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チートルーレット!~転生時に貰ったチートがとても酷いものだったので、田舎でのんびりスローライフを送ります~  作者: 宮本XP


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第732話 次回予告2


「ところで――」


「はい?」


 試しに作った『ニス塗布』のポリマーっぽい物質に水を吸わせていたところ、どれだけ水を流し込んでも際限なく水を吸い続け、これはもうポリマーとは別の何かではないかと怖くなり始めたところで、ユグドラシルさんに話し掛けられた。


「アレクのメモ――次回予告メモと言ったか? 他には何が書いてあるのじゃ?」


「ほほう?」


 ほうほうほう。残りは細々(こまごま)とした予定ばかりと伝えたはずだが、それでもユグドラシルさんは話を聞いてくれるという。嬉しいね。僕としては嬉しい限り。


 というわけで、改めて次回予告メモを開いてみるが――

 ……いやでも、こうして見ると本当に細々としているな。


「えぇと、とりあえずここに書かれていることとしては……」


「ふむ」


「父に旅のお土産を渡したいなって」


「…………」


 僕の言葉を聞いて、『はよ渡したらええんちゃう……?』って顔をするユグドラシルさん。


「まぁそうなんですけどね」


「……何も言っておらんが?」


 おぉ、そうか。あまりにも表情で雄弁に語っていたため、ついそのまま話を進めてしまった。


「なんというか、やっぱり今は妹を優先したくて、妹のストーリーを進めたい気持ちがあるのですよ」


「それはわかったが、さすがにお土産を渡すくらいならすぐに済むじゃろ?」


「んー、いつものなんでもないお土産ならササッと渡せるんですけどね」


 実際さっきもユグドラシルさんに、旅のお土産と称してラフトパンやラフトキノコを贈呈した。

 そしてユグドラシルさんは、ちょっとだけ微妙な顔をしながら『う、うむ。ありがとうアレク』と言ってくれた。こういうお土産ならササッと渡せるんだけどねぇ。


「セルジャンへのお土産は違うのか?」


「だいぶ違いますね。だいぶ良いお土産です」


「ふむ。そうなのじゃな。アレクからしても自信のあるお土産なのか。セルジャンが喜んでくれるといいのう」


「ええはい、むしろ大喜び間違いなしです。本当の本当に良いお土産なので」


「アレクにそこまで言われると、むしろセルジャンのことが心配になってきてしまうのう……」


 何故なのか。

 ……いやでも、今回は珍しくちゃんとした物なんだけどね。ちゃんと本当に普通に喜んでくれる物だと思う。


「それで、他はどうじゃ? 他の予定は?」


「他ですか」


 ふむ。他に書かれていることは――

 あー、でもやっぱり他のもだいぶ細々とした予定が並んでいるなぁ……。


「そうですねぇ。例えばこれとか……」


「お、なんじゃ?」


「『教会で鑑定をする』」


「…………」


 僕の言葉を聞き、『はよしたらええんちゃう……?』って顔をするユグドラシルさん。


「まぁそうなんですけどね」


「……何も言っておらんが?」


「ええまぁ……」


 やはり雄弁に表情で語っていたもので……。

 というか、こんな予定を聞かされたところで、ユグドラシルさんだってそんな感想しか出てこないよね。


「しかし意外な話ではあるな。アレクと言えば教会が好きで鑑定が好きで、二週に一度は教会へ通っていたくらいじゃろ?」


「まぁそうですね」


「それが今や教会にも通っておらんとは」


「あ、いや、そこはしっかり通っているのですが……」


「…………」


 鑑定はしていないけど、しっかり通って、しっかりお布施もしていた僕だったりする。


「ならばそこで鑑定もしたらいいのではないかと思ってしまうのじゃが……」


「いやでも、本当にずいぶん長いこと鑑定をしていなくて、もうかれこれ――半年以上やっていないんです」


「ほう? それは長いな。アレクにしてはずいぶんと長い」


 教会でお喋りするのも好きだけど、単純に鑑定するのも好きだったりするからねぇ。

 しかし今鑑定するのはタイミング的によろしくないと、我慢している状態なのだ。


「ここまで期間が空くと、ステータスもずいぶん変わっているはずです。おそらくはアイテムボックス関連の記載が増えているはずで、ひょっとすると新しいスキルだったりスキルアーツなんかも増えているかもしれません。そしてレベルも上がっていて、『素早さ』だって上がっているはずなんです」


