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閑話 忘れられた世界2

「君か……。空から落ちて来た者というのは……。」


 若年の騎士は、ベッドに横たわる岡を見下ろし、つぶやく。


「我が名はジャスティード、このカルス地区を守護する騎士だ。医師バルサスから説明を受けた。

 君に質問をしたいが、よろしいかな?」


「はい、私は日本国陸上自衛隊に属する岡 真司といいます。答えられる質問には答えますが、私からもお伺いしたい事があります。」


「では話そうか。貴殿はこのエスペラント王国の外がら来たと聞いた。それは真か?」


「はい、間違いありません。」


「では、何のために来たのだ?」


「事故です。飛行計器が狂い、有視界飛行で飛んでいたのですが、超大型の鳥がジェットエンジンに吸い込まれ、エンジンが故障したようです。」


 若き騎士、ジャスティードは、意味不明の単語の羅列が理解できず、眉間にシワがよる。


「では、エスペラント王国に用があって来た訳ではないのだな?」


「はい、簡単な言い方をすれば、事故による遭難です。」


 一瞬の沈黙。


「ほう、では、お前の乗っていた飛行機械はどうやって作るのだ?」


「機械が複雑すぎて、私のような1兵卒では解りません。」


「そうか、あれが我が国で作れれば、空から矢を射る事も出来、有用な兵器となると思ったのだがな。」


 彼は続ける。


「ところで……。」


 ジャスティードは剣を抜き、目にも止まらぬ速さで岡の喉元に突き付ける。

 体を負傷している岡は、反応のしようがなく、固まる。


「おまえ……本当は魔物ではないのか?最近の王国への侵攻の真の目的はなんだ?答えろ!!!」


 静かな部屋に、怒号が響く。


「き……騎士殿、やめて下され!!」


 医師バルサスが止めに入る。


「ジャスティード様、お止め下さい!!」


 医師の娘サフィーネも彼を止める。

 岡の目には、死の恐怖が浮かぶ。


「フン!!」


 彼は剣をおさめる。


「目に恐怖が宿っている。兵としても、死の覚悟が無い者の目だ。」


 彼は続ける。


「王国は人類最後の砦、他に国があるなどと、今さら信じられるか!!!

 神話においても、大規模な援軍を約束し、それでも援軍は来なかったとある。こいつは魔物の送った刺客である可能性が高い。」


 ジャスティードはまくし立てる。


「しかし、この者の言っていた空飛ぶ乗り物は、元にありました。そして多数の「人間」の死体も確認していますぞ!!」


 バルサスは反論する。


「では聞こう!!」


 騎士は岡に向く。


「お前は、グラメウス大陸の外から来たと言った。ならば神話に残っているはずだ!!

