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233話─亮一との決戦

 時は少しさかのぼる。泰道亮一によって転移させられたキルトは、マルヴァラーツの北にある雪原にて佇んでいた。


 数メートル前には、サモンマスターグレイブヤードに変身した亮一がいる。その少し後ろには、彼が使役する死したサモンマスターたちもいた。


『ひいふうみい……七人か。フン、数を揃えてきたわけか』


「ええ、これまではずっとお流れになっていましたからね。今回は……決着をつけさせてもらおうと思いまして」


「ティバにネヴァル、ゾーリンとクレイ、それから機動部隊の三人か。これは油断出来ないな……」


 亮一がスレイブコマンドで呼び出した七人はティバにネヴァル、ゾーリンにクレイ。そして、ロギウスとアグレラ、ポリーナ。


 いずれもキルトやその仲間を苦しめた、名のある強豪が揃っていた。静かに佇む彼らを警戒し、キルトは身構える。


「さて、それでは始めましょうか。……行きなさい、死者たちよ。彼の妨害をするのです」


「オォ……アアァ……!」


「来る……! 安心してね、みんな。またすぐにあの世に還してあげるから!」


REGENERATE(リジェネレイト)


【Re:NIFLHEIMR(ニヴルヘイム) MODEL(モデル)


【カリバーコマンド】


 七人の死者が動き出すなか、キルトもリジェネレイトし攻撃に移った。亮一さえ倒してしまえば、死者は死に還ることになる。


 ゆえに、キルトは死者たちを無視して一気に亮一を仕留めにかかる。が、相手もその動きを予想しており簡単にはやらせない。


「そうはいきませんねぇ、ふふふふ」


『グレイブコマンド』


『レイスコマンド』


「なんだ? リョウイチの身体が透けて……うわっ!」


「死、ネ……キルト……!」


 これまで使っていなかった、第三のカードを発動する亮一。身体が半透明になり、まるで幽霊のような不気味な風貌になる。


 警戒心をあらわにするキルトへ、ロギウスが攻撃を仕掛けてくる。意図的に知能の復活が遅らされているのか、知性はまだあまりないようだ。


 力任せに召喚した大剣を振るい、攻撃を仕掛けてくる。回避自体は出来たが、相手の攻撃はまだ終わりではない。敵はまだいるのだから。


「ハアッ!」


「食ラエ!」


「うわっ、このっ! もう、邪魔だよ!」


『チッ、リョウイチめ。数の優位を活かしてくるか。多勢に無勢では迂闊にアドベントも出来ぬ……キルト、どう切り抜ける?』


「今考えてるとこ! さて、どうやってここを」


「考える必要はありません。あなたはここで死ぬのですからね!」


 ティバたちも動き出し、全員でキルトを攻め封殺しようとする。そこに亮一も参戦し、グレイブによる斬撃と刺突を放つ。


 いくらなんでも八対一では、キルトとルビィに勝ち目はない。どうにかして敵の数を減らさなければ、このままリンチされてしまう。


「っとに、邪魔しないでくれるかな! ていっ!」


「おっと、効きませんねぇ。今の私は霊体ですから。しばらくはこのままですよ?」


『なるほど、厄介な防御カード……キルト、後ろ!』


「ありがとお姉ちゃん! 仕方ない、一旦離脱だ!」


 亮一に物理攻撃を無効化されたところに、背後からゾーリンが迫る。ルビィのおかげで窮地から脱したキルトは、一旦空中に逃げた。


 敵はほぼ遠距離攻撃や浮遊手段を持っていないのが幸いし、一息つくことが出来た。が、一時的に難を逃れただけで状況は好転していない。


「ふう、助かった……。でも、どうやってあいつらを倒そうかな。仲間を呼ぼ」


「ククク、水臭いじゃねえかよキルト。え? こんな楽しい祭りに、オレを招かねえとはなぁ」


「うわっ! ヘ、ヘルガさん!?」


『貴様、キルトの上に乗るな! いや、それ以前にどうやってここに来た!?』


 自分だけでは到底対応しきれないため、援軍を呼ぶべきと考えたキルト。直後、彼の頭の上にヘルガがテレポートしてきた。


「ククッ、忘れたのか? オレはお前にマーキングしてるんだ、いつでもこうやって側に来られるんだぜ? 専用の魔法でな……」


「うひゃあっ! あ、危ない! 落ちるよヘルガさん!」


『おのれ、この発情した駄犬め! ……まあいい、今は人手が足りん。犬の手でも借りたかったところだ、協力してやるからありがたく思え!』


 マーキングによるテレポート魔法を使い、戦いの気配を察してやって来たようだ。器用にキルトの身体を降り、ギュッと抱き着き首筋を舐めるヘルガ。


