間話 前編 辺境の魔王
間話を投下します。本編から少しずれますが、後々本編に絡んできます。
間話 前編 辺境の魔王
日本から西にあるフィルアデス大陸、その北東部に四国ほどの大きさの島がある。
フィルアデス大陸とその島は、厚さたったの200m、長さ30kmという細長く伸びた陸地によって繋がっている。
その島国の名はトーパ王国という。
トーパ王国の北東部には厚さたったの100m、長さ約40kmの陸続きでグラメウスと呼ばれる大陸に繋がっている。
大陸グラメウスは魔物と呼ばれる生物が支配する大陸であり、人間、亜人の国家は存在しない。
魔物は全く話しが通じず、人間や亜人を見つけると襲い掛かってくる。
魔物自身は特に文明を築いている訳ではなく、その秀でた身体能力を使用し、バーサーカーのように人間に襲い掛かる。
日本人が魔物を一言で表すなら「害獣」である。
トーパ王国の北東部には城塞都市トルメスがあり、魔物の大陸グラメウスとトーパ王国の間の細長い陸地には「世界の扉」と呼ばれる城壁を築き、永きにわたりトーパ王国は魔物の侵入を防いできた。
この世界の扉には、トーパ王国兵が交代で常駐し、それを支えるために城塞都市トルメスが存在する。
トーパ王国の民は、フィルアデス大陸への魔物の侵入を防ぐ人類の守護国として高い誇りを持っていた。
文明圏だの列強だの言っていられるのは、魔物の侵入が無いという絶対的に治安が良い状況だからこそ国が富む。
トーパの民がいなければ、その国々は立ち行かなくなる・・・と。
その日はいつもと同じように、穏やかな朝だった。
非常勤として雇われた傭兵、ガイ は魔物の大陸グラメウスとトーパ王国の勢力圏の境目にある城壁「世界の扉」でグラメウス大陸の方向を眺めていた。
「はーーー、眠いなぁ。寝とくかぁ」
ガイはやる気の無い声を出す。
「こらこら、グラメウスの監視は人類、その他亜人の生存に関して重要な任務だぞ」
幼馴染であり、共に勤務をする事になった騎士モアが傭兵ガイに注意を飛ばす。
「そんなこと言っても・・・・。」
ガイは城壁を見る。
「この世界の扉は、高さが20mもある城壁だ。魔物の大陸と陸続きといっても、ここ10年で最大規模の魔物でも、道に迷ったゴブリン10匹だぜ!上から弓を撃って、はい、おしまい、だろ?ゴブリンなら100匹いてもこの城壁ならビクともしねぇ。寝てても一緒だろう?」
エルフでもあり、真面目な騎士モアが反論する。
「・・・ここ100年くらいで見ると、オークやゴブリンロードも城壁まで来たことがある。オーク等は、やっかいだぞ」
・・沈黙が流れる。
「確かになぁ。オークは騎士10名が組織的な動きをしてやっと倒せるほど強大だが、100年単位の話を言われてもよう・・・。エルフさんは真面目だな。ヤレヤレだぜ」
非常勤のガイはうなだれる。
いつもの日常がそこには広がっていた。
「世界の扉」と呼ばれる城壁から北側のグラメウス大陸に向かっては、長の短い草が生えているのみであり、見通しは良い。
今の季節は草は濃い緑色をしており、陸地部分の北側を見れば、見通せるかぎり草原が広がる。
小鳥たちは歌い、蝶は舞う。
今日も何事も無く、この勤務は終わるだろう。
騎士モアと傭兵ガイがそう思った時だった。
コォォォォォォ・・・コォォォォォォ・・・・・。
おぞましい・・・・おぞましい何かが聞こえる。
「何だ!?あれは!!!」
グラメウス大陸の方角の大地が少しづく黒くなっていく。
「何だ!?大地が・・・黒くなっているのか!!?」
騎士モアは望遠鏡を覗き込む。
「あ・・・あれは!ゴブリンだ!!!大地を埋め尽くすほどのゴブリンの群れが向かって来るぞ!!ぬ!!!オークが、オークも見える。ひゃ・・・・総数100を超えるぞ!!!」
