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チートルーレット!~転生時に貰ったチートがとても酷いものだったので、田舎でのんびりスローライフを送ります~  作者: 宮本XP


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第649話 スカーレットさんのセカンドライフ


「ではさっそく、スカーレットさんの老――」


「うん?」


「――スカーレットさんが朗々たる気持ちで楽しめるような趣味を探していきましょう」


「朗々たる……? う、うん、探していこうか……?」


 いかんいかん。ついうっかり『老後の楽しみ』などというワードを使いそうになってしまった。危うくぶん殴られるところであった。


「それで何がいいですかね。おそらくスカーレットさんならば、体を動かすことの方が得意かと思われますが――ここはあえて、室内でのんびり楽しめる活動をおすすめしたいと僕は考えています」


「ふむふむ。確かにそういうのはやってこなかった。新しい体験だ。案外好きになれるかもしれない」


「そうでしょうそうでしょう。そこで僕がおすすめしたい趣味というのが――木工です」


「……木工?」


 木工である。やはり一番のおすすめは木工。むしろ僕なんて年がら年中木工ばかりやっているのだから、ここで木工をおすすめしないのは嘘だろう。

 それに木工ならば僕もスカーレットさんに教えることができるし、道具もすべてそろっている。今すぐにでも始めることができる趣味なのだ。

 というわけでスカーレットさん、やはり木工です。是非とも木工を趣味として始めてみましょう!


 ……と言いたいところなんだけど、スカーレットさんはなんだか微妙な顔をしている。なんだというのだ。木工の何が不満だというのか。


「えぇと、何か問題がありますか?」


「んー。確かにアレク君は、いつも楽しそうに木工作業をしている。あんなふうに楽しめるなら、私もやってみたいと思う」


「おぉ、そうなのですよ。木工楽しいです。木工最高です」


「でもアレク君の木工は結局のところ――『ニス塗布』ありきで無茶苦茶やっているような気がしないでもない」


「……え?」


 えぇ……? いや、それは……。そんなことは別に……。

 あー、うん、正直スカーレットさんが言わんとしていることはわからんでもないけど、でもそんな、『ニス塗布』ありきだなんてことは別に……。


「まぁ人形作りとかの場合は、そんなこともないんだろうけどね」


「あ、そうですよね。ええはい、もちろんそうですとも」


「あれはちゃんと自分の技術で木を人の姿に彫っているのだと私も思う」


「それはそうですよ。――まぁ僕からすると人の姿を彫っているわけではなく、木の中には最初からその人が埋まっていて、その姿を取り出しているにすぎないのですが」


「なんか鬱陶しいな。物言いが鬱陶しい」


「…………」


 なんとなく職人っぽい話をしてみたのだけれど、スカーレットさんはお気に召さなかった模様。ウザかったらしい。


「しかしアレク君、人形以外はどうなのだ? 例えば前に訓練で使ったニスボールとか、あれはどうだ? あれも木工作品だとアレク君は言い張るのか?」


「あれは……」


 あれはまぁ、確かに木工作品とは言いづらいか……。どう考えても木ではないものな……。


「他にも――あれだ」


「あれ?」


 そう言ってスカーレットさんが指差した先には――リュミエスさんの姿が。


「今もリュミエスがアレク君の作った(あめ)を舐めているが、あの飴も木工作品なのか?」


「あれは……」


 なんか気に入ったらしく、時々リュミエスさんに頼まれて贈呈しているアレク飴。確かにあれも木工作品とは言いづらくて、どう考えても木ではなくて……。

 というより、もはやあれはニスとも言いづらい。正直僕もなんなのかよくわかっていない物質だったりする。


「いやでも、それは別にいいじゃないですか。ニスボールで遊ぶのは楽しいですし、アレク飴を喜んでもらえるのは嬉しいですけど、別に僕もニスボールやアレク飴を作ることが趣味だとはあんまり思っていないです。もっと普通に、木を切ったり削ったりして物を作ることが趣味なのですよ」


「む、なるほど」


 だからまぁ、DIYとか彫刻とかを趣味にしたらいいんじゃないかなっていう、そんな提案なわけよ。


「それにスキルアーツはスキルアーツで、スカーレットさんもどんなものが手に入るか楽しみにしたらよいのでは?」


「あー、それはそうかな。いつか私も『木工』スキルを取得できたら、自分のアーツを手に入れることができるわけだ」


「そうですよ。例えばメイユ村のナナさんも『木工』スキルを所持していますが……ナナさんの『木工』スキルアーツも、なかなかに凄まじいものでした」


「へー? そうなんだ」


「危うく殺されるところでした」


「どんなアーツだ……」


 ナナさんの『丸のこ』。首から下げた世界樹のネックレスが守ってくれなかったら、果たして僕はどうなっていたことやら……。


「むーん……。なんだかアレク君の熱意に押されて、説得されてしまいそうだ……」


「お? それでは――」


「いや、まだ結論を出すのは早いと思う。他はどうかな? 他には何かないか?」


「他ですか? まぁこれで僕も多趣味な方ですからね。いろいろと候補は浮かびますが……」


 多趣味は多趣味なのよ。例えばダンジョン作りとかも趣味と言えそうだけど……ダンジョンを持っていないスカーレットさんにすすめられるわけもないか……。

 他には将棋が趣味だったりもするのだけれど……この世界にはまだないし……。そもそも将棋なんて二十年以上やっていないわけで、僕も胸を張って将棋が趣味と言えるか微妙な状況になりつつある。

 あとはそうだな。やはり僕と言えば、いろんなお店に寄ることが趣味なのだけど……とてもじゃないけど人にすすめられることではない……。


 そう考えると、スカーレットさんにすすめられる趣味って案外少ないかも……?

 どうしたものか……。なんだろうね? 他に何か……。何かないですか? 誰か他にアイデアを……。





 next chapter:スカーレットさんのセカンドライフ2

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― 新着の感想 ―
悲報 : アレクくん「木工エルフ」ではなく、    「ニス塗布エルフ」だった。
絵を描くとか?才能の有無が短時間にはっきりすっきり分かって良いのではないかと。 殴るのが好きなら太鼓演奏とか?太鼓と撥が特注じゃないとダメそうですが…。
スカーレットさんもアレクみたいに立ち寄った場所のペナント作ろうぜ
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