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295話─死神の膝元へ

「ふう、無事勝ててよかった。一旦変身を解いて、もっかい変身しとこっと」


『そうだな、残るはおそらくタナトス一人。万全な態勢で決戦に臨みたいからな』


 長きに渡って暗躍してきた宿敵、泰道亮一をついに葬ったキルトとルビィ。一度休憩を挟み、体力と気力に魔力、サモンカードを回復させる。


 しばらく休み、いざタナトスを探しに出発……しようとしたところで、大部屋の奥にポータルが出現した。それを見たキルトは、エヴァが来たと考え喜ぶ。


「あ、見てお姉ちゃん! あのポータル、エヴァちゃん先輩のだよ! 無事にごうりゅ……!?」


「Hmm, were you here? I was looking for a kilt, it's been a while.(ふむ、ここにいたのか。探したよ、久しぶりだなキルト)」


「バイオン!? どうしてここに? ヘルガさんみたいに密航してきたわけじゃなさそうだし……」


「Let's talk about that briefly. Actually……(そのことについて手短に話そう。実はだね……)」


 だが、ポータルから現れたのはバイオンだった。この場にいるはずのない者の登場に、驚きを隠せないキルトとルビィ。


 そんな彼らに、バイオンはエヴァたちにしたのと同じ説明を行う。最終決戦に助太刀してくれると知り、キルトは頭を下げて感謝する。


「ありがとう、バイオン。あなたがいてくれれば百人力だよ!」


『うむ、お前の実力はキルトと我が一番よく知っているからな。こんなにも頼もしい助っ人はお前をおいて他にいまい』


「Those words make me happy. Well, now that I'm here, I hope you feel like you're on a big boat. Let us join forces and defeat Thanatos together(その言葉、嬉しく思うよ。なに、私が来たからには大船に乗った気でいてくれていい。力を合わせ、共にタナトスを打ち倒そうではないか)」


「うん! 休憩も済んだし、いざしゅっぱ」


「ククク、やっと出発か。早く行こうぜ、待ちくたびれてんだこっちは」


「わー!? ヘルガさんいつの間に!? ていうか他のみんなはどうしたの!?」


 バイオンを加え、出発しようとしたその時。すぐ後ろに現れたヘルガに肩を組まれ、キルトはまたしても驚くことに。


「ああ、安心しろ。全員無事だ、今はこの城のどこかに保管されてるお前の左腕を探しに行ってるぜ。そんなのは退屈だから、オレは一抜けしてきたがな」


「あー、そっか……ネガやデミルを生み出す元になった腕がまだあるんだっけ。まあ、とりあえずみんな大きな怪我もないならよかったよ」


『全く、相変わらず貴様は集団行動の出来ない奴だ。まあいい、こちらに来たのならタナトス討伐を手伝え。貴様もそのつもりだろう?』


「ククク、もちろん。まだ暴れてやるぜ、楽しみにしてな」


「It had become quite a large household. Alright, let's move on now. If you follow the signs of Thanatos and move through the portal, you should be able to get there quickly(随分と大所帯になったものだ。まあいい、そろそろ進むとしよう。タナトスの気配を追い、ポータルで移動すればすぐたどり着けるはずだ)」


 想定外の援軍に内心感謝しつつ、キルトたちはバイオンのポータルを使い城の深部へと向かう。しばらく移動を繰り返し、ついに彼らはたどり着く。


 髑髏城の最深部、玉座の間へと。髑髏の紋様が浮かぶ大扉を開け、中へと雪崩れ込む三人。とんでもなく広い玉座の間の奥。


 漆黒に輝く玉座に、タナトスが座っていた。頭上には、透明なカプセルに納められたアポリオンギアが浮かんでいる。


「よくここまでたどり着いたな、サモンマスターの諸君。待っていたぞ、お前たちが来るのをな」


「随分な歓迎をしてくれたね、タナトス。なかなか楽しかったけどもう終わりにしよっか。今日ここで、お前を討つ! 覚悟しろ!」


『頭上にあるのは新型のサモンギアか。貴様の方も準備は万端というわけだ、え?』


「ああ、アレか。違うな、コレを使うのは()()()()()。とっておきのサプライズを用意してあるが……」


 サモンギアの存在に気付いたルビィがそう問いかけると、意味深な答えが返ってくる。タナトスは立ち上がり、ゆっくりと歩きながら服に下にあるサモンギアを起動させた。


『サモン・エンゲージ』


「それを披露するに足るか、お前たちを試してやろう。この私……『サモンマスターデリート』がな」


「へえ、面白え。なら、そのサプライズとやらを引きずり出してやる。行くぞキルト、白鎧。一番槍はいただくぜ!」


「Well, I have a name called Bion…… All right, let's do our best to defeat evil for the pride of the Great Demon Duke(やれやれ、私にはバイオンという名があるのだがね……。まあよい、大魔公の誇りにかけて必ずや悪を討ってみせよう!)」


sword(ソード) command(コマンド)


