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187話─鋼鉄の巨兵! サモンマスターグリッツ!

「はあ、はあ……。なんだんだこいつらは、俺の攻撃がまるで効かないとは」


「ダメね、私の炎でも焼き尽くせない……お前たち、一体何者なの?」


「ふふふ、あなた方が知る必要はありません。ここで倒れ、私のしもべとなるのですから」


 街外れにある、スクラップの廃棄場。そこに、四人の人物がいた。うち二人は、ルナ・ソサエティを束ねる月輪七栄冠……ジェディンとヘカテリーム。


 残りの二人のうち片方は、サモンマスターグレイブヤードに変身した泰道亮一。もう片方……肩や膝に尖った角のような突起が生えた、銀色の鎧を纏った大男が付き従っている。


「ハッハハハ! 魔女とやらがどんだけ強えのかと思ってたら、俺たちの敵じゃあありませんでしたねえタイドウさん! 所詮、この『サモンマスターグリッツ』にロートルが勝てる理由はねえなぁ!」


「ええ、私も少し楽しみにしていたのですが。やはり、サモンマスターに抗しうるのは同じサモンマスターだけのようですね」


 大男……サモンマスターグリッツの言葉に頷き、亮一はペストマスクの下で不気味な笑みを浮かべる。今の彼はもう、ジェディンたちをしもべにすることしか頭にないのだ。


「ロートル、か。手厳しいな、流石に三百年も経つとそう扱われるようになるか……」


「だからといって、ここで負けるわけにはいかない。お前たちが何者で、どうやってこの地に」


「そこまでだ! 理術研究院の刺客め、僕が来たからにはもう好き勝手させないぞ!」


 ボロボロになりながらも、亮一たちへ立ち向かおうとするヘカテリーム。そこに、ルビィに抱えられたキルトが降り立つ。


 新手の登場に身構えるジェディンたちだが、キルトの顔を見た瞬間驚きでフリーズする。彼らもまた、フィルの面影を見たのだ。


「君は一体……!?」


「まさか、貴方は……」


「悪いが、質問に答えるのは後だ。先にあの不埒者どもを始末させてもらう。なあ、キルト」


「うん、そうだね。……久しぶりだね、タイドウリョウイチ。メソ=トルキア大戦の時は西の戦線を引っかき回してくれたんだってね。そのお礼をしてあげるよ」


「おやおや、お久しぶりですね。ふふ、あの戦いはとても楽しめました。今回も楽しませてもらいたいところですねぇ」


「悪いけど、楽しむ暇もなく地獄に送ってあげるよ! 新手も含めてね!」


『サモン・エンゲージ』


 デッキホルダーからカードを取り出し、スロットインしてサモンマスタードラクルに変身するキルト。ここは任せてほしいとジェディンたちにアイコンタクトし、敵に向けて走り出す。


