第512話 教会で鑑定したら自分の年齢がわかるのではないか
「――教会で鑑定したら、自分の年齢がわかるのではないだろうか」
「お、正解です」
「ふふーん」
というわけで、『自分の年齢をどう確認するか』クイズに、ミコトさんが見事正解した。
何やら最初は『歯のセメント質の年輪を調べることで……』などと言い出し、僕の歯をどうするつもりなのかと軽く恐怖に震えていたのだけれど、最終的には正解にたどり着いてくれた。
「うんうん、確かにそれで年齢を確認することができそうだね。というより、そこさえズレなければ問題はないかな。ちゃんとした数字で年齢を確かめる方法なんて、鑑定以外になさそうだし」
「やっぱりそうですよね」
先程ミコトさんも言っていたが、天界では時間の流れを止めていたそうで、おそらく肉体的には十八歳のままなのだろう。
であれば、あとの問題は――公式の年齢。
鑑定が示す公的な年齢も十八歳のままであれば、すべての問題は解決だ。
肉体的にも公的にも十八歳。僕も胸を張って、『僕はまだ十八歳の少年』と言い張れるはず。
「――それはそうとアレク君」
「はい?」
「私は進化したいんだ」
「え? あ、はい」
えぇと……うん、それはもう何度も聞いているけど……。
「そのためにはレベルアップが必要で、その手助けをアレク君にお願いできないかと思って今日は来たんだ」
「あ、そうでしたか……。ええはい、僕でよければ喜んでお手伝いさせていただきます」
「そうか、うん、ありがとうアレク君」
「いえいえ、お安い御用です」
なるほど……。ミコトさんはずっとこれを伝えたかったんだな。
大シマリスのトラウィスティアさんが進化したときと同様に、自分もレベル上げを手伝ってほしいと言いたかったんだ。
だというのにミコトさんがそれを伝える前に、話が脱線して脱線して横道へ逸れ続け……まぁいつものことではあるのだが、とりあえずミコトさんには申し訳ないことをしてしまった。
「じゃあそうだな、今日は空いているかな?」
「今日ですか? あー、さっそく年齢を確認してこようかと、これから教会へ行くつもりだったのですが」
「ん、では最初に教会へ寄って、それからダンジョンへ向かうのはどうだろう?」
「……ふむ」
教会へ行ったら鑑定して、その後はいつものようにだらだらと怠惰な時間をローデットさんと一緒に過ごそうと思っていたのだけれど……まぁいいか。
こうしてミコトさんが頼ってきてくれたのだから、そこは是非とも協力したい。しっかり応えたいと思う。
「わかりました。その予定で構いません。では、早速行きますか?」
「うん、そうしよう。ありがとうアレク君」
「いえいえ」
よし、じゃあ出発しよう。まずは教会だ。教会で自分の年齢を確認してこようじゃないか。
さてさて、どうなんだろうね? 今現在、いったい僕は何歳なのか――
◇
名前:アレクシス
種族:エルフ 年齢:18 性別:男
職業:木工師
レベル:37(↑1)
筋力値 25
魔力値 21
生命力 15(↑1)
器用さ 48(↑2)
素早さ 7
スキル
剣Lv1 槌Lv1 弓Lv1 火魔法Lv1 木工Lv2 召喚Lv1 ダンジョンLv1
スキルアーツ
パリイ(剣Lv1) パワーアタック(槌Lv1) パラライズアロー(弓Lv1) ニス塗布(木工Lv1) レンタルスキル(召喚Lv1) ヒカリゴケ(ダンジョンLv1)
複合スキルアーツ
光るパリイ(剣) 光るパワーアタック(槌) 光るパラライズアロー(弓)
称号
剣聖と賢者の息子 ダンジョンマスター エルフの至宝 ポケットティッシュ
「十八歳……」
うん、普通に十八歳だった。
ミコトさんとともに教会を訪れ、ローデットさんに諸々の料金を献上してから鑑定したところ、普通にまだ十八歳だった。
「どうかしましたかー?」
「あ、いえいえ、なんでもないです」
ふーむ。十八歳か。とりあえずはこれで一安心かな。誕生日が変にズレたりってこともなさそうだ。僕は正真正銘十八歳だった。何よりである。