『キルト、我らも行こう! 奴を倒し、長きに渡って続いた因縁にケリをつけるのだ!』


「うん、ここで全てを終わらせる!」


【カリバーコマンド】


 格好は変わらないながらも、凄まじい魔力を放ち戦闘態勢に入るタナトス。そんな宿敵に、キルトたちは勢いよく走って行く。


 真っ先に到達したのは、先陣を切ったヘルガだ。愛用の短剣を振るい、タナトスを斬り付けようとする。が、指一本で止められてしまった。


「なに……!?」


「ヘルガ、思えばお前はイレギュラーとして私の歓心を買ってきたな。本契約モンスターも無しに、よくここまで生き残ったものだ……フンッ!」


「うぐっ!」


 そう口にした後、タナトスは拳を叩き込みヘルガを吹き飛ばす。続いて、間髪入れず襲いかかってきたバイオンを迎撃する。


『サイスコマンド』


「A scythe, a weapon that really seems like a grim reaper(大鎌か、実に死神らしい武器だな)」


「バイオン……お前にはサモンギア・第二世代機(セカンド)の最高傑作を与えたな。よく使いこなしている……流石、最上位の大魔公だ。だが! それでも渡りの六魔星たる私には及ばぬ!」


「This movement…… ugh!(この動きは……ぐうっ!)」


 カードの力で漆黒の大鎌を召喚し、バイオンと斬り結ぶタナトス。最初こそバイオンが優勢だったが、次第にタナトスが優位に立ち始める。


 大鎌を自在に操り、攻防一体の連続攻撃で少しずつダメージを与えていく。そこにキルトが割って入り、バイオンをピンチから救う。


「そこまでだタナトス! バイオン、大丈夫?」


「I can't help it, I was saved. But be careful, this guy's attacks are both sharp and heavy!(済まない、助かった。だが気を付けろ、こやつの攻撃は鋭さと重さを兼ね備えているぞ!)」


「キルト。お前は数奇な運命に導かれ、艱難辛苦の果てにここまで戦い抜いた。お前がいなければ、私は至高のサモンギアを作り出すことは出来なかっただろう。感謝しているよ、おかげで私は……フィニスとなるモノを創り出せたのだから!」


「ごちゃごちゃうるさいなあ、こんな言葉があるって知ってる? 創造の後には破壊があるってね。つまり、お前もお前の作った最後のサモンギアも! 全部僕たちがぶっ壊すのさ! コキュートススラッシャー!」


「む、ぐう!」


「さっきはよくもやってくれたな、ええ? お返しだ……こいつを食らえや!」


「I'll help out too. Take my sword!(私も助太刀しよう。我が剣を受けてみよ!)」


 キルトとバイオン、そして復帰したヘルガの三位一体の攻撃が放たれる。大鎌で受け止めようとしたタナトスだったが、流石に受けきれなかった。


 武器を破壊され、そのまま玉座の方へと吹き飛ばされる。玉座に激突し、崩れ落ちることに。


「ぐ、ぬ……。やはり、サモンギア・第一世代機(ファースト)……それも型落ちの品では三位一体の技は防げぬか」


「えっ!? 嘘でしょ、そんな古いのであれだけ戦えてたの!?」


「そうとも、お古で十分なのさ。ウォーカーの一族、その中でも最上位の存在である私にはな。さあ、来るがいい。まだ戦いは始まったばかりだ」


 驚愕するキルトにそう声をかけ、タナトスは手招きする。死神との決戦を、彼らは制することが出来るのか……。答えが出る瞬間は、そう遠くない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 大将戦が始まり時に行儀よく「待て」なんて出来る訳ないよなヘルガの姉さん(ʘᗩʘ’) タナトスも大分調子に乗って敵を褒めてるけど本質は変わらずサプライズ余興と言う他人任せか(٥↼_↼)
[一言] これでもなのかよ・・・
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