さらに先に、オークよりも大きい魔物が2体見える。
「な・・・なにぃ!!!あれは、まさか・・・魔獣レッドオーガとブルーオーガ!!!!伝説の魔獣までもが見えるぞ!!!」
オーガと呼ばれた2体の魔獣の後ろには、パーパルディア皇国の地竜を3回り大きくした赤い地竜のようなものが見える。
その上には、オーガよりも1回り大きい魔獣のような物が1体。
騎士モアはトーパ王国の資料室で古文書を読んだ事があり、それを思い出す。
「せ・・・せ・・・せ・・・・赤竜と、魔王ノスグーラ!!!!!!」
「通信兵ぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」
彼は通信兵に命じ、世界の扉の南方にある城塞都市トルメスに至急通信を送った。
コォォォォォ グゴォォォォォォ・・・
大地を灰色に覆いながら、魔物ゴブリンの大群が世界の扉へ迫る。
当面は、常備兵力のたった150人で城壁を支えなければならない。
現時点の世界の扉を守る兵たちの長、騎士長が騎士モアに命ずる。
「モア!!お前の知識は魔物に精通している。今見た事を、お前はトルメスに直接出向いて伝えろ!!!」
「し・・・しかし、私も共に・・・・・」
「うるさい!!!非常時だ!!!この情報を正確に伝える必要があるんだよ。ここでミスをすると、国全体、いや、最悪フィルアデス大陸の全生命に脅威が及ぶぞ!!!反論は許さん!!!仲の良い傭兵もお供に連れて行け!!!」
騎士モアとガイは馬に乗り、城塞都市トルメスに向かった。
トーパ王国 城塞都市トルメス
世界の扉を管理するために作られた城塞都市トルメスに、騎士モアと傭兵ガイが馬を飛ばして到着したころには、魔通信を受信したトルメスは、すでに非常召集をかけており、全力で「戦争」の準備中であった。
モアとガイは、トルメスに着くなりすぐに、トーパ王国北部守備隊長の元に通される。
あいさつもそこそこに、激が飛ぶ。
「すぐに現状を報告せよ!!」
「はっ!!発見日時は通信時、グラメウス大陸方向から魔物が地を埋め尽くす勢いで侵攻!!ゴブリン約2万、ゴブリンロード約2千、オークが約2百、王立古文書に記載された伝説の魔獣、レッドオーガとブルーオーガが各1体を確認、また、赤竜に乗った魔王ノスグーラを1体確認しました!!!」
絶句・・・想像を絶する圧倒的戦力だ。
「北部守護隊の全力出撃、兵5千ではとても持たない!通信兵!!!」
「はっ!!!」
「王に速報!!魔王ノスグーラが復活した!!!国軍を全力投入する必要ありと送れ!!!」
「はい!!!」
通信兵が走って行くと同時に別の通信兵がとび込んでくる。
「何事だ!!!」
隊長が問いただす。
「世界の扉が突破されました。守備隊は全滅です」
◆◆◆
トーパ王国神話第5章6話 魔王降臨より
昔々、突如として現れた魔王がいました。
その名はノスグーラ。
大軍を率いて魔物の大陸、グラメウスから現れた「それ」は、多種からは隔絶した強大な魔力を持ち、伝説の魔獣、レッドオーガとブルーオーガ、ホワイトオーガとイエローオーガを従え、操作出来ないはずの知能の低い魔獣を配下に置き、かつてトーパ王国のあった土地に侵攻してきた。
当時のトーパ王国にあった集落は瞬く間に占領され、魔王軍はフィルアデス大陸に侵攻した。
当時フィルアデス大陸に国家という概念は無く、人族の力は弱かった。
フィルアデス大陸の大半は魔王軍の配下となり、魔王軍は魔力が高く、厄介な存在、エルフを叩くため、海魔獣を使い海を越え、ロデニウス大陸に至る。
