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292話─絆の力で悪竜を討て!

 尻尾を両断され、激昂するオニキス。ヘルガへ追撃を加えんと、炎を口の中に蓄えはじめたその時。偽物に紛れている本物のデミルが、強制送還を行う。


『何ヲスル、デミル! 邪魔ヲスルナ!』


「おっと、あんた冷静さを失ってるから一旦頭を冷やしてきなさい。忘れてないわよね? あんたが死んだら私も」


『黙レ! 元々我ハ貴様デハナクネガト契約ヲ行ッタノダ! ソノマガイモノ以下ノ貴様ノ命令ナド、我ガ聞ク義理ナドナイワ!』


「はあ? 舐めたこと言ってんじゃないわよ! たかが契約モンスター如きが主人に刃向かっていいと思ってるわけ!?」


 デミルとしては、オニキスの思考をクリアにし、改めて召喚する……つもりでいた。が、戦いを中断させられたオニキスの怒りは彼女に向いた。


 お互いを罵り合う不毛な大喧嘩が始まり、それがきっかけで本体の居場所が丸わかりになる。戦いもせずに大声で怒鳴っているのだから、無理からぬことだ。


「いた、本物はあそこ……って遠いわね! アタシの奥義で蹴散らしてやるわ!」


『アルティメットコマンド』


「そおりゃあああ!! ファラリススクラァーーーーーーッチ!!!」


「ぶもおおおおお!!!」


 本物の居場所が分かった……まではいいが、エヴァの予想した通り偽物たちに囲まれており、そう簡単には到達出来ない。


 そこで、エヴァは自らの奥義を用いて偽のデミルたちを薙ぎ倒していく。双子やドルト、サウルたちが援護を行い、道を切り拓く。


「ハッ! まずい、ケンカなんてしてる場合じゃないわ! 敵がこっちに来る!」


『チッ、貴様トヤリ合ウノハ後回シダ。マズハ連中ヲ殺ストシヨウ』


「やれるもんならやってみなさい! アタシが」


「いいや、オレがいただく。選ばせてやるよ、次は首を落とされるか……それとも腹を掻っ捌かれるかをなぁっ!」


「ちょ、人の獲物盗ろうとすんじゃないわよヘルガァ!」


 キルモートブルを駆り、偽のデミルたちを吹っ飛ばしながら本物へ迫るエヴァ。ようやくそれに気付いたデミルとオニキスは、一時喧嘩を中断する。


 迎撃態勢を取るデミルを、問答無用で轢いてしまおうとするエヴァだったが、そこに回復したヘルガが乱入してきた。


「ハッ、知ったことじゃねえなあ。早い者勝ちなんだよ、こういうのはなあ!」


「バカな奴らね、私がはいそうですかって攻撃を許すとでも? 教えてあげる、ネガとはカードの構成が違うってことを!」


【ブレスコマンド】


 首獲り競争を繰り広げるエヴァたちを見ながら、本物のデミルは笑う。黒い獄炎を吐き出す竜の頭部が描かれたサモンカードを取り出し、サモンギアに読み込ませた。


 すると、キルトのように鎧の胸部分に竜の顔が現れる。が、その口からは禍々しい黒炎が漏れていた。嫌な予感を覚えたヘルガは、キルモートブルの背中に飛び乗る。


「ククク、邪魔するぜ。進路変更だ、引き返せ」


「ぶもっ!?」


「ちょ、ブルちゃんは一人乗りよ! 何勝手に……って、マジでヤバそうね! ウォン、フィリール! みんなを守って!」


「任せろ!」


 強制的にUターンさせられたため、背後を振り返り様子を見るエヴァ。少しずつ竜の口が開くのを見て、即座にウォンたちに向かって叫ぶ。


REGENERATE(リジェネレイト)


【Re:MARINE(マリン) ADVENTURE(アドベンチャー) MODEL(モデル)


