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288話─狭間の虚空の戦い

 襲い来るウォーカーの戦士たちをイシュナルギの主砲で殲滅したキルトたち。しばらく次元の狭間を進んでいくと、レーダーが前方に大きな魔力反応を捉えた。


「キルト、四キロ先に反応があるわ。座標データを見るに、タナトスの拠点で間違いないと思う」


「ありがと、エヴァちゃん先輩。よし、今のうちに変身しておこう!」


 敵の拠点では、何が起こるか分からない。準備が整っていないところを強襲されたり、いきなり分断されてしまうこともあり得る。


 そのため、キルトの言葉に合わせて全員一斉に変身を行う。リジェネレイト出来る者も、カードの使い分けを意識し通常モデルを使うことに。


「さて、もうそろそろ見えて……きたね。悪趣味だね、髑髏の形したお城なんてさ」


「あー、ウチが日本におった頃に観た映画でもあったわあ。ま、そん時のは映画の主人公たちが使(つこ)てたんやがな」


 しばらくして、何もない漆黒の空間の向こうにレーダーの反応物が見えてきた。真っ白な髑髏の形をした城が、不気味に浮かんでいる。


 キルトやアスカが拠点を見た感想を口にするなか、レーダーを見ていたミューが主に報告を行う。


「マスター、レーダーの反応を見たところどうやらあの城は三重の魔力バリアに守られているようです。乗り込むためには、まずバリアを破壊する必要がありますね」


「分かった、それならこの船の主砲を」


『ようこそ、ガーディアンズ・オブ・サモナーズの諸君。はるばる次元の狭間を航海し、よく我が元へとやって来た。歓迎しようではないか』


「この声は……タナトス!」


 主砲を起動し、レーザーでバリアを消し飛ばす準備をしようとしたその時。どこからともなく、城の主たるタナトスの声が聞こえてきた。


『迎撃に向かわせたΩ-13とモルドを倒し、この覇導船イシュナルギを鹵獲するとはな。それだけでなく、私が仕込んだ自爆プログラムも解除するとはなかなかにやるものだ』


「あの程度のプログラム、わたくしやマスター、ミス・アリエルであれば簡単に発見出来ます。侮らないでいただきたいですね」


「そうそう、あんなもんで私たちは止められないよ?」


「待っているがいいタナトス、すぐに我らが乗り込んでお前の首を獲るぞ!」


『フッ、やれるものならやってみるがよい。言っておくが、そう簡単に私のところにたどり着けると思わないことだ』


 ミューやアリエル、フィリールが挑戦を叩き付けた直後。イシュナルギの数キロ先にある巨大な髑髏の眼窩に、不気味な紅い光が宿る。


 キルトたちが訝しむなか、ゆっくりと髑髏の口が開いていく。紅の光は、ずっとイシュナルギを……否、その中に搭乗しているキルトを見ていた。


「髑髏が動いた……!?」


『フフフ、驚いたかな? この城そのものがサモンマスターなのだよ、キルト。さあ、次元の狭間のチリと散れ! サモンマスターエンティティ、起動せよ!』


『オオ……オオオオオ!!』


「マスター、攻撃が来ます! なにかに掴まっていてください……面舵いっぱい!」


 タナトスの声が途絶えた直後、巨大な髑髏……『サモンマスターエンティティ』が雄叫びを上げる。嫌な予感を覚えたミューは、即座にイシュナルギの進路を右へ変えた。


 ブースターを全開にし、元いた場所から離れたその瞬間。髑髏の口からレーザーが放たれ、イシュナルギのすぐ側を通り過ぎる。


「うわわわ! す、凄い揺れたね。あのレーザー、こっちのと同じくらいの威力がある……いや、向こうのが上かも」


「キルト、どうする? オレたちが個々に出撃したところであのサイズ差だ、バリアもあるし一方的に叩き潰されるのがオチだろう」


「うん、ウォンさんの言う通りだよ。僕たちじゃダメだ、この船……イシュナルギを使ってあの城を倒さないと!」


 いくらキルトたちが百戦錬磨のサマンマスターとはいえ、巨大要塞を相手取るのはあまりにも無謀。イシュナルギがなければ、勝利は危うい。


 イシュナルギを失えば、勝つどころかメソ=トルキアへの帰還も出来ない。敵の攻撃を慎重に避けつつ、主砲を使い髑髏城を撃滅する任務が始まる。


「くっ……見ていることしか出来ないなんて歯痒いな、俺たちに出来ることが」


「ふふふ、あるんだよねこれが。ほら、ここのカバーを外すとね……じゃーん!」


「おっ? これは……カードスロット? こんなもんあったのか、この船に」


「いえ、そのカードスロットはマスターとミス・アリエルの要望によってゼギンデーザ帝国の技師たちが後付けしたものです。イシュナルギに乗っての戦いを想定し、サモンカードの力を船に与えるため作られました」


