表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

300/311

291話─奮闘せよ、GOS!

「さあ、私たちの波状攻撃! どこまで耐えられるかしらね!」


【ソードコマンド】


「ハン、舐めんじゃないわよ。こちとらいろんな修羅場を潜ってきてるわけ、こんなのは全然苦じゃあないわ!」


『アックスコマンド』


『ナックルコマンド』


 斧と篭手、二つの武器を召喚したエヴァは敵の群れに斬り込んでいく。そこかしこで、無数のデミルとの戦いが始まっていた。


 単騎無双が可能な戦闘能力を持つエヴァやヘルガ、ミューはともかく。他のメンバーは分断され孤立すればほぼ確実に死ぬ。


 それを理解している双子が、エヴァに追従するようにサモンカードを発動する。スケルトンを護衛につけて、孤立するのを防ぐために。


『ネクロコマンド』


「さあ、おいでー! スケルトンガーディアン!」


「おお、これは! おっきな盾を背負ってるねえ、頼もしいよ!」


「ありがたい、俺の武器は弓矢だからな。一人じゃ自分の身を守るのが……フッ! 大変だからな!」


「ムダなことしちゃって、そんな骨如きすぐ叩き潰してあげるわ!」


 両腕と背中に黒く輝く巨大な円盾を装着した、大柄なスケルトンの騎士がヘルガとミュー以外の仲間の側に現れる。


 頑強な盾と身に纏う灰色の全身鎧で、デミル軍団の攻撃を受け止める強固な壁としての役割を全うするスケルトン。


 特に、自衛の難しいドルトが喜んでいた。一方、ヘルガはハンドサインで拒否の意を示し手助けを断る。こんな時でもスタンドプレーを貫くようだ。


「匂いは……チッ、本物(アタリ)偽物(ハズレ)も全く同じか。なら、片っ端から仕留めてやるよ!」


「ぐはっ! こいつ、短剣しかないのにつよ……」


「怯むんじゃない、相手はリーチが短いわ! 複数でかかれば一方的に殺せるわよ!」


「ハッ、そう思うならやってみろ。コイツを見て同じことを言えたらの話だがな!」


『サポートコマンド』


 襲いかかってくる偽のデミルを蹴り飛ばしつつ、ヘルガはサポートカードを発動する。蛇腹状の刃が生えた、長い尾を持つ赤いトカゲが描かれている。


「来な、ラングリザード。さあ、お前の刃を振るわせてもらうぜ!」


「ほう、なるほど。あのモンスターを装備して武装を増やすのか。なかなか賢い奴……」


「後ろががら空きよ! 死」


「よっと」


「がはっ!」


 ヘルガは左腕の前腕をラングリザードに掴ませ、腕ごと鞭のように振るう。こうすることで使える武器を増やし、リーチの問題を解決したのだ。


 背後から襲ってくるデミルを振り返りもせずに槍で貫きつつ、フィリールは、感心する。なんだかんだでそれぞれが善戦し、少しずつ敵の数も減るが……。


「いいぞ、どんどん敵が減ってる! このまま行けば」


「アハハハ、残念! 最初にいるので全部だとでも思った? そんなわけないじゃない、まだまだ控えがいるのよ!」


「うわあっ、増えたよめーちゃん! どうしよっかこれ」


『後から出てきてずるーい!』


「アカンで、このまま増援が延々出てきたらウチらスタミナ切れで負けてまうわ!」


 ウォンが仲間を励ますなか、デミル軍団の一人が嘲笑う。指を鳴らすと、部屋の天井にひし形を二つ組み合わせた魔法陣が出現する。


 そこから、新たに数十人の変身済みデミルが飛び出し参戦してきた。ヨーヨーで相手を薙ぎ倒しつつ、アスカはたまらず叫ぶ。


 双子の呼んだスケルトンも、召喚者本人の魔力が切れれば消滅してしまう。そうなる前に決着を付けねばならないが、そのためには……。


「こうなったら速攻殲滅しかないよ! リジェネレイト出来る人から優先で奥義を使おう!」


「だな、リジェネレイトしてから解除すれば、少ないリスクで奥義を連発出来る……というわけで、先陣を切らせてもらう!」


「ボクだって!」


『アルティメットコマンド』


『アルティメットコマンド』


 奥義を使い、素早く複数のデミルを仕留めて迅速に数を減らしていかなければならない。が、サモンマスターの奥義の大半は、一対一の戦いに特化している。


 特に、リジェネレイトした後の奥義はその傾向が顕著に表れている。そのため、ノーマルモデルの奥義が活路を開くすべとなるのだ。


「食らえ、ヘルクレスクレイドル!」


「みんな、近くに来たら避けてねー! エクステンドブレイク!」


「うおっ、すげえな。あれじゃ完全に通り魔と轢き逃げだぜ!」


「近くに来たら避けろっつってもよ、乱戦じゃ限度があるんだっつーの!」


 真っ先に奥義を使ったのは、やりようによっては複数の敵を纏めて始末出来るフィリールとプリミシアの二人だ。縦横無尽にエントランスを駆け巡り、デミルたちを始末していく。


