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チートルーレット!~転生時に貰ったチートがとても酷いものだったので、田舎でのんびりスローライフを送ります~  作者: 宮本XP


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第566話 ディースさんへの贈り物


 なんやかんやあって、ミコトさんは再び送還することになった。

 僕が呪文を唱えてミコトさんを送還すると――標準体型の召喚獣ミコトさんは消え、スタイル抜群の女神ミコトさんが戻ってきた。


「こう見ると、やっぱりだいぶ違うわね……」


「…………」


 しみじみと呟くように話すディースさんに対し、ミコトさんはむっつりと押し黙り、僕も余計なことは言わないよう口をつぐんだ。


「……まぁ、仕方がない部分もあるかもしれないけれど」


「おん?」


「だって今までは、体型の変化なんて気にする必要がなかったものね」


「おお、わかってくれるかディース。そうなんだ、今まで意識したことがなかった。そういう発想自体、私にはなかったんだ。だからこれは仕方がないことで――」


「とはいえ、自分がどんどん太っていくのだから、さすがに途中で気付いてもよかったとは思うけど」


「…………」


 味方かと思いきや、別にそうでもなかったことに気付かされ、再び押し黙るミコトさん。


「本当にねぇ……。毎日毎日あれだけもりもり食べていたら、それは太るわよ……」


「く、何を見ているんだ。やめろ、プライバシーの侵害だぞ」


 ふむ。プライバシーの侵害か。それはそう。その意見には全面的に同意する。それはもっと言ってあげてミコトさん。

 ……まぁミコトさんも天界にいるときは、僕のプライバシーを好きなだけ侵害していたっぽい感じではあるが。


「まぁまぁ、いいじゃないですか。ミコトさんも今はしっかり気を付けているらしいですし、それに女性はちょっとぽっちゃりしているくらいの方が良いって話もよく聞きますよ?」


「……それでフォローのつもりかアレク君」


「…………」


 おかしいな。この言い回しは、わりとよくあるフォローの仕方かと思ったのだけど……。

 ぽっちゃりがダメだったのかな……。サラッとミコトさんをぽっちゃり呼ばわりしてしまったようで、そこがご不満だったのかもしれない。


「……さておき、ひとまず諸々の挨拶が終わったところで、僕からディースさんにお話があるのですが」


 うん、話を変えよう。なんかフォローする度にミコトさんから怒られるし、そもそもこんなデリケートな話題に首を突っ込みたくはない。


「あら? アレクちゃんから私に話?」


「そうなのです。もしよろしければ――ディースさんに受け取ってもらいたい物があるのですよ」


「あらあらあら、私に何かプレゼントしてくれるということね? 何かしら? アレクちゃんは私に何をくれるのかしら?」


 ディースさんは嬉しそうに、それでいて若干芝居がかった口調で僕に尋ねてきた。

 ……うん、この様子から察するに、ディースさんはもう全部わかっているっぽい。おそらく僕が準備している段階から、天界ですべて見ていたのだろう。


 まぁいいや。全部わかった上で嬉しそうなのだから、きっと僕の贈り物を喜んでくれるに違いない。そう考えれば悪いことではない。

 というわけで、何が貰えるのかというドキドキ感と、喜んでくれるかなというドキドキ感が双方皆無になってしまい、もはや茶番じみたプレゼント贈呈式になりつつあるが、とりあえずは贈らせていただこう。