やっぱりさ、今後のこともあるからね。今回は十日のズレがあるかどうかって話だったけれど、これからもチートルーレットで天界へ呼ばれることは何度もあるはずで、積もり積もって誕生日が年単位でズレてしまうなんて可能性も秘めていた。もしそうなったら、だいぶ面倒なことになりかねんかった。
「……アレク君」
「はい? あ、ミコトさんも鑑定したんですね」
ついでとばかりに、ミコトさんも鑑定していたらしい。水晶にはミコトさんの鑑定結果が表示されていた。
そのステータスが――
名前:ミコト
種族:神 年齢:2(↑2) 性別:女
職業:神
レベル:10(↑9)
筋力値 19(↑17)
魔力値 1
生命力 8(↑7)
器用さ 2(↑1)
素早さ 5(↑4)
スキル
神Lv2 槌Lv1
称号
神
……なんというか、ミコトさんのステータスも大概だよね。
『筋力値』極振り状態と言っていいだろう。特に『筋力値』と『魔力値』との開きが凄まじい。脳筋という言葉があまりにもふさわしすぎるステータスである。
きっとミコトさんは、これからもどんどんレベルを上げて物理で殴っていくのだろう……。
というか、何気に僕よりも『素早さ』が低いのよね。ここも見逃せない。
トラウィスティアさんにはあっさりと抜かれてしまった『素早さ』だが、ミコトさんにはまだ勝っている。
できたら今後も抜かれないように僕も頑張りたいところだが……しかしまだミコトさんはレベル10だからな。
まだまだ油断はできない。僕がレベル37で『素早さ』7に対し、ミコトさんはレベル10で『素早さ』5という現状であり……まぁ油断できないどころか、今後普通に抜かれる予感しかしない。
なにせまだレベル10だ。ミコトさんはレベル10なわけで…………あれ? レベル10?
「ミコトさん、レベルが……」
「うん……」
何やらすでにレベルが10へ到達しておりますが……。
「それでいて、種族が変わっておりませんが……」
「…………」
種族は『神』のままだ……。
つまりミコトさんは、進化していなかった……。
鑑定結果を見て愕然としているミコトさんに対し、どうしたものかと僕が悩んでいると――
「あ、レベルアップですねー。おめでとうございますー」
「…………」
「…………」
あー……。いや、ローデットさんは何も悪くない。
レベルアップは本来おめでたいことだ。だからお祝いの言葉を伝えるのは何も悪くない。
でもまぁ、おそらくミコトさんは何ひとつおめでたいことなどないと思っていそうではあるが……。
◇
やっぱり元が『神』だからかな……。たった10レベルで神がさらなる進化を遂げるなんて考えにくいのではないかと、実はちょっぴり思っていたのだ。
むしろ大ネズミが特例だったんだろうね。大ネズミは進化先も多いと聞くし、特別進化しやすい種族なのではないだろうか。
そんな考察をしながら、しょんぼりするミコトさんと一緒に僕は教会を後にした。
さて、これからどうしたものか……。
「えぇと、予定ではこれからダンジョンへ向かうとのことでしたが……」
「ん、今日はいいかな。帰るよ……」
「そうですか……」
まぁそうよね。レベル10到達のためのダンジョン探索って予定だったもんね……。
そりゃあもちろんレベル上げ自体が無駄になることはないはずだけど、今はそんな気にもなれないだろう……。
「その、元気を出してください」
「ありがとうアレク君……。そうだね、落ち込んでばかりいても仕方がないからね」
「ええはい、そうですよそうですよ」
「明日からは気持ちを切り替えて頑張ろう。とりあえず今日は、村で買い物でもしてから帰るよ」
「買い物ですか?」
「食材とかだね。美味しい物でもたくさん食べて、それで元気を出そうと思う」
「…………」
それは、あんまりよろしくないストレスの発散方法だな……。
それで元気になれるならいいとは思うけど……。でもミコトさんの場合、その方法はちょっと……。
next chapter:十九歳の僕
これにてアレク君(18歳)の冒険は終了です。
「まぁいろいろあったけれど、とりあえずは誕生日もズレていないようで、そこは良かったねアレク君……」
――そう思われた方は、是非とも↓の評価をお願いします。
アレク君が、ちゃんと19歳の誕生日に19歳を迎えます!