 何故お前たちは、我が先祖が苦戦している時に、援軍を約束したにも関わらず、送らなかったのだ!!!」


 岡は、意味不明な展開に、困惑しながら答える。


「魔王軍に関する神話は、世界各地にあり、トーパ王国には特に詳しく残っていると聞いています。

 しかし、私は日本国の者ですので、「この世界」の神話は詳しくありません。」


「人間でおきながら、神話を知らぬ訳がない!!詭弁だ!!!」


「落ち着いて質問をしてください!!!落ち着いて……けが人なのですよ。」


 サフィーネが大声を出し、騎士のトーンが下がる。


「私も質問をよろしいでしょうか?」


 岡は騎士に問う。


「何だ?」


「先ほど貴方は、最近の魔物の侵攻とおっしゃった。

 今、この国は魔物からの組織的な攻撃を受けているのでしょうか?」


「そうだ!お前が魔物ならば知っているだろうが、すでに2つの街区が魔物の侵入に会い、2万人以上が犠牲になっている。」


「に……2万人!?その街は取り戻せたのでしょうか?」


「まだだ。」


 沈黙……バルサスが話始める。


「岡殿、この国は城壁の国といっても差し支えない。城壁を拡大する事によって、人類の居住範囲を広げてきたのだよ。

 よって、街が1つ落ちると、その街への侵入口は限られるため、取り戻すのに大変な困難を伴うのだよ。」


 ジャスティードは立ち上がる。


「もう良い!!この事は、一応上には報告する。こやつが魔物だとしても、1体であれば、騎士団の監視下に置けば問題ないだろう。」


 彼は岡の耳元に口を近づけ、静かに話す。


「お前が人間だった場合の警告だ。サフィーネに手を出すなよ。あれは俺が将来妻にする女だ。」


「は?」


 騎士たちは去っていった。


◆◆◆


 一週間後~朝


 岡 真司は、ある程度動けるまでに回復していた。

 自分が飛行機で墜落し、運ばれた際に身に着けていた物も、武器とは知らずに運んでくれていたらしく、迷彩服、防弾チョッキ、そして手りゅう弾、89式自動小銃が部屋に置いてある。

 街娘サフィーネと話す事により、このエスペラント王国の事が少しずつ解って来ていた。


 この王国は、人口約30万人程度の都市国家といって差し支えない。

 街はすべて城壁で覆われ、その外には魔物が歩き回っている。

 元々は神話の時代に魔王討伐軍として派遣された軍の末裔たちの国、世界からは忘れられた世界といっても差し支えない。


 この国の住民は、自分たちが人類最後の生き残りだと思い込んでいるようだ。


 人口がある程度増えると、街をつくるため、莫大な犠牲と労力をもって城壁を作り、居住区を広げる。

 国王の国の中心は、天然の要塞となっており、肥沃な土地と水源があるようだ。


「どこかで聞いたような世界だな……。」


 彼はつぶやく。


―トントン―


 部屋のドアがノックされる。


「朝ごはんです。来てください。」


 部屋の外で、サフィーネの声が聞こえる。岡は、洗面を済まし、食事部屋に向かった。


「いただきます!!」


 いつもの朝食が始まる。国が存続の危機にあるため、食事は質素なものであり、うま味は全く考慮されておらず、パンもパサパサ。それでも岡は、命の恩人が無償で、自分達は裕福では無いにも関わらず、食べさせてくれている彼女らに感謝する。


