第641話 十ヶ月ぶりに膝小僧を突かれに来た、成人した半ズボンで仮面の変態
――教会にやってきた。久々のラフトの町の教会である。
「こんにちはー、お久しぶりでーす」
というわけで教会の扉を開け、元気よく挨拶したところ――
「あら、久しぶりね」
「あ、エルザちゃん! はい、お久しぶりで――――え? あ、ちょっ、そんなっ」
教会の礼拝堂には、サキュバス系修道女のエルザちゃんがいた。
久々の再会なのだが、そのことを喜ぶ間もなく、エルザちゃんは僕にツカツカと近付いてきて、そのままスペード型の尻尾で僕の膝小僧をツンツンしてきた。
「何ヶ月ぶりかしら? いつ来たの?」
「十ヶ月ぶりですかね。町には昨日到着しました」
エルザちゃんの質問に、僕はそう答えて――まぁその間も僕の膝小僧は尻尾で突かれたり撫で回されたりしていたため、実際にはセリフの合間合間に僕の悶える声が挟まったりしていて……。
「――って、何をするのですか」
「ん?」
「急に膝小僧を責め立てるだなんて」
「喜んでいたじゃない」
「いやいや、そんなことは……」
「むしろ責め立てられたことについて感謝してほしいくらいだわ。なんだったら私の方が膝責めを強要されたくらいの感覚で、もはや私の方こそ被害者なのではないかしら」
無茶苦茶言いよる……。
いや、まぁそこまで言うなら僕としても慰謝料を払わんでもないけれど……。
「それで、十ヶ月ぶり?」
「あ、はい。大体それくらいです」
「そう。十ヶ月ぶりに膝小僧を突かれに来たのね」
「別に膝小僧を突かれるために来たわけではないですが……」
そのために来たのではない。十ヶ月間我慢したけど、いい加減禁断症状を抑えきれなくなって、居ても立っても居られずに町まで突かれにやって来たとか、そういうわけではない。
「しかし十ヶ月ぶりということで――またちょっとエルザちゃんも大きくなった気がしますね」
「そう? ……というか、会うたびにそれ言ってない?」
「あー……」
確かにそうかもしれない。何やら時々会う親戚のおじさんっぽい言動をしてしまったか……。
でもさ、実際そんな気がするんだよね。一旦ラフトの町を離れると、どうしても次に会うまでの期間が空いてしまうため、再会のたびにエルザちゃんが成長しているような印象を受ける。
まぁ、年齢的にもそうだよね。エルザちゃんの年齢的にも成長期だろうし……。
「ちなみにこの十ヶ月の間に、私の歳は――」
「あ! ダメです! それはダメです!」
「ん?」
ちょっと油断すると、すぐにエルザちゃんは自分の年齢を伝えようとしてくる……。
確かに僕もうっかりエルザちゃんの年齢について考えを巡らせてしまったわけだが、実際の年齢を本人から聞くわけにはいかない。それだけはダメだと言うのに……。
「あ、でも……そろそろ大丈夫? さすがにそろそろ聞いてもいいのかな……? あー、いや、でもやっぱりなぁ……」
「なんの葛藤なの……?」
さすがにもういいか? もうそろそろエルザちゃんも十八歳を超えたはずで、だとしたらなんの問題もない。むしろ十八歳以上だと聞くことで、僕も心置きなく教会を楽しめるってもんだ。
とはいえ、やっぱりちょっと危険だよねぇ……。
いろいろと難しいところで、試しにエルザちゃんの顔をじっくりと眺めてみるが――
「むー……」
「……何?」
「むーん……」
「なんなのよ……」
ちょっとわかんない。顔を見ただけでは、いまいち年齢の判断がつかない。
十八歳以上と言われても納得できるけど、十七歳と言われても納得できそうで……。なんなら十六歳って可能性もないとは言えない……?
まぁさすがに十五歳ってことは…………どうだろう?
ちょっと大人びた十五歳って可能性もなくはないか……? なにせサキュバス族だし、もしかしたら種族特性で大人っぽく見えるとか、そういうことがあるかも? それでまさかの十五歳とか、下手したらもっと――
……うん。ダメだな。やっぱり聞けない。危険過ぎる。あまりにも危険な橋だ。こんなものを渡るわけにはいかない。
「なんかもうエルザちゃんの年齢は、絶対に聞いてはいけないタブーになりつつありますね」
「勝手に人の年齢をタブーにしないでほしいのだけど……」
まぁ理由は違えど僕の母やスカーレットさんも年齢に関してはタブーだしさ、やっぱり女性の年齢には触れない方がいいってことなんだろう。たぶんそういうことだ。
「あ、ちなみに僕は、この十ヶ月で成人したんですよ」
「へー? そうなの? 成人って言うと――」
「二十歳ですね」
「エルフでも二十歳が成人なのね」
「一応はそういうくくりらしいです」
めでたく成人。めでたく大人エルフの仲間入り。
まぁ僕自身はあんまり自覚がないんだけどね。なにせ二十歳を迎える前に村を出発したもので、大人エルフがどういう扱いなのか、いまいちわかっていないのが現状。
「そっか、アレクも二十歳になって、成人して……」
「え? あ、はい、二十歳ですし、成人ですが」
「――なのに半ズボンなの?」
「…………」
なんだかんだでエルザちゃんが一番僕の半ズボンをいじってくるな……。言葉でもそうだし、物理的にも半ズボンによることで露出した僕の膝小僧をいじってくる……。
next chapter:驚愕の鑑定結果