「じゃあ少し待ってください、今マジックバッグから……おぉ?」


 自分のマジックバッグへ手を伸ばそうとしたところで、ふと気が付いた。


「マジックバッグが…………ある」


「どうかしたのかアレク君」


「マジックバッグがあります」


「……うん? 転送時にも付けていたし、座るとき自分で床に置いていたが?」


「そうでしたか……」


 完全に無意識で、まったくもって意識の外だった。うっかり存在を忘れていたのだけど、どうやらマジックバッグも僕と一緒に転送されたらしい。

 そして、特に気にすることもなく椅子に座る際――あぁ、椅子ではなくてディースさんか。ディースさんの膝の上に座らされる際、適当に床へ置いたらしい。


 まぁいいや。転送されなかったら問題だったけど、転送されたのだから何も問題はない。というか良かった。持ってくることができて良かった。


「では、えぇと…………あれ? ないぞ」


「ポケットじゃないかしら」


「あ、そうでしたそうでした」


 マジックバッグをさぐったところ、目当てのものが見つからず、どうしたことかと困っていた僕に対し、ポケットにあるとディースさんから指摘が入った。

 そういえばそうだった。これだけは持ってこようと、マジックバッグからポケットに移したんだった。


 ……そして、そのことをディースさんはしっかり把握していたようである。いや、別にいいんだ。僕も深くは突っ込まない。


「……それでその、ディースさんに手紙を書いたんですよ」


「あらあらまぁまぁ、わざわざ私のために書いて持ってきてくれたのね?」


「ええまぁ、そうですねぇ……」


 もはやディースさんはすべてわかっていることが、こちらからもわかってしまったが……とりあえず渡そう。

 気を取り直して、僕はポケットから三通の手紙を取り出した。


「そんなに大層な手紙ではないのですが、まずはこれが――第五回世界旅行で書いた手紙です」


 ラフトの町滞在中に書いた手紙で――といっても、この手紙はメイユ村に帰ってきてから書いた物だね。

 たぶんディースさんにも渡したら喜んでくれるだろうと思い、遅ればせながら自宅でしたためた物だ。……そして、ナナさんの口車に乗せられて朗読した思い出なんかもあるね。


「それからこれが――第六回世界旅行で書いた手紙です」


「ん?」


「はい? なんですかミコトさん」


「それはまだ私も貰っていないのだけど」


「村にはまだ届いておりませんがゆえ……」


 ディースさん宛ての物だけ自分で持っていたのだ。他の手紙は、まだ世界を旅している途中なのだろう。

 カーク村で書いた物なので、距離的には一週間もあればたどり着けるはずなのだが、人界からエルフ界に送られた手紙のため、とんでもない遠回りをして紆余曲折ありながら進んでいると思われる。

 でもまぁ、もうそろそろメイユ村に届くと思うので、そのときにミコトさんへもお渡しします。


「そして最後に、今日天界へ転送される前に書いた手紙です」


「ありがとうアレクちゃん。大事に読ませてもらうわ」


 ディースさんはにっこり微笑んで手紙を受け取ってくれた。

 うんうん、本当に喜んでくれているっぽいね。良かった良かった。


「ところで、実際に声に出してアレクちゃんが読んでくれたりはしないのかしら? そういうサービスは?」


「……さすがにそれはちょっと恥ずかしいので」


 その提案をしてくるということは、やはりあの手紙朗読も天界から見ていたっぽいな……。

 残念ながら朗読はあれっきりです。というかそもそもの話として、おそらく見られていると知りながら手紙を書くこと自体、相当恥ずかしいものだったりもするのですよ?


「あ、あとはこれは、正直ディースさんが喜んでくれるかどうかはわからないのですが……」


「アレクちゃんからのプレゼントで嬉しくない物なんてないわよ? さぁさぁ、何かしら?」


「えぇと……ペナントです」


 ペナントである。メイユ村、ルクミーヌ村、クレイス村、カーク村、ヨーム村、ローナ村、スリポファルア村、ラフトの町――合計八種類のペナント。


 正直これはどうかと思ったんだけどね。実際のところ、ほとんどギャグで作っているようなものなので、果たして本当にお土産で渡すのはどうなのか……。でもやっぱりお土産といえばペナントという気持ちも捨てきれずに……。


「嬉しいわ。アレクちゃんの旅の歴史ね。アレクちゃん視聴室に飾らせてもらおうかしら」


「ええまぁ、なんというか近場の村ばかりで、ずいぶんと浅い歴史ではあるのですが、もしよろしければ……」


 ふむ。案外喜んでくれたかな? じゃあまた新しい村や町に寄ったときには、ディースさんの分も用意しておこうかね。

 ……ところで、アレクちゃん視聴室とはなんだろう。


「素敵な贈り物をありがとうアレクちゃん」


「いえいえ、そう言ってもらえて僕も嬉しいです」


 大事そうに手紙とペナントを抱えてお礼を伝えてくれるディースさん。……しかしペナントも八つともなると、嵩張(かさば)って少し大変そうね。


「それでその、そんなアレクちゃんに追加で要求するのは気が引けるのだけど……私からちょっとお願いしてもいいかしら?」


「はい? お願いですか?」


 はて、なんだろう? 今までこんなに改まってディースさんから何かをお願いされたことなんてあったかな? とりあえず僕にできることならば喜んで。


「ええ、いいですよ。お願いとはなんでしょう?」


「ありがとうアレクちゃん! じゃあ少し待っていてね?」


「はぁ」


「すぐに戻ってくるから!」


 そう言い残し、ディースさんは会議室のドアを開けて、どこかへ行ってしまった。

 なんの準備だろう。なんかちょっと不安になるな……。


「……おや?」


「うん? どうかしたかな?」


「あのドア……」


「ドア?」


 先程ディースさんが通ったドア。あれが気になる。あのドアは――


「両開きでしたっけ?」


「……あれ? いや、微妙に違ったような気がする……確か片開きだったような」


「ですよね……」


 僕もそんな記憶だ。しかし見ての通り、今は両開きの大きなドアが取り付けられている。

 ……どういうことだろう。ディースさんがドアを変更した? しかし何故? なんのために?


 そんな疑問が一瞬浮かんだものの――答えはすぐさまやってきた。そのドアの向こうから、ディースさんが答えを運んで帰ってきた。

 ディースさんが台車に載せて運んできたのは――バカでかい丸太だった。


「……そのためにドアを大きな物に変えたのですね」


 高さ2メートル、直径1メートルほどの巨大な丸太。確かに以前のドアでは通れなかったかもしれない。そしてディースさんのお願いとは、この丸太が関係するらしい……。

 いったいどういうことなのか。ひとつの疑問が解消したと思ったら、また新たな疑問がやってきてしまった。僕へのお願いとは、果たしていったい――!


 ……でもまぁ、なんとなく予想はできるよね。

 どうやら僕は、さらに追加でディースさんへの贈り物を、この天界にて制作せねばならんようだ……。





 next chapter:天界長期滞在プラン3

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