第643話 魔王式パワーレベリング
名前:アレクシス
種族:エルフ 年齢:20(↑1) 性別:男
職業:木工師
レベル:44(↑2)
筋力値 26
魔力値 22(↑1)
生命力 20(↑2)
器用さ 62(↑3)
素早さ 7
スキル
剣Lv1 槌Lv1 弓Lv1 火魔法Lv1 水魔法Lv1 木工Lv2 召喚Lv2 ダンジョンLv1
スキルアーツ
パリイ(剣Lv1) パワーアタック(槌Lv1) パラライズアロー(弓Lv1) ニス塗布(木工Lv1) レンタルスキル(召喚Lv1) ヒカリゴケ(ダンジョンLv1)
複合スキルアーツ
光るパリイ(剣) 光るパワーパリイ(剣) 光るパワーアタック(槌) 光るパラライズパワーアタック(槌)(New) 光るパラライズアロー(弓)
称号
剣聖と賢者の息子 ダンジョンマスター エルフの至宝 ポケットティッシュ
――というわけで、衝撃の鑑定結果が表示されたわけだが、やはり気になるのは現在のレベル。この三ヶ月の間に、なんとレベルが2つも上昇していたのだ。
まさしくこれは――
「魔王式パワーレベリング」
「魔王式パワーレベリング……」
「おそらくそうなのではないかと」
「えぇと、魔王式って……それはつまり、魔王様のこと? 魔王リュミエス様のことを言っているの?」
「その通りです」
エルザちゃんの言葉に頷いた。まさしくその魔王様だ。魔王リュミエス様のお力添えにより、僕のレベルが上昇したのだと考えている。
「そういえば、この町にもしばらく魔王様が滞在されていたんですよね?」
「そうね、ちょっと前に来ていたわ。初めて来たときなんかは結構な騒ぎになっていたわね」
「ほー、さすがは魔王様ですね」
まぁいきなり魔王様が来訪されたら驚くよね。おそらくは人族形態で、ちゃんと検問にも並んだんじゃないかと思うけど……それでもやっぱり大騒ぎになってしまい、検問であたふたしているケイトさんの姿がなんとなく想像できる。
「ちなみにだけど、この教会にも来てくれたの」
「え? 魔王様がですか? この教会に?」
そうなのか。人界の教会って、あんまりリュミエスさんが寄りそうにはない場所に思えるけど、何か用事があったのかな?
「私や母は魔族だから、それを知って会いに来てくれたみたい」
「ああ、そういうことですか。なるほどなるほど、魔王様の素晴らしいお心遣いですね」
「魔王様とは初めて会ったのだけど、さすがの威厳というか貫禄というか……。私も緊張してしまって、ろくに喋ることもできなかったわ」
「ほー、そうでしたか……」
それで言うと、おそらく魔王様も喋らなかったんじゃないかなって……。そして無言の二人になってしまったんじゃないかなって、そんな心配をしてしまったり……。
それにしても、やはりエルザちゃんも魔族らしく魔王様を尊敬しているように見受けられる……。とはいえ、エルザちゃんは創造神ディース様を崇拝する教会で働いているわけで……。
そのあたり教会的にどうなんかね……。まぁ創造神ディース様本人は全然まったく気にしないんだろうけども……。
「さておき、その魔王様ですが、ご友人である人界の勇者様を訪ねてこの町に来たようですね」
「そうみたいね」
「そして人界の勇者様は、僕の旅に同行してくれるパーティメンバーでもあります。僕に同行する勇者様に同行する魔王様――という形で、僕も魔王様にお会いすることができたのです」
「ああ、そうだったのね。……あら? じゃあもしかして魔王様も、またこの町へ?」
「そうです。昨日一緒にやってきました」
てな感じで、現在の状況をエルザちゃんにもざっくりと説明した。
――そして、いよいよここからが本題である。
「魔王様にお会いしてから今まで、なんだかんだで二ヶ月ほど一緒にいました。そして久々に鑑定したところ、まさかの2レベルアップ。そうなると考えられるのは――」
「魔王式パワーレベリング?」
「その通りです」
おそらくそれで間違いないはず。魔王式パワーレベリングが起こったのだ。レベルアップで上昇した能力値からも、そのことが伺える。
「2レベルアップして、『魔力値』が1つ上昇、『生命力』が2つ上昇、『器用さ』が3つ上昇しています。特に注目なのが『生命力』の能力値、とんでもない伸びを見せております」
「……ん?」
「はい?」
「『生命力』よりも、『器用さ』の方が上がっているみたいだけれど……?」