 何も出来ないことにやきもきしているサウルに、キルトは得意気に答える。コントロールルームの両サイドにある装置のカバーを外し、切り札を見せた。


 目を丸くするレドニスに、イシュナルギを操縦しつつミューが答える。今回のような事態を想定し、すでに手を打っていたようだ。


「それは凄いな……よし、それなら早速サモンカードを使ってみよう。左右に二つずつスロットがあるから、最大四枚同時に使えるな」


「それならドルト、君の狙撃中継衛星を召喚しておくれよ。イシュナルギにピッタリだからね!」


「そうだな、よし! 早速使わせてもらおう!」


『リレイコマンド』


 遠距離攻撃なら自分の十八番、とばかりにアリエルの呼びかけに応えるドルト。無数の狙撃中継衛星が次元の狭間に現れ、髑髏城を囲む。


「さあ、これで主砲をパワーアップさせる。ミュー、いつでも発射していいぞ!」


「かしこまりました、ミスター・ドルト。では……主砲エネルギー充填。システムオールグリーン……発射!」


 髑髏城……サモンマスターエンティティの放つレーザーを避けつつ、主砲を起動させるミュー。八つの主砲からレーザーが放たれ、衛星を呑み込む。


 狙撃中継衛星は消滅することなく、レーザーの軌道を変え、分裂させて増やし……。その数三倍、二十四へとレーザーを増加させた。


 その全てが髑髏城を守るバリアに直撃し、亀裂を生んでいく。だが、それを察知した髑髏城から不気味な重低音が響いた。


『リカバリーコマンド』


「まずい、あいつバリアを修復してる! 修復速度が速すぎる……このままだとこっちがエネルギー切れになるぞ!」


「へっ、簡単な話だな。だったら、再生速度を上回るダメージをブチ込みゃいいんだ! キルトさん、このスロットはアブゾーブカードにも対応してるんだよな?」


「もちろん! ド派手にやっちゃって!」


「おう、任せとけ!」


『♠8:COPY(コピー)


 サモンマスターエンティティはレーザーに対抗し、常時バリアを再生し続けることでイシュナルギのエネルギー切れを待つ作戦に出た。


 そうなれば、一気に戦局が相手に傾く。この膠着状態を打破すべく、ドルトに続いてサウルが動く。アブゾーブカードを使い、レーザーを倍にしたのだ。


「へっ、四十八本もレーザーがあるんだ。再生能力を上回らせられるならやってみやがれ!」


「ふむ……マスター、魔力反応を見るにバリアの再生能力が徐々に追い付かなくなってきています。このまま砲撃を続ければ問題なく」


『レギオンコマンド』


『イケ……ワガヘイシタチヨ……。アノフネヲシズメルノダ……!』


 次第にバリアの再生速度が追い付かなくなり、一枚目が砕け散り消滅した。このまま二枚目三枚目と破壊していこうとした、その時。


 髑髏城から無数のスケルトンたちが現れ、イシュナルギへと高速で接近してくる。レーザーで薙ぎ払おうとするも、機動力が高く避けられてしまう。


「あのスケルトンたち、えらい俊敏だね。主砲を破壊されたら面倒だ、あいつらはこっちから」


「打って出て撃滅、ってわけだ。ククク、楽しい祭りの始まりだな。え?」


「わーっ!? ヘルガさん、なんでここにいるの!?」


「ククク、気付かなかっただろ? サポートカードを使って気配を消してよ、お前らが出航する時にこっそり乗り込んでたのさ。こんな特大の祭り、参加しないわけにいかねえからな」


 レーダーに映る大量の反応を見たキルトは、甲板に出て直接スケルトンたちを迎え撃つことを決めた。……が、直後に突然隣に現れたヘルガに度肝を抜かれる。


 サポートカードを使って、透明化と気配の遮断を行いイシュナルギに乗り込んでいたらしい。一瞬ミューを視線を交わし、ヘルガは勝ち誇った笑みを浮かべる。


「薄汚い【ピー】狼……このような真似を」


「はいストップストップ! 今はスケルトンたちの処理が先! ミューはドルトさんやサウルとここに残って。他のみんなで敵を倒しに行くよ!」


「ククク、懸命な判断だ。大暴れしてやるよ、実に楽しみだぜ」


 一触即発の事態を回避しつつ、キルトは仲間を連れ甲板へ向かう。最終決戦の幕が上がり、次元の狭間での戦いが始まった。

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― 新着の感想 ―
[一言] カチコミ前にガンシューティング攻城戦か(ʘᗩʘ’) だいたい骸骨衛星サモンマスターなんて物を出すと元祖骸骨使い(ネクロマンサー)の命王アゼルが黙ってないだろ(٥↼_↼) 双子が帰って自分…
[一言] さあ、最終決戦の始まりだ。
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