 伴侶にイタズラされて憤慨するルビィだが、今はヘルガの手を借りたい状況。後であばらをへし折ると心に決め、彼女と共闘することに。


 下から飛んでくる攻撃を避けつつ、キルトはヘルガに話をする。


「詳細は省くけど、とにかく敵がたくさんいて大変なんだ。ヘルガさん、手伝ってくれる?」


「ハッ、ご指名とあっちゃあ手を貸さねェわけにいかないな。ククク、オレの知らない匂いがプンプンするぜ……楽しみだ、なぁ!」


『バトルセットアップ』


「わあっ、危ないよ!? 結構高度が……」


「そんなのはオレには関係ねえのさ! さあ、祭りの時間だぁ!」


 地上からの散発的な攻撃が激化しはじめ、詳しく話している時間はないため大雑把に敵の殲滅の手伝いを頼み込む。


 ヘルガはニヤリと笑い、サモンギアを起動しながら地上へとダイブしていく。その様子を見ていた亮一は二枚目のスレイブコマンドのカードを取り出す。


「新手、ですか。いいでしょう、彼女の相手と穴埋め人員を呼びましょう」


『スレイブコマンド』


「……行きなさい、サモンマスターランズ。Ω-13の仲間と共に、彼女を仕留めるのです」


「……了解」


 新たにサモンマスターランズ、アノード&カソード、フォールンの四人を召喚した亮一。ランズを彼の部下ともどもヘルガへと差し向ける。


「もう、結局数が減ってない! でも、総合的な戦闘力は下がったね。あれならこの人数でもなんとかなるはず!」


『機動部隊の連中以外は背後からの不意打ちくらいしか連携がほとんど出来ていなかったからな。いざとなれば我も出る、行こうキルト!』


「うん!」


 結局、キルトが相手しなければならない人数は変わらない。が、知能のないゾンビ状態でも手強かった機動部隊のメンバーが抜け、むしろ敵の戦力は下がった。


 これならいけると、キルトは急降下して剣を振るい敵を蹴散らす。そこから十メートル近く離れたところでは、ヘルガがハッスルしていた。


「オラッ! クク、どうしたよ? さあ、オレと遊べよ……なぁ!」


「グオッ……」


「ひゃー、ヘルガさん凄い暴れっぷり。ロギウスが宙を舞って……おっと!」


「ふふふ、私がいることをお忘れなきよう。こう見えても強いのですよ、私はね!」


 久しぶりの大立ち回りに大興奮しているヘルガを横目に、キルトは亮一と刃を交える。これまで何度も、戦っては逃げられてきた。


 今回こそ倒す。そう気合いを込め、キルトは死者たち諸共亮一へと斬り掛かる。


「食らえ! コキュートススラッシャー!」


「おっと、危ない危ない。そろそろレイスコマンドの効果も切れそうですね……。一回下がりましょう」


「そうはさせないぞ、こうしてやる!」


【サポートコマンド】


 態勢を立て直そうとする亮一を妨害するべく、キルトはサポートカードを使う。城壁のような大きな翼を持つコウモリのモンスター『フォートバット』が描かれたカードを使い、相手の邪魔をする。


「キェーッ!」


「おや、私が下がれないように邪魔をするつもりですか。いいでしょう、なら……逆に前進するだけのこと! グレイブヤードタックル!」


「え!? うわっ!」


『キルト!』


 だが、亮一の方が一枚上手だった。後ろに下がれないなら、前に出て相手の不意を突いてしまえばいいのだと。


 吹き飛ばされたキルトを、七人の死したサモンマスターたちが囲む。亮一が指を鳴らすと、全員が一斉にアルティメットコマンドのカードを取り出す。


『アルティメットコマンド』


『アルティメットコマンド』


『アルティメットコマンド』


『アルティメットコマンド』


『アルティメットコマンド』


『アルティメットコマンド』


『アルティメットコマンド』


「う、げほ……。リョウイチめ、これが狙いか!」


「その通り、こうやって囲んでしまえばあなたは逃げられませんからね。それではさようなら、サモンマスタードラクル」


 少し離れた場所から亮一が見つめるなか、七人のサモンマスターたちの本契約モンスターが出現する。絶体絶命の危機を迎えたキルトは、窮地を脱せるのか。


 それとも……。

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― 新着の感想 ―
[一言] ヘルガ、専用の魔法ってなんだ・・・ これ、機転で切り抜けるのか?
[一言] 何駄感駄で何人も倒して来ただけに再生怪人が結構増えたな(ʘᗩʘ’) そのせいで大分手こずってる様だが(٥↼_↼) でもヘルガ姉さんアンタ今まで何処行ってたの?(゜ο゜人)) 7章の頃に戦闘…
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