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188話─反撃を始めよう!

「うおりゃあああ!!」


「ぐおっ! チィッ、この俺が競り負けるたぁな。やるじゃねえか小僧。先達を散々倒してきただけのことはあるってわけだ」


 奥義の撃ち合いは、キルトに軍配が上がった。しかし、頑強な鎧に包まれたロギウスは少し火傷を負っただけで平然としている。


『チッ、いつぞやのオーヴァ……ほどではないが頑強な奴め。キルト、リジェネレイトだ! 次の奥義で奴を滅ぼすぞ!』


「うん! ここで一気に決着を……!?」


 デッキホルダーから『REGENERATE(リジェネレイト)─相愛』のカードを取り出し、スロットインしようとするキルト。が、その時だった。


 突如亮一とロギウスの足下に丸い黄金の門が現れ、二人を中に誘う。完全な無敵状態になった二人に対して、攻撃はすり抜け当たらなくなってしまった。


「おや、どうやらタナトスが呼んでいるようですね。今回はここで手打ちというわけですか。ま、仕方ありませんね」


「決着をつけるのはお預けってわけだ。次に会ったら俺が勝つ、必ずな!」


「待て! ……くそっ、逃げちゃった」


 タナトスの介入により、亮一とロギウスは撤退してしまった。幸い、味方に死者が出ていないためそれでよしとすることにした。


「やれやれ、決着をつけられるのはいつにな……わあっ!?」


「ねえねえねえ、君凄いねぇ! 一体どんなシステムなの、その装具!」


「あんな強そうな大男と互角に戦えるなんて、あなた強いのね! 私びっくりしちゃった!」


 戦いが終わり、変身を解除するキルト。そこにウィンゼルとイグレーヌが突撃し、揉みくちゃにする。二人ともかなり興奮しているようだ。


「わわわわ、ちょ、ちょっと待って! お姉ちゃん、助けてー!」


「こらっ、キルトが困っているだろうが! 離れるのだ、このっ!」


「……キルト、か。彼は一体……」


「あー、それについてはアタイが説明するっす。ジェディン、ヘカテリーム、こっちに……」


 本家の親戚たちに纏わり付かれるルビィとキルトを見ていたジェディンとヘカテリームを、イレーナが手招きする。


 手短にキルトの正体と、彼をダイナモドライバー奪還のための協力者として連れてきたことを説明する。話を聞き終え、ジェディンは微笑む。


「そうか……そうじゃないかと薄々思っていたが、やはりフィルとアンネローゼの子孫だったのか。彼は」


「……あれからもう、三百年。こことは違う大地でも、彼らの遺伝子は受け継がれていたのね……」


 強さの秘密を聞き出そうと引っ付いてくるウィンゼルたちにあわあわしているキルトを見て、どこか懐かしさを覚えるジェディンたち。


 そこに、変身解除したウォンとアリエルが戻ってくる。敵も撤退したため、とりあえずソサエティ本部に帰ることになった。


「ほら、二人とも。キルト君が困ってるだろう、続きは本部に戻ってからにしなさい」


「はーい。ジェディンさんに言われたら従うしかないや」


「そうね、怒ると怖いし」


「た、助かった……」


 流石のウィンゼルたちも、大先輩であるジェディンの言うことは素直に聞くらしい。二人が離れ、ホッと安堵するキルト。


 身体を休めるため、一行はルナ・ソサエティへと戻る。その道すがら、ジェディンたちはキルトの身の上話を聞くことに。


「……そうか、君もフィルのように苦難の人生を歩んできたんだな。辛かったろう、せめて……ここを第三の故郷だと思ってくれ」


「ありがとうございます、ジェディンさん。……なんだか、とても懐かしく感じるんですよこの大地。僕の中に流れてる血が、そう感じさせるのかな」


「ええ、きっとそうでしょう。それにしても、本当によく似ているわ。隔世遺伝というやつかしら、目元がそっくりね」


「そう……なんでしょうか。ご先祖様本人と会ったことがないから、いまいち分からないです」


 まるで久しぶりに会った孫を相手するかのように、優しく語りかけるジェディンとヘカテリーム。後でアルバムを見せるとジェディンが約束し、本部に帰ると……。


「よっ、待ってたぜ。相変わらずシケたツラしてんなぁおま」


「えええええ!? ローグ、一体なんでここにいるんすか!? この三百年、一回も連絡寄越してこなかったから死んだと思ってたっすよ!」


 少し前までウィンゼルたちのいた部屋に入ると、そこにはローグがいた。ワインが注がれたグラスを持ち、マルカと優雅に酒を飲んでいる。


 予想もしていなかった人物がいることに驚き、イレーナは叫ぶ。キルトたちサモンマスター組だけでなく、ウィンゼルとイグレーヌも驚いていた。


「よう、お帰り。その様子だと、無事勝て」