「まぁそこは気にしなくてもよいかと」
「……そうなの?」
「そこは勝手に上がっていくので」
どんだけ『器用さ』が伸びていようが、そこはもう無視していいと思う。そこはもうそういうものだから。
……ついでに『素早さ』が伸びないのも、もうそういうもんだと認識し始めている僕がいる。
「『生命力』が伸びているから魔王式パワーレベリングねぇ……。あ、そういえば世界樹式パワーレベリングの方は、顔面を掴まれてレベルアップする方法なのよね……?」
「ええまぁ」
「まさか、魔王様でも同じことが……? まさか、魔王様の尻尾でビンタしてほしいなんてお願いしたわけじゃあないでしょうね?」
「違いますよ……」
別に僕は、魔族の人の尻尾に並々ならぬ関心を抱いている人というわけではないので……。
というか、魔王様にそんなことをされたら普通に死にかねん……。
「じゃあ何をしたの?」
「二回ほど胴体をガッチリと掴まれて誘拐されかかったのですが、おそらくそこでレベルアップしたのではないかと」
「何をしているのよアレク……」
「いえ、僕が何かされた側なのですが……」
そこで僕が非難されるのは違くない……? わりと僕の方が被害者側よ……?
まぁエルザちゃんの非難はさておき、とりあえずこれが僕の考える魔王式パワーレベリングの全容だ。あのときも僕が苦しくないよう優しめに掴まれていた気はするが、それでも相手は魔王様だし、例のパワレベが起こったとしてもおかしくはないと思うんだ。
「あ、あともうひとつ考えられる可能性としては、一ヶ月ほど毎日魔王様のお身体を洗わせていただいたのですが、もしかしたらその影響が――」
「…………」
「あ、いや、引かないでくださいよ……」
エルザちゃんドン引きである。何やら変態を見るような目を向けられている。
「なんでそんなことをしたのよ……」
「いやその、僕の昔からの夢というか、人生の目標というか……。それで魔王様にお願いして……」
「変態じゃない……」
エルザちゃんドン引きである。変態を見るような目を向けられ、実際に変態と罵られてしまった。
「違いますって……。竜形態の魔王様を磨かせていただいただけなんです。なんとなく大きな竜を磨いてみたいって夢があったのですよ……」
「そう……」
うん。一応は納得してもらえたかな? 多少は変態を見る目が収まったような気がする。……多少収まっただけで、微妙に変態容疑は晴れていないようにも感じるが。
さておき、リュミエスさん磨きでも魔王式パワーレベリングが起こったとするならば――やはり『器用さ』か? 普通に考えて、これで上昇する能力値は『器用さ』だと思われる。
なるほどね。さっきは無視していいと伝えたが、今回ばかりは注目した方がいい能力値だったかもしれない。
「……とりあえずレベルアップは良かったわね。そこはおめでとう」
「ありがとうございます」
「これで多少は魔王様も報われるかもしれないわ」
報われるて……。
でもまぁレベルアップはありがたいし、そこはもう魔王様に感謝だよね。本当に感謝しかない。
とはいえだ、僕からすると今の状況は複雑で、諸手を上げて大喜びというわけにもいかない事情があったりして……。
うーむ……。やっぱりこれはなぁ……。このレベルアップは……。
「どうかした? なんだか浮かない顔に見えるけど」
「ああ、気付かれてしまいましたか」
「顔自体は仮面でちょっとわからなかったけど、唸りながら俯いていたから」
「…………」
そうなると、もはや気付かれたというより、気付いてくれるのを待っていた人である……。構ってほしいオーラを全開で出している人だった……。
「そういえば、前回も同じだったわね。前回はレベル39で、レベルアップを喜んでいるかと思いきや、しきりにレベル40を気にしている様子で、緊急事態だとかなんとか言い出して、急いで故郷に帰っていったような……」
「ええまぁ……」
そういう意味では同じだな。前回とまったく同じ流れを辿っている……。
「でも、レベル45はそんなこともないでしょ? 別にそこまできりの良い数字でもないし、緊急事態ではないんじゃないの?」
「…………」
「アレク?」
「…………」
まぁねぇ……。まぁなんというか、緊急事態か緊急事態じゃないかって言うと――
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