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137話─銀速の戦士! アスカ・ジ・エアソニック!

「行くで、ウチの新しい力を見せたるわ!」


「グル……ギィヤァッ!」


 ホバージェットを起動させ、大量の魔力炎を噴射しながら宙に舞い上がるアスカ。凄まじい空中制動と速度を誇る相手に、真正面から戦えるのか。


 不安を覚えるキルトだったが、直後に解消されることになる。アリエルことサモンマスターギーラを相手に、互角の戦いを始めたのだ。


「ガル……ギャッ!」


「っと、そんなヘボキック当たらへん! こいつはお返しや、食らい!」


「ギッ!」


 アリエルの放ったスライダーキックを華麗に避け、ハンドガンに変わったサモンギアによる銃撃を背中に浴びせる。


 翼とバックパックの違いなど屁でもないとばかりに、キレッキレの動きを見せていた。引き続き銃撃しつつ、アスカはキルトに向かって叫ぶ。


「キルト、あいつはウチが正気に戻したる! キルトたちは暗殺者の捕縛を手伝ったってや!」


「分かった、負けないでねアスカちゃん!」


『あの様子なら、我らが手助けする必要はあるまい。アスカ、ここは任せたぞ!』


 アリエルと互角に渡り合えることを確信したキルトとルビィは、ペレトレスの街へ戻っていく。月明かりの元、アスカは銃を撃ち続ける。


「グッ、ギィッ!」


「そいそいそいそい! どや、ウチの射撃テクは! 大阪にいた頃は、祭りの度にテキ屋を回って腕を鳴らしたんやで!」


「ギ……ジャ、マ……!」


『ダーツコマンド』


「シ、ネ……!」


 銃を連射され、思うように近付けないアリエル。大量の羽根を飛ばし、逆襲しようと目論む。だが、そんな攻撃も今のアスカには通用しない。


「ハッ、ならこうしたる! 全部吹き飛ばしたるでぇ!」


【ブラストコマンド】


 アスカは腰に下げたデッキホルダーから、螺旋状の突風が描かれたカードを取り出す。サモンギアにスラッシュすると、バックパックに変化が起こる。


 二つのブースターが横に迫り出し、噴射口が前を向く。そこから、飛来してくる羽根に向かって凄まじい突風が放たれた。


 螺旋状の渦を巻く風に巻き込まれ、羽根は吹き飛ばされ地面に落ちる。


「ギッ!?」


「ふふん、どや? これでもう、厄介な羽根は効かへんで!」


「ギィィィ……!」


『スラッシュコマンド』


 バックパックを元の形状に戻しつつ、相手を挑発するアスカ。飛び道具がダメなら、とアリエルは翼をブレードに変える。


 飛び道具を活かした遠距離攻撃が主体なら、懐に飛び込んでしまえばいい。そう判断し、被弾も構わず勢いよく相手に突っ込む。


「真っ直ぐ来るんか、ええで。ほなら相手したる!」


【ストライクコマンド】


 最初の突進を真上に移動して避けたアスカは、二枚目のカードを取り出す。描かれているのは、群青色の縁取りがされた丸盾と刃が付いた篭手。


 カードをスラッシュすると、アスカの左腕に篭手が装着される。攻めも守りもこれ一つでこなせる、強力な武器だ。


「この『アステリオンアーム』で迎え撃ったるわ! さあ来い!」


「ギィアァッ!」


 篭手に装着された盾を使い、相手の斬撃を防ぐアスカ。 バックパックを使ってアリエルの背後に回り込み、今度は剣で攻撃を行う。


 狙うのは、背中に装備されているサモンギア。これを破壊出来れば、変身解除に追い込んで戦いに勝利出来るが……。


「サセ、ナイ!」


「っと! まあ、せやろな。そう簡単に壊させてくれへんってことくらい、よう分かっとる!」


 アリエルもまた、自慢の機動力を活かして攻撃を回避する。おまけに、アスカの狙いに感付いたらしく背後に回れないよう立ち回りを変えてきた。


 翼を広げて左右からの回り込みを妨害しつつ、足の爪も加えた攻撃を行う。射撃と斬撃を使い分けつつ、アスカは応戦する。


「……なあ、アリエルはん。あんたはウチや。キルトに出会う前のウチなんや」


「ギイッ?」


「無理矢理操られて、やりたくもない戦いに参加させられて……。そんなあんたを見てると、助けたくてしょうがないんや。キルトがウチに、そうしてくれたように!」


「ダマ、レ……! キエロ……!」


『ストームコマンド』


 かつての己をアリエルに重ね、そう叫ぶアスカ。だが、その声は自我を失っているアリエルに届かない。三枚目のカードの発動音が、夜の空に響く。


