265話─燃えよ! エルダードラゴン!
そこからは、怒りに燃えるルビィによる一方的な残虐ファイトが展開された。ダイナモドライバーの力をフルに活用し、フェルシュをいたぶる。
「フン、どうした? 自慢のアブゾーブカードを使ったらどうだ。まあ、そんな暇など与えぬがな! ドラゴンテイル!」
「がふっ! クソッ、僕を舐めるな! お前なんてなぁ、この切り札があればすぐ倒せるんだ!」
【♥J:PROMOTION JACK】
【PROMOTION:REVENGER JACK STYLE】
「ハッ、何をするかと思えば。王の力すら与えられていないとは、タナトスからも軽んじられているな。ええ? 所詮貴様は使い捨ての駒のようだなぁ!」
尻尾の一撃で吹き飛ばされたフェルシュは、立ち上がりながらさらなる変身を行う。さらに灰を纏い、全身に鎖を巻いた姿となった。
が、それを見てもルビィは余裕の態度を崩さない。むしろ、フェルシュを煽りどんどん怒りをボルテージを上昇させていく。
「使い捨ての駒だと……!? 訂正しろ、僕は最強の勇者にして復讐者なんだぞ!」
「プ、クク……ハハハハハ!!! 冗談が上手いなお前は。我に手も足も出ない貴様が? 最強を名乗る? ふっ、アスカだったら『最強の勇者(笑)』とバカにするだろうな!」
「どこまでも人をコケにしてくれやがって! これを食らっても笑ってられるか試してやる!」
『♥3:POISON』
『♥4:SHOOT』
『MOTOR CANNON』
「死ね、トカゲ女!」
フェルシュはバックステップで距離を取りつつ、アブゾーブカードを使い猛毒の玉を作り出す。それを撃ち出し、ルビィを攻撃する。
流石のエルダードラゴンでも、当たればタダでは済まない……が、ルビィは不動の姿勢を崩さない。鎧の内に宿るマグマを煮えたぎらせていく。
「そんなもの蒸発させてくれるわ! ボルケーノオーラ!」
「んなっ!? ば、バカな! 僕の技がこんな簡た」
「もう貴様のターンは来ない。我の鉄拳を食らえ!」
自慢の技をいとも容易く防がれ、狼狽するフェルシュの元にルビィが迫る。胴体の中心部から、マグマがラインを通して腕に注がれる。
ルビィは赤熱する拳を振りかぶり、渾身の一撃を叩き込んで吹き飛ばした。灰の鎧が砕け、フェルシュの身体が熱で焼かれる。
「ぐあああっ! あつ、熱いぃぃぃぃ!!」
「そうだ、我の煮えたぎる怒りが貴様を熱し焼き尽くすのだ。ずっと待っていた……この時が来るのを。貴様のせいで、キルトは……キルトは!」
フェルシュが逃げられないよう尻尾で胴を巻き、ルビィは鉄拳のラッシュを叩き込む。その度に鎧が砕け散り、消滅していく。
「うぐっ、がふっ! ぐああっ!」
「貴様のような傲慢な者には分かるまい! キルトがどれだけ苦しんできたか! 悲しみを抱え込んできたのかを! 我と出会えていなければ、あの子は失意のうちに死を選んでいただろうよ!」
「ぎゃああああ! やめろ、やめてくれ! 顔、顔は焼かないで……」
「黙れ! どうせ貴様は死ぬのだ、顔の一つや二つ焼けただれようが関係あるまい。我が伴侶を悲しませた罪、その苦しみと死で贖え!」
サモンアブゾーバーを尻尾で塞がれているため、フェルシュは全く反撃出来ない。顔を掴まれ、万力のようなパワーで握り潰されながら焼かれる。
地獄のような苦しみから逃れようとするも、人間の腕力でエルダードラゴンに勝てるわけもなく。顔を焼かれながら、空いた手で両腕を折られることに。
「うぐああっ! 僕の腕があっ!」
「安心しろ、アスモデウスのような真似はせん。貴様の汚いブツなど、触ったら我の手と魂が穢れるからな」
「お、まえぇ……! ころ、してやる……!」
「まだそんな寝言をほざくか。よかろう、ならば……そろそろ終わりにしてやる。我らにはまだまだ倒さねばならぬ敵がいるからな、貴様如きに何時間もかけてやるつもりはない!」