種族連合の奮闘も虚しく、魔王軍はエフル族最後の砦、当時のエルフの神の住まう神森へ侵攻する。
各種族の歴戦の猛者は散り、魔力の高いエルフの猛者の多くが戦いに散った。
エルフの神(緑の神)は自分たちの創造主である太陽の神に祈りをささげる。
祈りは通じ、太陽の神は自らの使者をこの世に降臨させる。
太陽神の使いたちは、空を飛ぶ神の船を操り、雷鳴の轟きと共に大地を焼く強大な魔導をもって、魔王軍を追い払った。
種族間連合は、ロデニウス大陸から魔王軍を追い出し、フィルアデス大陸に逆上陸を行う。
「太陽神の使い」たちの魔導は絶大であり、フィルアデス大陸及び、現在トーパ王国のある島から魔王軍を駆逐し、大陸グラメウスの手前まで追い返す事に成功する。
ここにおいて、太陽神はその使い達を、この世界から撤退させる。
種族間連合はそこに城壁を築き、「世界の扉」と名づけ、島には二度と悲劇を起こさぬよう、城塞都市と王国を作り上げる。
これが後のトーパ王国である。
魔王の侵攻から1年後、種族間連合は生き残った魔王の討伐隊を組織する。
後に勇者パーティーと呼ばれた者たちは4名。
○ 人族 剣の達人 タ・ロウ
○ ドワーフ 力の達人 キージ
○ エルフ 大魔導士 ルーサ
○ 獣人族 武の達人 ケンシーバ
魔大陸グラメウスに達した勇者一行は、ホワイトオーガ、イエローオーガを倒す事に成功する。
勇者パーティーは、魔王ノスグーラに挑むが、魔王の力は強大だった。
4人は死闘の末、魔王の封印に成功する。
封呪結界には3人の命が使用され、生き残った獣人族ケンシーバによりこの事実は伝えられた。
封呪結界は時と共に少しづつ減衰する。
多くの時が過ぎ、一般的にはこの話は昔話として語り継がれるのみとなった。
◆◆◆
トーパ王国 王都 ベルンゲン
国王トーパ16世の前で国の重臣たちが真剣に会議をしている。
城塞都市トルメスの精鋭兵約5千は現在突如として現れた魔王軍約2万の猛烈な攻勢にさらされている。
トーパ王国軍約1万5千の援軍はすでに王都ベルンゲンを出発し、城塞都市トルメスに向かっている。
「何故・・・今突然に、神話の魔王軍が復活したのか・・・そもそも、本当に魔王軍なのか?どうやって確認したのだ?」
王が問う。
王立大学の教授が発言する。
「神話では・・・神話では、魔王は勇者4人のうち、3人の命を使用した封呪結界に封じ込められているとあります。
そして、同結界は毎年少しづつ減衰していくとも。
魔王復活はこの封呪結界の減衰によるものと思われますが、今回、大軍を率いて侵攻してきているため、今復活した訳ではなく、時間軸としては少し前に復活し、軍備を整えてから侵攻してきたものと思われます。」
話は続く。
「次に、魔王の確認方法ですが、王も知ってのとおり、勇者パーティーにいた獣人族ケンシーバのイメージの魔写を石版に施し、今では失われた技術ですが、時空遅延式魔法をかけています。
王国でも古文書研究者等、魔王の魔写を見たことがある者もいます。
私も見たことがありますが・・・今回最初に報告してきた騎士モアも見た事があったとの事です。
また、レッドオーガやブルーオーガも確認されていることから、今回の魔王軍は本物である可能性が高いと判断いたします」
外交担当大臣が前に進み出る。
「何れにせよ、万単位の魔物が侵攻してきている。もしも我が国が落ちれば、神話のごとくフィルアデス大陸全体に魔物が流出しかねない緊急時です。
王!この事実を各国に伝えてよろしいか?」
「うむ、魔物の動向はリアルタイムで伝えてやれ。
各国が援軍を組織中に我が国のみが倒した場合、やはりリアルタイムで伝えることが必要だろう。」