「岡さん。体の調子はどうかね?」


 バルサスが尋ねて来る。


「はい、もう走れそうな気もします。」


 岡は笑って答える。


「ハハ、まだ何とか歩く事の出来るレベルのケガですよ。

 ところで、王宮科学庁の学者が岡さんに聞きたい事があるそうです。

 本日飛行機械の墜落現場に貴方を連れて来るように国から言われています。行けますね?」


 墜落した飛行機は、すでにこの国の者たちに抑えられているようであった。


「……解りました。お答えできるか解りませんが、行きましょう。」


 岡は、食事後に準備をはじめる。

 先日の騎士の出来事もあるため、部屋に置いてある防弾チョッキを着こみ、迷彩服を着る。

 ヘルメットを着装し、実弾の入った89式自動小銃を肩にかける。


「よし!!」


 銃は武器との認識が無いため、おそらくはこの部屋に運ばれているのだろう。準備の整った医師バルサスの先導により、エスペラント王国の街に出るのだった。


◆◆◆


「よし、では行こうか!!」


 バルサスが岡に話す。


「しかし……本当にその格好で行くつもりかね?」


 エスペラント王国騎士と異なり、美意識の欠片もないその姿を見て、バルサスは何とも言えない表情になる。


「はい、この服で行きます。」


「あ……ああ、では行きましょうか。」


 バルサス、岡、そしてどうしてもついて来ると聞かなかったサフィーネの3名を乗せ、馬車は出発した。


◆◆◆


 レンガを積み重ね、3階建ての家が立ち並ぶ街並み、石畳の上をゆっくりと馬車が走る。

 その街に優雅さは無く、待ちゆく人々の顔は暗い。

 まるで、世界そのものに絶望しているかのようにも見える。いつ死が訪れるのか解らぬ絶望……。


 街を抜け、馬車は畑の多い農村地帯を行く。

 鳥はさえずり、牛のような生物がのんびりと草を食べている。

 やがて、小高い丘に、黒ずんだ部分が見えて来る。C-2の墜落現場……。


 現場に近づくと、兵が数名と文官らしき人物が数名立っていた。

 岡たち3人は、馬車を降りる。


「こちらに来てくれ!!」


 岡に聞き覚えのある声、はっきりとした若い男の声が聞こえる。


「ジャスティード……。」


 当時、大けがをして動けなかったとはいえ、喉元に剣を突き付けられ、ただ死の恐怖に震えた嫌な出来事を思い出す。


「こっちだ!王宮科学庁の学者様が、貴様に聞きたい事があるとの事だ!!

 それにしても……兵の度胸も無ければ、文化レベルも我々よりも低いようだな。

 蛮族か……。」


 ジャスティードは吐き捨てる。岡は、こみ上げる怒りをこらえ、墜落現場に向かった。


◆◆◆


「おおー!!よく来てくれた!!君のその格好も、実にエキサイティングだ!!文化の違いを感じるよ。

 私は王宮科学庁のセイという学者だ。よろしくな!!」


 細身で、少し変人かかった彼は、岡に握手を求めながら、はなしかけてくる。


「ええ、よろしくお願いします。」


「ところで、これは君の国が作り出したのかね?」


 学者は、墜落したC-2を指示し、岡に尋ねる。


「え……ええ、国産機だと聞いています。」


「ふぅ……すごいね!!何がどうなっているのか、全くもって理解が出来ないよ。

 そして、空を飛んでいたほどの出力を発揮していたにも関わらず、残留魔力が全く検出されない。

 全くもって意味不明の物だよ。」


「ええ、それは魔力ではなく……。」


 岡が話そうとした時、


ズーン…。


 と、何かが爆発したかのような、重低音が轟く。

皆が音の方向に振り返る。


「な……!!」


 約2km先の城門付近に煙があがり、外から何かが侵入してきているのが確認できる。


「ま…魔物だ!!!」


 誰かが叫び、付近は騒然となった。


◆◆◆


 我が名はジャスティード、人類最後の砦にして、最後の国、エスペラント王国 王都リクサルに流れを持つ王都の貴族、栄えあるワイヴリュー家の次男、ジャスティード・ワイヴリュー。

 貴族として、国を守護するための務めとして、我は騎士団に入団した。

 そこで戦術的思考を磨き、剣技を研鑽し、剣技の高みの象徴、正騎士の称号を手に入れた。

 やがて、カルズ地区という辺境の地に配属される。

 王国の食料を守るという大切な任務だが、さすがは田舎だけあり、年寄が多い地区……しかし、私はある日、天使に出会う。

 

