しい顔をしていた。何故ならば……彼には、絶対なる切り札があるから。


『いいぞキルト、このまま』


「ああ、言い忘れていた。動くことは出来ぬがね……カードを使うことは出来るのだよ!」


『タイムコマンド』


「!? しまった、こいつ時を巻き戻して──」


 シャグニの狙いに気付いた時には、もう遅かった。時を巻き戻され、キルトたちは奥義を発動する直前の状態にされてしまう。


 慌てて奥義を使おうとするも、相手の方が動くのが速かった。瞬く間にフィリールとアスカが刃の犠牲となり、カードに封印される。


「く、無念……」


「キルト、ごめん。ウチ、ここまでや……」


「フィリールさん! アスカちゃん!」


「次はお前だ! さあ、カードに封印されるがよい!」


「そうはさせない! ……使うつもりはなかったけど、もうそんなことは言ってられないわ。食らいなさい、とっておきの切り札を! エンプティーノイズ!」


 凶刃がキルトに迫るなか、エヴァは愛する者を守るため飛び込む。メーターが空っぽなのにも関わらず、ギター型の斧を掻き鳴らす。


 すると、凄まじい衝撃波が放たれエヴァ自身とシャグニにダメージを与える。


「うわっ、うるさい!」


「ぐっ、貴様! 一体何をしている!?」


「驚いた? これはね、アタシ諸共相手を倒すための捨て身の技なの! アンタを道連れにしてやるわ、覚悟しなさい!」


「チッ、刃にヒビが……ならば、倒される前に貴様を封印してくれるわ!」


「エヴァちゃん先輩、僕が助け……!?」


 が、シャグニは鎧と剣がヒビ割れていくのもお構いなしに攻撃を行う。キルトはエヴァを助けようとするも、当の彼女に後ろへ蹴りとばされてしまった。


「ありがとう、キルト。でも、アタシを助けたら二人纏めて貫かれる。だから……これで、いい……のよ……」


「そんな……エヴァちゃん、先輩……」


『エヴァ……エヴァアアアアア!!』


 キルトとルビィに全てを託し、エヴァは封印されてしまった。同時に、シャグニも鎧ごと砕け散る。しかし、これで終わりではない。


 戦いはまだ続くのだと本能で悟ったキルトは、デッキホルダーからレボリューションのカードを取り出し大声で叫ぶ。


「シャグニ! お前は、本気で僕を……僕たちを怒らせた! 早く姿を現せ! 決着をつけてやる!」


『フン、いいだろう。我もそろそろ飽いてきたところだ。ケリをつけよう……貴様たちの敗北で! この戦いの幕を卸してくれようぞ!』


【Re:WORLD(ワールド) END(エンド) MODEL(モデル)


 虚空からシャグニの声と、サモンギアの発動音声が響く。戦いは、ついに最終局面を迎える。最後に勝つのは、果たして……。

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― 新着の感想 ―
[一言] ついに最終形態を表すか・・・
[一言] 増援が間に合ったのが仇になったか(ʘᗩʘ’) でもシャグニお前の敗因を教えてやる(⇀‸↼‶) それはこの場に皆のカードを残した事だ!!щ(゜ロ゜щ) その意味を思い知るがいい!!!(⑉⊙…
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