「ん? なんや……急に曇ってきおったで」


「フケ、アラシ……ヤツヲ、タタキオトセ……!」


 にわかに黒雲が空を覆い、月を覆い隠す。バイザーに魔力を流して視界を確保するアスカだが、突如突風が吹き始めバランスを崩してしまう。


 幸い、バックパックを吹かして姿勢を戻し、墜落することはなかった。が、アリエルの呼び寄せた嵐によって不利な状況に立たされる。


「ああもう、大雨が降ってきおったで! ワイパーが欲しゅうなるなあ、こんなんじゃロクに前も」


「シ、ネ!」


「させへんで! アステロイドナックル!」


「ギィッ!」


 豪雨で視界不良となったアスカの背後に回り込み、不意打ちを叩き込むアリエル。が、戦士としての勘が働きつつあるアスカに対応される。


 盾で翼による斬撃を防ぎ、蹴りを叩き込んで遠くへ吹き飛ばす。雷鳴がとどろき始めたのもあり、長期戦は危険と判断し……切り札を使い決着をつけることを決める。


「激しくなってくる前にケリ付けへんとな。でも、その前に……あいつの機動力を削ぐ!」


【アドベント・アステロアグル】


「キュキュギュイーン!」


「おお、来たき……って、なんや凄いメカメカしい姿になりおったなジブン」


「ウィンウィーン!」


「鳴き声までメカっぽいわ……」


 リジェネリイトにより、新たな姿と名を得た相棒を呼び出すアスカ。現れたミステリアグル……改めて『アステロアグル』は、完全にサイボーグと化していた。


 全身がメタリックシルバーな生体ロボになり、背中には群青色の流れ星のイラストが描かれている。足の先から魔力炎を噴射しており、自力で飛べるようにもなっていた。


「ギィ……!?」


「おっ、驚いとるな。今やアステロアグル、糸で翼を封じてまえ!」


「ガシャッ! キィィーーーン!!!」


 アスカの指示を受け、アステロアグルは相手に尻を向ける。そして、やたらメカメカしい発射音を口にしつつネバネバする糸塊を放った。


 糸塊はアリエルの左翼に直撃し、大きく機動力を奪う。これで、奥義発動の下準備は終わった。


「ネバネバ、ウザイ……!」


「これで仕舞いや、アリエルはん……。いや、サモンマスターギーラ! アステロアグル、戻ってくれてええで、ありがとな!」


「ウィーン!」


【アルティメットコマンド】


 アステロアグルを消しつつ、アスカはデッキホルダーから地へ落ちる隕石が描かれたカードを取り出す。カードをスラッシュし、トドメの一撃を放つ。


「いっけー! アステロアグル!」


『グオオーーーーン!!!』


「ギ……ガァッ!?」


 アスカが力を溜め、両腕を前に突き出すと銀色のオーラとなったアステロアグルが射出される。アリエルに直撃し、X字状に交わる二つのリングとなって内側に封印する。


 そんなアリエルに向かって、間髪入れずアスカが突撃していく。アリエルに向かって跳び蹴りを叩き込んだ後、くの次に折れ曲がった相手の首と両足首を掴み、きりもみ回転しながら急降下する。


「ウチの新しい力、とくとその身に刻みぃや! いくで、奥義……スカイフォールエンドライバー!」


「ギィ……ギャアアアアア!!!」


 落下の衝撃で大地が鳴動し、地割れが起きる。背中から叩き付けられ、アリエルのサモンギアが真っ二つに割れた。


 それに呼応するように、夜空を覆っていた黒雲が消え去り……再び、満点の星空と黄金の輝きを放つ満月が見えるようになった。


「……これにて終わりや。ちゃんとデッキホルダーに当たらんよう落としてやったさかい、感謝しい」


『コングラチュレーション!』


 アリエルの身体から大量の羽根が抜け、変身が解けていく。人の姿に戻り、気を失った彼女を抱えペレトレスへ帰っていった。


 家族との永久の別れを経験し、少女は魂の成長の果てに新たな力を手に入れた。銀速の乙女は、これからも戦い続ける。


 大切な仲間と、新たなる故郷を守るために。

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― 新着の感想 ―
[一言] 新たな門出、新能力テストに相手をしてもらったが(ʘᗩʘ’) 洗脳状態では獣同然なだけに連中に取っては捨て駒か(↼_↼) しかしアステロアグルって足のジェットで飛んでるんだよな?足畳んでUF…
[一言] アリエル確保ォ!&アスカパワーアップや!!
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