「援軍の要請はいかがいたしますか?」
外交担当大臣の問いに、騎士団長が口を挟む。
「陛下、畏れながら私は援軍が必要だとは思っておりません」
「ほう・・・何故か?」
「まず、昔は国家の概念すら無かった。当時に比べたらドワーフの技術は向上し、剣の強度は遥かに向上しています。エルフの魔術研究により、魔法も失われたもの多いとはいえ、飛躍的に向上しています。
人族についても高度な戦術、戦略が取れるため、昔に比べ、「強さ」という意味において、昔とは比較になりません。気をつけるのは、魔王とレッドオーガ、ブルーオーガくらいであり、その他のオークやゴブリンの兵を見るに、我が国のみの戦力で十分対応可能かと思われます。魔王やオーガも、王宮魔導戦闘衆特戦隊で対応可能ではないかと思います。」
「そうか・・・。」
王は考え込む。
「では、各国には事実だけを伝えろ、問題は魔王とその側近だな・・・。
日本は・・・軍を送るという事に消極的な国だったな・・・。あまり頼みたくはないが・・・外務担当大臣、パーパルディア皇国に小隊規模でも良いから援軍を送れないか、打診してくれ。彼らの持つ、人でも持ち運び可能な軽量魔導砲は役にたつ。魔王を倒す際、それがあると少しでも兵に負担が少なくなるだろう」
「はっ!!!」
会議は深夜まで続いた。
◆◆◆
魔王軍 本陣
暗闇の中、コウコウとした松明が焚かれ、その光が魔獣3体を照らしている。
その中で中心的な場所にいる者、黒い体は筋肉で盛り上がり、針金のような毛は人間たちの刃物を弾く。黒く渦巻き状に突き出た角を持ち、他種とは隔絶した魔力を放つ「それ」はゆっくりと話し始める。
「しばらく見ないうちに、人間どもは随分と数を増やしたみたいだな・・・。
まあ、人間の肉は美味いので、食料の現地調達はしやすくなるのは良いな」
肉を食べながらその者は言い放つ。
付近には食された後の人骨が散乱する。
「魔王ノスグーラ様、今回の侵攻、軍はどこまで行かれるご予定で?」
魔王と言われし者にレッドオーガが話しかける。
「前回は、海の南の大陸(ロデニウス大陸)の神森に手を出して太陽神の使いを召喚されたからな・・・。
今回は南の大陸(フィルアデス大陸)の制圧までにしておくか・・・。」
「しかし、手ごわいですな。2万用意したゴブリンのうち、すでに2千体が消耗した。しかし、人間どもは300体程度しか討ち取れていない」
「まあ、前回からずいぶん時間がたっているしな。下種どもも、少しは学んだのだろう。
オークはまだ1体しか倒されていない。
何れにせよ、我々の創造主である魔帝様の復活が近い。
この世界を自分たちの物と勘違いしている下種どもを駆除し、魔帝様が速やかに統治に移れるように、少しでも助力するのが我らの使命よ」
話は続く
「魔帝様の国・・・魔法帝国が復活した暁には、その絶大な国力であっという間に世界を征服なさるだろう。
人間や亜人は魔帝様のように、今は国を作っているらしいが、下種が魔帝様の一族に対抗するなど不可能だ」
「時は近い。その前に少しでも征服地を広げるぞ」
「オウ!!!」
レッドオーガはゆっくりと話し始める。
「ところで魔王様、私は少し気になる事があるのですが・・・。」
レッドオーガの顔は困惑している。
「何だ」
「前回の戦いで、我々は「太陽神の使い」に敗れました。
太陽神の使いたちは、強かった。
ブーンと甲高い音を発し、高速で飛び回る神の船、強大な爆裂魔法を放つ角の付いた鉄の地竜、全長が250mを超える強大な力を持った魔導船。
敵の種族連合をあっさりと敗った精強な魔王軍が手も足も出なかった。
太陽神の使いたちの強大な爆裂魔法の恐怖が今でも魂にこびりついています。