 サウルやレドニスは、二人の大暴れを見てそんな感想を口にする。その間にも、どんどんデミル軍団が倒されていくが……。


「ふうん、やるじゃない。でも、アンタたちじゃあオニキスの鱗は貫けないわね!」


『アドベント・エルダードラゴン』


「グオオオオ……!! デミルヨ、随分ト焦ラシテクレタナ。我ハ暴レタクテズットウズウズシテイタゾ!」


「やはり出てきましたね、もう一体のエルダードラゴンが。もっと早いタイミングで召喚するかと思っていましたが、遅らせてきましたか」


 フィリールたちの快進撃を阻止せんと、偽物に紛れている本物のデミルがオニキスを召喚する。広いエントランスとはいえ、本来の大きさで出てくるのは無理なため三メートルほどに縮小していたが。


「サア、我ガ相手ヲシテヤロウ! カカッテクルガヨイ、オリジナルノ腰巾着ドモ!」


「あ゛? 誰がキルトの腰巾着ですって? 気に食わないわね、このクソドラゴン! 悪い口は真っ二つにして、二度と喋れないようにしてあげる! ミュー、やるわよ!」


「貴女の命令に従う気は千パーセントありませんが、あの者の言動が腹立たしいのは事実。今回は協力して差し上げましょう、泣いて喜んでください」


「こんな時まで超上から目線してんじゃないわよ! まあいいわ、やるわよ! ダブルアックス……」


「ギロチン!」


 オニキスを仕留めるべく、エヴァとミューはコンビネーション攻撃を仕掛ける。前後から相手を挟み撃ちにし、斧による攻撃で右腕を落とそうとする。


「オラァッ!」


「む……硬い!」


「ククク、ナンダ今ノハ? コノ程度、我ニハ」


『ナックルコマンド』


「効かないと、これでも言えるかな! レイ家流格闘術、鉄杭豪圧拳!」


「俺も加勢してやるよ! あらよっと!」


 だが、エルダードラゴン特有の非常に硬いドラゴンスケイルによって全く歯が立たない。勝ち誇るオニキスの元に、ウォンとレドニスが迫る。


 篭手を纏った拳と、巨大なハンマーをそれぞれエヴァとミューの斧に叩き付けることでさらに押し込む。四人分のパワーが加わり、鉄壁のドラゴンスケイルに亀裂が走る。


「バカナ!? 我の鱗ニヒビダト!?」


「何やってるのよ、オニキス! そんな奴らさっさと吹っ飛ばしちゃいなさい!」


「ハッ! ソウダッタナ、我ノ尻尾デ」


「ククク、その自慢の太い尻尾……鱗がねえみてえだな、え? なら……オレでも斬れるぜ!」


『サポートコマンド』


 鉄壁を誇る鱗に傷を付けられ、動揺を隠せないオニキス。デミルの声で我に返り、エヴァたちに尾を叩き込もうとした直後。


 いつの間にかオニキスの背後に回り込んでいたヘルガが、以前用いた剣型のモンスター『ソードファントム』を召喚して尻尾を中程から両断した。


 完全に不意を突かれたオニキスは、激痛に叫び声をあげる。が、それでも素早く身体を後ろに下げつつ残った尾をスイングさせヘルガに叩き込み吹き飛ばす。


「ぐっ!」


「オノレ、ヤッテクレタナ! 我ヲ怒ラセタコトヲ後悔サセテクレル!」


「プッ! やってみろよ、オレはそう簡単に死なないぜ? 昔からタフさには自信があるからな」


 口から血の混じった唾を吐いた後、ヘルガは立ち上がる。大乱戦を制するのはガーディアンズ・オブ・サモナーズか。


 あるいはデミル軍団とオニキスか。その答えは、もうすぐ明らかになるだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 久しぶりに見たな、ヘルガが戦場を駆け回るのを(ʘᗩʘ’) しかし、元を言えばキルトの腕一本からクローニングされた連中だけど(゜o゜; キルト本人との因果関係より原料の腕を完全消滅させれば連…
[一言] GOSは腰巾着じゃない事を教えてやれ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