『ソードコマンド』


「覚悟しろ、もう二度と悪さが出来ないようにしてやる!」


「ほー、面白え。タイドウさん、あのガキの相手をさせてくれませんかね? この力、もっと試したくてウズウズしてるんだ!」


「ええ、いいでしょう。ロギウス、機動部隊Ω-13の力を見せてあげなさい。私は見学させてもらいますから」


 ロギウスと呼ばれた男は、拳を打ち鳴らしながら前に出る。そして、横向きになったサイの頭部を模したエムブレムが彫られた銀色のデッキホルダーに手を伸ばす。


「言われずとも! さあ、来やがれ小僧! お前の話はタナトスから聞いてるぜ、その実力を俺に見せてみろ!」


『バスタードコマンド』


『大剣か……敵は見た目通りパワータイプなようだ、気を付けろキルト!』


「うん、まずは様子見だ!」


 サイの頭部を模した大剣が描かれたカードを、右胸に装着したプロテクター型のサモンギアにスロットインするロギウス。


 得物を召喚し、キルトに向かって勢いよく振り下ろした。対するキルトは、急制動で横にステップして斬撃をかわしてみせる。


「凄い……! 俺たちではかろうじて避けるのが限界だった攻撃をあんなに鮮やかに……!」


「ええ、それがサモンマスターの戦いらしいっすよジェディン。なんとか間に合ったみたいっすね、よかったよかった」


「あら、イレーナ……こちらの方々は?」


「詳しくは省くが、俺たちはキルトの仲間のサモンマスターだ。今はそれだけ知っていてくれればいい」


 キルトが戦うのを見ていたジェディンらの元に、遅れてやって来たイレーナたちが合流する。戦いの邪魔にならぬよう、共に下がり静観することに。


「ギャラリーが増えたな、ちょうどいい。ここでお前を倒せば俺の実力を示せるってわけだぁ! ライノスブレイド!」


『ブレスコマンド』


「ふん、そう簡単にはいかないよ! ドラグスラッシャー!」


 キルトは武器を強化し、真っ向から相手に立ち向かう。振るわれた剛剣の一撃を受け止め、それだけでなく跳ね返してみせる。


「うわ、凄い……! あんな一撃、僕だったらまず受け止められないな……」


「私も、ローズガーディアンで防いでも片腕持ってかれると思う。そんな攻撃を受け止めるなんて……彼、強いわね」


「ふふふ、そうさ。何しろ読者くんは私たちガーディアンズ・オブ・サモナーズのリーダーとして何度も世界を守ってきたからね。実力は一級品さ」


 凄まじい攻防を見て、ウィンゼルとイグレーヌは呆然としていた。アリエルが自慢気に話す中、二人は決意する。


 自分たちも、キルトのように強くならねばと。先祖のような気高く強きヒーローになるために。


『こやつ、かなりやるな。キルトよ、どうする? リジェネレイトするか?』


「そうだね、ただ……リョウイチが割って入ってこないとも限らないから迂闊な真似はしたくないな……っと!」


「ほーう、余裕だな。俺と戦いながら相棒とくっちゃべるとはよ! いいぜ、なら……」


『ストライクコマンド』


「二刀流で相手してやるぜ! サイの如きパワー、受け止められるならやってみろ!」


 後ろに跳び、一旦攻撃を止めるロギウス。これまたサイの頭部を模した、篭手と一体化した短槍が描かれたカードをスロットインする。


 左腕に篭手を纏い、攻防両面を強化するロギウス。再び突進し、キルトを仕留めんと猛攻を繰り出す。


「食らいな、ライノフェスティバル!」


「っと、手数を増やしてきたか……。でも、その分精度は落ちてるね。これくらいなら防ぎきれる!」


 相手の手数は倍になったが、その分一撃一撃の正確さは一刀の時よりどうしても劣る。亮一が加勢さえしなければ、リジェネレイトせずとも勝てる、が。


「ふふふ、では私も楽しませてもらいましょうか。こうして観戦するのも乙なモノですが、やはり身体を動かしたい性分でしてね」


『グレイブコマンド』


『チッ、やはり来たか! キルトよ、ここは』


「大丈夫だルビィ、奴は俺たちが抑え込む!」


「そうそう、君らはそっちのサイ男との戦いに集中してて!」


『サモン・エンゲージ』


 ついに亮一が動き、二対一の戦いになる……と思われたがそうはならなかった。ウォンことサモンマスター玄武、そしてアリエルことサモンマスターギーラが加勢したからだ。


「おお、あの二人も変身したっすよ! 凄いっすね、シショーたちとは違う技術体系……博士が存命だったから、大興奮してたろうっすね」


「ああ、先生なら食い入るように観察していたさ。俺も……ぐっ、やはり傷が痛むな」


「無理は禁物です、ジェディンさん。見守りましょう、悔しいですが今の僕たちに出来るのはそれだけですから」


 三対二の乱戦が繰り広げられる中、蚊帳の外なイレーナたちはジッと外からの来訪者たちの戦いを見つめる。


 この場にマルカが来ていれば、息子の活躍に大興奮していただろう。もっとも、そうなれば戦いどころではなくなるが。


「ふふふ、いいですね。二人同時に相手するのもいいものですから」


「余裕だねえ、そんな戯れ言いつまで言ってられるかな!」


『スラッシュコマンド』


「ああ、この大地の平和のためにも。死者を使役する貴様には退場してもらう!」


『ポールコマンド』


 薙刀(グレイブ)を呼び出した亮一を相手に、刃の翼と棍を武器に立ち向かうウォンたち。一方、キルト対ロギウスの方は決着がつこうとしていた。


『そろそろよかろう、奥義でトドメを!』


「うん、やるよお姉ちゃん!」


『アルティメットコマンド』


「来やがるか、いいぜ。奥義合戦だぁ!」


『アルティメットコマンド』


 お互いに奥義を発動し、それぞれの本契約モンスターが召喚される。銀色の装甲と白亜の輝きを持つ一本角で武装したサイ型のモンスター『メタルプレイジャス』に跨がり、ロギウスは走り出す。


 対するキルトは、ルビィに抱えられ遙か天へと飛翔していく。全力の一撃が、交差する。


「食らえ! ヘビーメタルトレイン!」


「負けない! バーニングジャッジメント!」


 炎の竜と、鋼鉄のサイ。両者のぶつかり合いの末、競り勝ったのは……。

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― 新着の感想 ―
[一言] 何駄感駄で三百年か(ʘᗩʘ’) ギアーズ博士作のインフィニティ・マキーナの力でも並の人間を超人にする代物で(-_-;) 次世代でもあの魔神直系の連中相手にもいい勝負できて(◡ω◡) あの大…
[一言] あ、これキルトが競り負けるパターンか・・・?
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