「最後のはさておき、確かにいろいろと変わっていそうじゃな」


「ええまぁ……」


 なんで『素早さ』はさておかれたのか謎だが、とりあえず多くの変化があると思う。


「こうなると、もう安易には鑑定できないです」


「そうなのか……?」


「先ほど言った通り、今は妹のストーリーを進めたいのです。そんな中で新スキルや新称号が増えてしまったらどうなります? もうそれだけで何十話も消費してしまいますよ?」


「なんの話じゃ……?」


 さすがに今鑑定しちゃうのはちょっとねぇ……。今は我慢の時だよねぇ……。

 いやでも、どうせなら今なのかな? どうせ長くなるのなら、今のうちに鑑定しちゃった方がいいのでは? というか、さすがにもう鑑定したくてたまらないのだけれど?


「まぁそんな感じで、あとメモに書かれていることとしては――人力車関連と、ダンジョン関連の予定がちらほらと」


「ほう? 人力車とダンジョンか」


「どっちも旅の間に考えていたことで、旅での経験を活かして改良したいのですよ」


 旅の間は人力車にたくさん乗ったし、旅先のラフトの町で初めて他のダンジョンにも触れた。改良のアイデアがたんまりと溜まっているのだ。


「何パターンか新たに人力車を作って試したいですね。もっと速くて快適な人力車だったり、もうちょっと大きめで二人乗りできる人力車だったり、あとは――パレード用の豪華な人力車とかも作ってみたいです」


「パレード用……」


「パレード用人力車は、ユグドラシルさんにも大いに関係のある人力車ですね。なんならユグドラシルさんが乗る機会が一番多そうです」


「…………」


 楽しみにしていてくださいユグドラシルさん。きっとユグドラシルさんにも満足していただけるような、とんでもない作品を作ってみせます。


「それからダンジョンにも改良を施して――というか、それより何よりダンジョンに行きたいです」


「む? まだ行っておらんのか?」


「まだなんですよ。僕が旅をしている間に作られた新エリアを見にいきたいんですけどね」


「ああ、あれか。あれは良いのう。わしも度々(たびたび)利用させてもらっておる」


「おー、そうですか。喜んでもらえたのなら何よりです」


 ユグドラシルさんも大満足の新エリア。僕も行きたい。ちょうど時期的にもピッタリなんだよね。寒い今こそ訪れたい新エリア。


「――てな感じで、ひとまず予定としてはこのくらいですかね」


「ふむ。確かにいろいろと予定が詰まっているようじゃ」


「そうなのですよ。なのでまずは妹のストーリーを進めつつ、これらの予定を合間合間に消化していく流れになるでしょうか」


「なるほどのう」


 順番に消化しつつ……まぁそのうちさらに予定が増えたりして、そのうちうっかり忘れたままの予定も出てきそうな気もして……。

 いや、そもそも忘れないためのメモだったりはするのだけれど。


「んー、せっかくですし、ひとつくらいはすぐに消化してしまいましょうか」


「ほう? どれを始めるのじゃ?」


「そうですねぇ……」


 とりあえず今ある予定が――


『ミコトさんディースさん顕現』

『アイテムボックス検証会議』

『世界樹の酒、開封パーティ』

『父へのお土産』

『鑑定』

『新人力車』

『世界樹様の迷宮、新エリア』

『世界樹様の迷宮、大改装』


 ――こんな感じか。

 この中からひとつを選ぼう。この中からひとつを選び、本当に次回予告にしてしまおう。


 さぁどうしようか。どれにしようかな。どれがいいかな。

 いったい何が選ばれるのか、注目の次回予告は果たして――





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