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チートルーレット!~転生時に貰ったチートがとても酷いものだったので、田舎でのんびりスローライフを送ります~  作者: 宮本XP


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第639話 部屋割りは大事


 なんやかんやありつつも、ラフトの町の検問にて、我らアルティメット・ヘズラトボンバーズ一行は門番ケイトさんとの再会を果たした。


「お久しぶりです」


「ええ、久しぶり。元気そうね」


「……ありがとうございます。ケイトさんもお元気そうで何よりです」


 ケイトさんから『元気そうね』と言われ、人力車で検問に突っ込んだことへの皮肉かと一瞬思ってしまったが、たぶん違うはず。違うと思いたい。純粋に息災を喜んでくれているだけだと信じたい。


「そして、どうやら二人も無事に合流できたようね」


「やぁやぁ、久しぶり」


「…………」


 てな感じで、(ほが)らかに言葉を交わすケイトさんとスカーレットさんとリュミエスさんの三人。

 やはり魔王リュミエスさんとも顔見知りのようで、僕が無駄に心配していた魔王様来訪イベントもすでに完了していることが改めて確認できた。


「それにしても……とんでもない集団ね」


「あー、そうですねぇ。勇者様に魔王様に聖女様に神獣様と、大変豪華なパーティになってしまいました」


「ん? 神獣?」


「ヘズラト君のことです」


 神獣呼びに対して相変わらず恐縮している様子のヘズラト君を、ズイッと前へ押し出してみた。


「キー……」


「なんだか複雑そうな顔をしていない……?」


「照れているようです」


「そうかしら……」


 ケイトさんからは、あんまりそういう表情には見えなかったらしい。ケイトさんがヘズラト君のほっぺたをムニムニとしている。


「さておき、とりあえず全員チェックするから、ギルドカードの提示か魔道具での鑑定をお願いするわ」


「はいはい。少々お待ちを」


 ケイトさんの言葉に従い、みんなが自分のギルドカードを取り出す。僕もマジックバッグからカードを取り出して…………ふむ。


「どうかした?」


「故郷の村に戻ってから、ギルドカードの写真――写し画を更新したんですよね」


「んん? ……えぇと、そうなのね?」


 前回の旅が終わってメイユ村に戻ったとき、ギルドカードを更新したのだ。

 そして今、僕の写し画がどうなっているかと言うと――


 顔出しセルジャンパネルから、顔を出してにっこり笑っている僕が表示されている。


 この写し画を撮るために、わざわざ顔出しセルジャンパネルを準備し直したのだ。

 一度は顔部分を詰め直し、ただのセルジャンパネルに換装したのだけれど、このためだけにもう一度顔部分を取り外し、それから自分の顔を出して写し画を撮影させてもらったのである。


 その後、完成した写し画にはイケメン対策として『ニス塗布』を用いて目線を黒塗りで隠しておいた。

 完璧である。僕的には、完璧に仕上がったギルドカードだったりするのだけれど――


「でも、期限切れなんですよねぇ」


 メイユ村で撮った物なので、当然ながら期限切れ。カードに記載されている更新日の欄は、『30日以上前』となっている。これでは検問を通してもらえない。


「ああ、そうなの? じゃあこの場で更新してくれる?」


「実はあんまり更新したくないのですが」


「そんなことを言われても……」


「どうにかなりませんかね。こっそり通してくれたりしませんか?」


「しょっぴくわよ?」


「……冗談ですとも」


 まぁそうか。まぁ無理だよね。やっぱり更新するしかないか。


「では残念ですが、カードの更新を…………ふむ」


 いや、待てよ? 更新するのはいいんだけれど、せっかくだしその前に――


「――ときにスカーレットさん」


「うん?」


 せっかくだし更新前に――スカーレットさんにカードを見てもらおうか。

 毎回スカーレットさんはセルジャンシリーズを大層喜んでくれるからな。きっと今回も良いリアクションを見せてくれるに違いない。



 ◇



 とりあえず検問を通過できた。

 検問の前で、今度は僕とスカーレットさんの間で一悶着起きてしまったりもしたが、とりあえずは全員無事に通過できた。


「さて、これからですが、まずは宿を探しますか」


「そうしよう。前回と同じでいい?」


「そうですね。いいと思います」


 ジスレアさんと話し合い、サクッと今後の予定と宿を決めた。

 前回の旅でもお世話になった宿。料金はお高めだけど、部屋も綺麗だし料理も美味しい良い宿だ。

 ……唯一残念な点を挙げるとすれば、看板娘がいないことだったか。


「じゃあ宿は決まりだとして、部屋はどうします?」


「部屋?」


「とりあえず――二部屋借りますか?」


 前回は一部屋だった。僕とヘズラト君とジスレアさんとスカーレットさんでメンバーは四名。部屋は一部屋借りた。

 今回はさらにリュミエスさんが追加されて、メンバーは五名である。五名ともなると、借りる部屋も二部屋くらいが無難かと。


「まぁ二部屋かな」


「そして問題は、部屋割りなのですが……」


 どう割ったものか。ここ大事。ここかなり大事。

 僕が頭の中であれやこれやと部屋割りを考えていると――


「おぉ?」


「…………」


 リュミエスさんが、僕の服の(すそ)をちんまりと掴んでいる。

 何やらとても可愛らしいムーブにほっこりする。


「リュミエスはアレクと同室を希望?」


「…………」


「でも、アレクとリュミエスの二人部屋は許可できない。アレクがうっかり(さら)われて、翌日部屋に向かったら二人がいなくなっていることも考えられる」


「…………」


「そうしたら、魔界までアレクを探しに行かなければならない。それは面倒」


 面倒て。


「……えーと、まぁ僕とヘズラト君の二人部屋でいいんじゃないでしょうか? そして女性陣は三人部屋ということで」


 とりあえずそう提案してみた。

 ……うん、ちょっと日和(ひよ)った。発言次第でみんなからドン引きされてしまう危険性を秘めた話題だったので、だいぶ日和った提案をしてしまった。


 とはいえ、普通に考えてこれが一番常識的な部屋割りなんじゃないかと――


「む。それはズルくないかアレク君。何故私達は三人部屋なのか。何故アレク君とヘズラト君は二人部屋でゆったりのびのび過ごす予定を勝手に立てているのか」


「いやいや……」


 そういうことではなく、単純に男女で分けただけで……。


「えぇと、それじゃあスカーレットさんがヘズラト君と二人部屋になりますか?」


「む。いいのかいアレク君」


「ええまぁ」


 これもだいぶ謎な部屋割りだが、スカーレットさんが希望するなら、僕は別にそれでも……。


「いや、でも二人部屋というのもちょっと寂しいな……。なんか三人部屋の方が楽しそう」


「えぇ……?」


「だからもう一人くらい私の部屋に寄こしてほしくて……というか、もうこの際五人一部屋でいいんじゃないだろうか。たぶんそっちの方が楽しい」


「…………」


 部屋割りが大事かと思いきや、むしろ割らないという選択肢が浮上してきた……。


 というか、最初の『二人部屋でゆったりのびのびはズルい』という指摘はどこへ行ったのか……。

 自由だなぁ……。なんとも発言が自由すぎる。さすがはスカーレットさん……。





 next chapter:魔王城2

今年最後の更新ですね。今年も一年ありがとうございました。

皆様、良いお年を(ΦωΦ)ノシ

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― 新着の感想 ―
良いお年を〜 スカーレットさんは自由だなぁ…
ヘズラト君は男の子なのか…む これ女だったのかのフラグ?
魔王城で年越しですか? 良いお年を。
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