【ガードコマンド】


「半分はオレのところに集まれ! もう半分はフィリールのところに!」


「はーい! みんな急げー!」


『急げー!』


「なんや、えらい室温が上がってきおったで。こらヤバいのが来るな……」


「ええ、そうよ。お前たちは纏めて死ぬの、この業火に焼かれてね! チリになりなさい、インフェルニティブレス!」


 デミルの鎧に現れた竜の口が完全に開き、そこから全てを灰燼に帰す地獄の業火がブレスとなって解き放たれた。


「おい、急げ。早くしないと仲良く丸焼きだぜ? ま、あれだと死体が残るか怪しいがな」


「っさいわね、今全力で……っしゃあ、間に合った! お疲れブルちゃん、戻っていいわよ!」


「ぶもお!」


 偽物たちをも焼き尽くし、守りを固めるウォンたちや彼らの元へ逃げるエヴァらに襲いかかる。間一髪、仲間の元に退避が間に合ったエヴァとヘルガ。


 二人がウォン、フィリールの背後に隠れた直後。黒く燃え盛る地獄の炎が到達した。ウォンはマント、フィリールはタワーシールドを構え攻撃から仲間を守る。


「ぐ、う……! なんという熱さだ、海水の守りを貫通されそうだ……!」


「ふう……ぐ、キッツ……」


「二人とも頑張って! めーちゃん、キルトさんから貰った『アレ』使お!」


『うん、やっちゃお!』


『♠4:BLESS(ブレス)


 今にも守りを突破されそうなウォンたちを助けるため、イゴールとメリッサはキルトに託されたオリジナル効果のアブゾーブカードを使う。


 祝福された蘇生の炎の加護がウォンとフィリールに宿り、獄炎を遮断する。仲間を守るため配備されたスケルトンは失ったが、それ以外の損失を出すことなく攻撃を凌ぎきった。


「はあ、はあ……! やったぞ、どうにか……凌いだな」


「これまでの人生で……一番、キッツ……かった」


「ありがとう、二人とも! それにナイスフォローだぜ、双子のチビちゃん!」


「えへへ、みんな無事! よかった!」


「う、嘘でしょ……インフェルニティブレスを防ぎきるなんて……! でも、まだまだ私の軍団はいるのよ! この程度で勝敗は決しない!」


 仲間を守り切ったウォンとフィリール、二人を助けた双子を絶賛するサウル。対するデミルは驚愕するものの、即座に偽物たちを呼び出した。


「ゾロゾロと鬱陶しいな……あ、そうだ! ウォンさんにレドニス、こんな作戦が……」


「ふむふむ、なるほど。それなら相手を一網打尽に出来るな」


「よし、やってやろうぜ! アリエルって言ったか、あんたも協力してくれるか?」


「もちろんさ! みんなの『避難』は私とフロウラピルに任せてよ」


「何をコソコソやってるのかしら? 相談したってムダよ、死になさい!」


 何かを思い付き、仲間たちに耳打ちするサウル。そんな彼らに、デミル軍団が襲いかかる。直後、サウルたちは即座に行動に移った。


『アドベント・フロウラピル』


『♠8:COPY(コピー)


「みんな、私とフロウラピルに掴まって! 一旦空中に退避するよ!」


「何か作戦かあるんだな? 分かった、みんなアリエルの言う通りに!」


「フン、いいさ。乗ってやるよ、今回はな」


 サウルのアブゾーブカードによって増殖したアリエルたちに掴まり、上空へと浮き上がるエヴァたち。そのすぐ後、ウォンとサウルが連続でカードを使う。


【オーシャンコマンド】


『♠6:FREEZE(フリーズ)


「おお、これは! 海水が一気に凍って……」


「凄い! デミルたちの脚を拘束したよ!」


「くっ、何よこれ! 動けないじゃないの!」


 海水がエントランスを満たし、一気に凍り付いてデミルの動きを封じ込める。ドルトとプリミシアが驚くなか、レドニスが指を振る。


「これで終わりじゃないんだぜ、こいつを食らえ!」


『♣6:THUNDER(サンダー)