「待ちなさいマルカ。あなたなんで平然と酒を酌み交わしているの。三百年ぶりにローグが帰ってきたって、連絡してくれてもよかったのに」


「オレが止めたんだよ、こうしてやった方が驚くだろうと思ってな! ワハハ……お? お前か、フィルとアンネローゼの子孫のキルトってのは」


 一人居残り、留守番していたがゆえに真っ先にローグと遭遇したマルカは平然と仲間たちを出迎える。そんな彼女にヘカテリームが問うと、ローグが答えた。


 その後、キルトを見てニヤリと笑う。何をどうしたのかは分からないが、すでにキルトがフィルとアンネローゼの末裔の一人だということを知っているらしい。


「え、あ、はい。そうですけど……どちら様です?」


「ああ、俺は怪盗ヴァルツァイト・ローグ。悪しきを挫き弱きを助ける義賊だ。ま、よろしくな」


 ワインを飲み干し、新たにグラスに注ぎながらローグは自己紹介をする。胡散臭く思っているようで、ルビィは怪しいものを見るような視線を送る。


「義賊、か。で、その怪盗が何の用なのだ? 盗みにでも来たのか?」


「おい、なんだこの無礼なドラゴンっぽい女は。ここはオレの古巣……って、んなこと言いに来たんじゃねえ。盗まれたドライバーについての情報を探って」


「待て、何故お前がそのことを知ってる? ローグ」


「ハッ、怪盗の情報収集能力舐めんな。とっくに知ってんだよ、フィルとアンネローゼが使ってたドライバーが理術研究院とかいう組織に盗まれたことはな」


 ジェディンに問われ、これまでの自身の動向を説明するローグ。奪われた天と地のドライバーを追い、理術研究院に潜入したこと。


 ネガと呼ばれた少年の手にドライバーが渡り、自身の力ではサモンマスターに勝てず奪還は無理だと判断し撤退したことを。


「ま、脱出する途中で敵に襲われちまったがな。サモンマスターってのはなんなのかねえ、オレの力がまるで通用しなかったのはヘコんだぜ。正直言ってよ」


「確かに、俺やヘカテリームの攻撃もまるで通じなかった。情けないことだ、三百年経って進歩した技術に追いつけないとは」


 サモンマスターメタルスや亮一たちとの戦いを思い出し、落ち込むローグとジェディン。そんな彼らに、アリエルが声をかける。


「へっへっへっ、それならいいものがありますぜ旦那がたぁ。実はこの私、アリエル・フロストが『いいもの』を開発しましてですねえ」


「あ、もしかしてアレを使うんですか? フロスト博士。……オルタナティブ・コアを」


「ぴんぽーん、流石は読者くん! アレをダイナモドライバーとやらに組み込めば、サモンマスターに対抗出来るようになるはずさ!」


「ああ、それはいいアイデアだ。アレを使えば、数の力でサモンマスターに対抗出来るからな」


 アリエルが出した案、それはメソ=トルキア大戦にてキルトたちGOS(ゴッズ)を苦戦させた新兵器……オルタナティブ・コアを使うことだった。


 レオナトルーパーズに苦戦させられたウォンがすぐに賛同し、アリエルの案を肯定する。キルトからオルタナティブ・コアがどのようなものかを聞き、現ヒーローズが興味を持つ。


「へえ、面白い装備だね! 確かに、それを組み込めれば足手まといにならずに済むね!」


「それなら善は急げね。ジェディンさん、ヘカテリームさん。この案を受けようと思うんだけど二人はどう?」


 乗り気な二人に問われ、ジェディンたちは少し考え込む。その後、二人が出した結論は……。


「俺は賛成だ、いつまでもやられっぱなしというのは沽券に関わる。それに、外部の技術にはおおいに興味があるのでな」


「私も構わないわ。ただ、ドライバーを用いない魔女でも使えればいいのだけれど」


「そこは問題ないよ、元々単体運用するものだし。というわけで読者くん、悪いんだけど……」


「ええ、暗域で何か適当なモンスターのデータを採ってきますよ。とりあえず十種類くらいサンプルがあれば足りますかね?」


「流石読者くん、ツーカーで助かるよ! じゃ、コアに入れるデータ集めは任せた!」


 危機感を覚えていたこともあり、ジェディンたちもアリエルのアイデアを受け入れる。こうして、オルタナティブ・コア量産計画が始まった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 勝率なら六、四で此方がやや優勢だったが水入りになったか(ʘᗩʘ’) しかし今まではサモンマスター同士の戦いが当たり前だったが(٥↼_↼) それだけで済まなくなって来ただけに数と技術を補わん…
[一言] アリエルの言わんとする事を言い当てるとは・・・ツーカーなのも頭脳派な所と、同じ技術畑の人間故に・・・ですかね?
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