翼を広げ、ルビィは空へ飛び立つ。遙か上空へと舞い上がり、キルトへ見せ付ける。因縁の相手が、無惨に死んでいくのを。
「よく見ていろ、キルト! お前を苦しめたゴミの最期を! 断罪の瞬間をな!」
「うん、分かったよ! ……やっちゃえ、お姉ちゃん!」
「や、やめ……うぎゃああああ!!」
頂点に達したところで、ルビィの身体が炎に包まれる。当然、彼女に拘束されているフェルシュも燃え上がり苦しみに悶えることに。
その状態で、ルビィは上下反転し急降下していく。キルトが味わった苦痛の過去に、完全なる決着をつけるために。
「再び死へと還るがいい! 奥義……バーニングフォール・ダストシュート!」
「うぐあああっ! 嘘だ……僕は、最強なのに……こんな、こんなあっさり死ぬなんて嫌だぁぁぁ……げぶぁっ!」
全身が燃え上がり、チリになっていくなかフェルシュは断末魔の叫びをあげる。そうして、頭から地面に叩き付けられ息の根を止められた。
「貴様はもうどこにも行かない。永劫の苦痛を味わい続けるがいい……虚無の闇の中でな!」
「ウ、ウウ……あれ? 私たち……動けるようになってる?」
「目が覚めたか、貴様らの石化を解く手間が省けたのは儲けものだっ」
「おーい、お姉ちゃーん!」
フェルシュの死により、洗脳が解けたメルムとエシェラは正気に戻った。そこに、魔法陣を操りキルトが降りてくる。
「終わったぞ、キルト。見ていてくれたか? 我の……あっ」
「ダイナモドライバーが壊れちゃった……」
「まあよいさ、我はキルトの本契約モンスターであり魂の伴侶。共にあるのが一番自然なのだから」
キルトがルビィを労おうとした瞬間、役目を終えたかのようにダイナモドライバーが真っ二つに割れてしまった。ルビィの力に耐えきれなかったらしい。
しゅんとするキルトを抱き締め、ルビィは優しい口調でそう告げる。少年も頷き、ルビィを抱き締め返した。
「そうだね、お姉ちゃん。ありがとう、僕の代わりにフェルシュを倒してくれて。とってもかっこよかったよ」
「ふふ、そうか。キルトの満面の笑顔が一番のご褒美だ。やはり、キルトは笑顔でいるのが」
『マスターに緊急報告。シャポル霊峰へ敵の大艦隊が接近。アジトへの爆撃を防ぐためステルスモードを起動しました』
キルトたちがイイ雰囲気になってきたその時。懐に入れていた連絡用の魔法石に、ミューからそんな報告が来た。
ついに、フェルガード帝国が動いた。それを知ったキルトは、即座に気を引き締めミューに指示を出す。
「ミュー、すぐにデルトアとゼギンデーザの皇帝に報告して。こっちも飛行艇を出して迎え撃つ! アジトのみんなもすぐに出撃させて!」
『かしこまりました。お帰りをお待ちしております、マスター』
「ついに動いたか、連中が。おい、メルムにエシェラ。貴様らも手伝え、キルトへの贖罪を兼ねてな」
「え? え? あの、何が起きてるんでしょうか……」
「大雑把でいいから説明してよ! 何すればいいのか分かんないじゃん!」
石化している間のことを全く知らないエシェラたちに、キルトは今の状況を手短に話す。その間にルビィは竜形態になり、背中にキルトらを乗せる。
「急いで戻るぞ、今度こそ連中を撃滅するのだ!」
「うん、ラズマトリア公国の二の舞には絶対ならないよ! みんなを守るためにも!」
「私たちが手伝えることがあるなら……」
「ま、やったるわよ。雑用でもなんでもコキ使ってくれていいからね!」
「へえ、言ったね? それじゃ、馬車馬みたいに働いてもらうからね。覚悟しといてよ!」
かつての仲間との決着をつけたキルトたちは、本国へと戻っていく。遙か東より襲来せし悪の帝国との決戦に備えるために。
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