 サフィーネ、医師の娘、平民ではあるが、彼女がけが人を看病する姿を見た時、背筋に衝撃が走った。

 何をしてでもこの殺伐とした世界から彼女を守る。そう心に誓った。

 何度もアプローチをしているが、なかなか見向いてくれない。


 この希望の無い世界、王国の外は地獄であるが、国内に天使がいようとは……。




 ある日、空から意味不明の物体が落ちて来る。

 生きた人間が医師宅に1人運ばれたらしく、他は死亡した。

 サフィーネに合う口実が出来、私はウキウキしながら彼女宅へ向かった。


 医師、バルサスによれば、その者は、人種の若い男であり、時々サフィーネと楽しそうに話しているというではないか……。


 嫉妬。


 今までに感じた事が無い感情が全身を駆け巡る。


 その男は、エスペラント王国の外から来た兵だという。本当か嘘か、正直解らない。

 少なくとも奴は体を鍛えてはいるが、兵としての覚悟が全く出来ていない、軟弱者だった。


 剣を突き付けた時、目に死の恐怖が宿っており、こんな程度の男と仮に戦ったとしても、全く負ける気がしない。


 本日、その男は緑系統のまだら模様の民族衣装を着用し、何に使うのか解らない鉄の杖を肩にかけ、この場……正体不明機の墜落現場に来ていた。

 その姿は、騎士道や美しさからはほど遠く、一言で言えば文化レベルの低い蛮族……。


「蛮族か……。」


 その男と向き合い、つい口に出てしまった。サフィーネの印象が悪くなってはいけないので、口を慎まなければならない。

 しかし、仮に彼らの肩を持つならば、あの民族衣装は林等に逃げ込んだ場合、周辺の風景に溶け込み、見つかりにくくはなるだろう。

 魔物の動き回る外世界で生き抜くには理想的な服なのかもしれない。


 不意に付近に轟く重低音、彼は音のする方向を見る。


「!!!!」


 城門から、黒い煙が上がり、多数の黒い物体が、人類の居住地へ進入してきているように見える。


「ま……魔物の侵攻か!!!」


 彼は、王宮科学技術庁と、サフィーネ達に振り返る。

 手持ちの兵力は、自分を含めてたったの十数名。

 科学技術庁の学者を保護する事は、彼の任務でもあった。


「うおぉぉぉぉぉ!!!」


 城門付近にある兵舎からは、すでに多くの兵が、侵入してきた魔物に対応し、戦闘が始まる。

 剣とこん棒がぶつかり合う音、時折聞こえる魔物の断末魔が、付近の者たちをさらに緊張させた。


 部下が近づいて来て報告する。


「ジャスティード正騎士!門見張り員より連絡あり!!城街侵攻の敵兵、ゴブリン200、オーク10、オークキング2、漆黒の騎士1を確認との事です。」


「な……なにぃ!!」


 絶句……。


「お……オークキング2に、漆黒の騎士1だとぉ!!」


 ゴブリン、これは何とかなる。

 オーク、これも兵が組織的な動きをすれば、何とかなるだろう。

 しかし、オークキングはオークよりも2周りも大きく、知能もあるため全身を鉄の鎧で覆い、弓矢や剣を弾く。さらに人間を遥かに超越する圧倒的な筋肉から繰り出される大斧の一撃を食らえば、人間の剣技など児戯に等しい。

 現に、過去にあったオークキングが混じった侵攻では、奴らを打ち取るために、相当の犠牲を要し、スタミナ切れを誘う事くらいしか抗する方法は無いとさる。


 そんな化け物がこの辺境で兵力が薄い街に2体も……2体も来た。しかも、今回の報告では、漆黒の騎士も1体が確認されている。

 漆黒の騎士……オークキングほどの筋力を持ち、体すべてを漆黒の鎧で覆い、人間では扱えぬほどの大剣を振り回すが、その剣技、そして剣速は達人の域を超える。数々の戦場に姿を現し、多大な犠牲を出していたが、未だ打ち取った者はいない。


 彼に報告があってほどなく、門からオークキング2体と、大きな馬に乗った漆黒の騎士が現れた。


「うおぉぉぉぉぉ!!!」


 兵舎から出て来た兵たちが、前衛のゴブリンを蹴散らし、漆黒の騎士へ向かって突進する。

 魔物の特性か、一番強い者が打ち取られると、他のザコは四散する性質があるため、彼らは一直線に漆黒の騎士へ向かっていった。


◆◆◆


(一体何が起こっている?敵対勢力が攻めて来たのか?)


 岡は、眼前で行われている明らかな「戦闘」に、体を強張らせ、89式自動小銃を握りしめる。

 この国の軍は、敵に矢を放ち、そして騎兵が槍を持って突進している。

 しかし……。


 小さな魔物や、ほぼ裸の大きな豚のような魔物は倒しているようであるが、鎧を着た大きな魔物には、文字通り刃が立たないように見えた。


「ヴッ!!」


 彼の目視範囲で、大きな魔物が大斧を振り、人間だったものがバラバラになる。

 ここは戦場、紛れもなく「戦場なんだ!!!」


 彼は今、自分に出来る事は何か、そしてして良い事は何かを分析し始める。


(正当防衛として、他国の紛争に介入しても良いのか?いや、しかし魔物は有害鳥獣といった扱いだったはず……。あのネックとなっている3体を倒せば、後は現地の兵でも何とかなりそうだ。)