俺は、古の魔法帝国の力を知らない。
魔王様、古の魔帝様のお力は、あの太陽神の使いすらも上回るのでしょうか?」
魔王ノスグーラは笑い始める。
「はっはっは、そんな事か。あの忌々しい太陽神の使いでさえ、魔帝様のお力の足元にも及ばんよ。
空を飛ぶ神の船は、おそらく魔帝軍の対空魔船にかかればあっさりと落ちるだろう。
魔帝軍の天の浮船の速さは音を超えるぞ!!!太陽神の使いのように、音の速さの半分強程度ではない。
太陽神の使いの、巨大な戦船も、魔帝軍の爆裂誘導魔光弾の飽和攻撃で沈むだろう。
何れにせよ、魔帝様の力は絶大だ。いかなる種族も魔帝様には勝てない。
その強さは絶対的だ。安心するがよい」
「ははっ!!!」
魔王軍の夜は更けていった。
◆◆◆
パーパルディア皇国 皇都 エストシラント 第3外務局
トーパ王国大使は小規模部隊の派遣要請のために、第3外務局を訪れていた。
「以上、神話に刻まれし伝説の魔王が復活いたしました。我が国の騎士団は総力を挙げて交戦中ですが、魔王が伝説のとおりの強さであれば、討ち取るのは大変な困難を伴います。
貴国の歩兵でも持ち運び可能な魔導砲が極めて有効となる可能性があります。
小隊規模の派遣をお願いしたいのですが・・・。」
「無理だな」
第3外務局担当は即答する。
「な・・・ご検討だけでもしていただけませんか?もしも我が国が突破されたら、フィルアデス大陸全土に魔王軍が浸透する事になります。」
「今、皇国はちと忙しいのでな・・・。理由は言えないが、忙しいのだよ。
小隊とはいえ「軍」を他国のために派遣している場合では無いのだよ。これは、貴国に嫌がらせをしている訳ではない。
それに・・・フィルアデス大陸に国の概念が無い時代に名を覇せた魔物が今更いきがったところで、たかが知れているだろう。
もしもフィルアデス大陸に侵攻してきたら、その時我が国も考えるだろうし、あっさりと滅してみせようぞ」
「そ・・・そんな!!」
トーパ王国大使は、パーパルディア皇国の援軍要請に失敗した。
◆◆◆
日本国 首都 東京
トーパ王国の大使は悩んでいた。
本国から、日本へ魔王討伐の援軍を願い出るよう指令が来る。
パーパルディア皇国への援軍要請は断られたらしい。
「ふぅ・・・何も知らないと、気楽だな・・・。」
日本は自国の防衛以外に軍を送るという事を異常に嫌う。その事は、本国にも報告済みなのに・・・・どうしたものか・・。
コンコン
部屋のドアがノックされる。
どうやら、日本国外務省の準備が整ったようだ。
◆◆◆
「と、いう訳で我がトーパ王国騎士団は現在、城塞都市トルメスにおいて、各種族の敵、魔物を制御できる魔王とその配下の魔王軍と戦っています。
ゴブリン等のザコは我が国の騎士団で何とかなるのですが、魔王の魔力が伝承のとおりなら、我が騎士団に相当の被害をもたらします。魔王とレッドオーガ、ブルーオーガを倒すため、小隊規模で良いので自衛隊を派遣していただけませんか?」
外務省の担当は考え込む
「その魔王というのは、知的生命体ですよね?今日本では、人権の適用範囲について揉めています。知的生命体を一方的に虐殺したとなれば、国民感情や、対外関係に影響が出る可能性が・・・。」
「しかし、魔王及びレッドオーガ、ブルーオーガの主食は人族・・つまり人間を食料としています。それでも、保護する必要がありますか?」
「他官庁も絡む問題なので、この件は一旦持ち帰ります」
後日、日本国政府は有害鳥獣駆除の国際貢献として、陸上自衛隊のトーパ王国への派遣を決定した。
次回 間話 中編 オペレーションモモタロウ は、6月19日午後4時00分に投下します。