「今だ、カード効果解除!」


「ま、まさか! うぐあああああ!!」


 レドニスが雷を落とし、サウルが着弾寸前に海水の凍結を解除する。結果、逃げる間もなくデミルたちは拡散する電撃により全滅した。


 辛うじて本物が生き残るも、すでに虫の息となっており戦闘の続行は不可能。ガーディアンズ・オブ・サモナーズの、絆の勝利だ。


「やったわ! やるじゃない、みんな。素晴らしい連携だったわよ!」


「ふふ、これでキルトに自慢出来るな。さ、降りるとしよう。本物にトドメを刺さねばな」


「だいぶ暴れたからな……ま、今回は上々だ」


 床に降りたエヴァたちは、崩れ落ち膝をつくデミルの元へ向かおうとする。が……。


「バカ、ね……まだ、最後の増援がいるのよ!」


「クソッ、また出てきやがった! なんてセコい奴だ!」


「あんたたちは消耗してる……万全な状態の私軍団相手に、どこまで」


accel(アクセル) command(コマンド)


 床に魔法陣が現れ、そこから大量のデミルたちが姿を見せる。体力、サモンカード共に消耗しているエヴァたちは万事休すかと思われた。


 が、その時。エントランスの中央に黄金の門が出現し、その中からサモンカードの発動音声が響く。そして、バイオン……サモンマスタージーヴァが現れデミルたちを滅していく。


「Did you make it in time? Looks like you arrived at the right time.(間に合った、か。いいタイミングで到着出来たようだな)」


「アンタ、バイオン!? どうしてここに!? それにその門は……」


「Rio's friend Phil helped me out. We need the power of the Walker clan to reach this place.(リオ殿のご友人、フィル殿に助力していただいた。この地にたどり着くには、ウォーカーの一族の力が必要だからな)」


「そんな、バカな……。軍団が、全滅……」


 リオに頼まれた通り、バイオンが駆け付けたのだ。キルトと仲間たちを助けるために。茫然自失なデミルに向け、バイオンは奥義を発動する。


ultimate(アルティメット) command(コマンド)


「Basclesia! Girl, I don't hold any grudge against you, but... I'll ask you to disappear here! Secret technique... Infinite Kick Cast!(来い、バスクレシア! 少女よ、貴公に恨みは無いが……ここで消えてもらう! 奥義……インフィニット・キックキャスト!)」


 白馬が現れ、後ろ脚で立ち上がる。バイオンは後方宙返りし、相棒の元へ跳ぶ。そんなバイオンを前脚で蹴って押し出し、加速させるバスクレシア。


 デミルに向かって、バイオンは秒間三十発の蹴りを十秒浴びせかける。凄まじい蹴りの連打を受け、ついに最後のクローンは息絶える。


「う、ぐ……がはぁっ! こんな、ところで……私、は……」


『我ガ、滅ブ……ダト? アリエル……ワケガ……』


「It's over. You guys should rest here and leave the kilt to me.(終わったな。貴公らはここで休んでいるといい、キルトのことは私に任せろ)」


「そうね、そうするわ。少し休憩したら、アタシたちはどこかに保管されてるキルトの左腕を破壊してくるわ。もう二度とクローンが造られないようにね」


「I understand. Let's tell kilt when we meet up. So I do this(承知した。合流したらその旨をキルトに伝えよう。では、私はこれで)」


エヴァとそう言葉を交わした後、バイオンはポータルを開いてキルトの元へ向かう。こうして、キルトのクローンは滅びた。


 戦いを終えたエヴァたちは変身を解き、疲れた身体を休めるため寝転がる。全員、顔には安堵の笑みが浮かんでいた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 何か聞き覚えのある喋りのエルダードラゴンだと思ったが(ʘᗩʘ’) まさか、あのネガの片割れか(゜o゜;ネガと一緒に死んで成仏したかと思ったがデミルに再利用されてたのか(٥↼_↼) 仲が悪い…
[一言] バイオン・・・美味しい所を持って行ったねぇ。でもお陰で助かった。
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