 岡が悩んでいると、敵陣の中からひと際大きな騎士が……漆黒の鎧を身に纏い、人間では決して振れぬ大剣を抱えた騎士が飛び出し、単騎で真っすぐにこちらに向かってきた。


◆◆◆


「し……漆黒の騎士が向かってくるぞ!!!」


 部下が悲鳴のような声を発し、叫ぶ。

 あの誰も打ち取った事のない騎士が……死と恐怖の象徴が、こちらに向かってくる。

 墜落現場に国王旗(国旗ではない)が立っているのが原因かもしれないが、いずれにせよ、どうしようもない気持ちがこみ上げるが、自分は指導的立場にあり、王宮科学庁の学者等を守護する最後の砦だ。


「うろたえるな!!向かってくる敵はたったの1騎ぞ!!突刺隊列を整えよ!!マイル、ケイロ、コウネルは、弓を射よ!!!」


 恐怖の中、彼は的確な指示を出す。

 敵漆黒の騎士は、馬とは思えないほどの速度で彼らに迫る。


「来るぞ!!弓を構え!!」


 3名の兵が敵に弓を引く。


「射てーーっ!!!」


 限界いっぱいまで引き、放たれた弓矢は真っ直ぐに敵に向かって飛翔するが、騎士は大剣の一振りでそれらを叩き落す。


「ひぃっ!!」


 兵の顔が恐怖に引きつる。

 兵は一斉に槍を突き出すも、敵の人間では達する事の出来ない圧倒的な筋力から繰り出される大剣の一撃をその身に浴び、バラバラとなって宙を舞う。




 エスペラント王国の正騎士ジャスティードは、漆黒の騎士の一撃により飛んで来た兵の破片が顔に当たり、吹き飛ばされた。


「ぬぉっ!!!」


 無様に地面を転がり、白銀色に磨き上げた自慢の鎧、そしてマントが土にまみれる。

 敵は彼をその辺の石ころのように無視し、巨大な馬を駆使し、王宮科学庁の学者へ1直線に向かう。


「ま……まずい!!」


 ジャスティードが叫ぶ。

 不意に、2名のローブを着た男が学者の前に出る。


「gaouane4gtrfiahate////\\eai」


 良く聞き取れない呪文のような声を発す。


「ヘル・エクスプローション!!」


 2名の男が突き出した手の先に、青白い球形の物体が生まれる。その光弾は漆黒の騎士へと放たれる。

 奴は大剣で、それをあっさりと薙ぎ払い、周囲に猛烈な爆風が生まれた。

 強さは本物であり、なす術が無い……。


「うわぁぁぁ!!」


「もうだめだぁぁぁ!!」


「キャァァァァ!!!」


 周囲に悲鳴がこだまする。


 ただ1人異国人を除き、恐怖が一体を支配した。


◆◆◆


日本国陸上自衛隊に所属する岡真司は、訓練されたとおり、89式自動小銃を構え、射撃の準備をする。

 漆黒の鎧に身を包んだ大きな騎士、そして大きな馬が向かってきた時、彼は他国の地で武器を使用して良いものか、一瞬の迷いが生じた。

 彼が迷った次の瞬間、ジャスティードの部下が数人、あっという間に大剣で薙ぎ払われ、死んでしまう。


 自分が迷わなければ、彼らは死なずに済んだかもしれない……。自責の念、そして自分や自分を救ってくれたサフィーネ、バルサスに向けられた明らかな殺気が彼の心の迷いを消し去る。

 

 岡は、迅速的確に射撃準備を開始すると、敵に向け銃を構え、迷う事無く引き金を引いた。





2月17日にぽにきゃんブックスから、日本国召喚~導かれし太陽~が発売されます。

大幅加筆をしてお届けします。


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