第509話 大シマリス(大ネズミ見習い)
名前:リンゴ
種族:大シマリス(New) 年齢:2
職業:大ネズミ見習い
レベル:10(↑1)
筋力値 9(↑2)
魔力値 4(↑1)
生命力 4(↑1)
器用さ 7(↑2)
素早さ 14(↑2)
スキル
大シマリスLv1(New) 大ネズミLv1 剣Lv1
スキルアーツ
エアスラッシュ(剣Lv1)
――さて、若干脱線してしまった話を元に戻そう。
『素早さ』ダブルスコアの件はひとまず置いておいて、今はリンゴちゃんの進化についてだ。進化によって様変わりしたステータス、いよいよその核心部分に迫っていこう。
「……というか、やっぱり一番気になるのは職業の『大ネズミ見習い』なのですが」
「そうですか? そこは前から変わっていなかったと思いますけどー」
「ええまぁ、それは確かにローデットさんの言う通りなんですけどね……」
変わっていないと言えば変わっていないけど、むしろだからこそ気になると言うか……。
「『大シマリス』になったのに、『大ネズミ見習い』ってなんなんですかね……」
この種族と職業の並びが謎すぎる。とりあえずここが一番のツッコミポイントだろう。こうして大ネズミから進化して大シマリスになったのに、大ネズミ見習いってのはなんなのか……。
「確かに違和感があるかもしれませんけどー、それはそういうものですからー」
「うーむ……」
まぁね、職業欄はそういうシステムなんだよね。
ステータスの職業欄は、所持しているスキルが影響する。最も熟練度の高いスキルを元に、職業が決定されるのだ。
例えば僕なら、『木工』スキルの熟練度が一番高いので職業は『木工師』だ。ナナさんも同様に職業『木工師』だね。そしてミコトさんは、職業が『神』とかだったりする。
まぁミコトさんの場合は、近いうちに『槌士』とかになりそうな雰囲気はあるが……。『神』から『槌士』とか、結構なスケールダウンな気もするけれど、あの人は頑なに槌ばっか振り回しているからな……。
ともかくそんなわけで、現在のリンゴちゃんは『大ネズミ』スキルの熟練度が一番高いがために、職業は『大ネズミ見習い』なのだろう。
まぁ理屈はわかる。理屈はわかるのだけど、なんともね……。
「ふーむ。リンゴちゃんの大シマリス生活が続けば、そのうち職業が『大シマリス見習い』とかになったりするんですかね?」
「そうですねー。何やら『大シマリス』スキルなるものも増えていますし、そういうこともあると思いますー」
そうしたら、ようやく種族と職業がしっくりくることに――
……いや、まだしっくりはこないか。間違いなく大シマリスだというのに、大シマリス見習いはしっくりこない。
「……というか、リンゴちゃんがさらに進化したらどうなるのでしょう?」
「さらにですか?」
「その状態からさらに進化したら――例えば大カピバラとかに進化したら」
「大カピバラ……?」
「種族が『大カピバラ』になって、職業は『大シマリス見習い』になったりするんでしょうか……?」
「それはまぁ、そうなんじゃないですか?」
「なるほど……」
なんというイタチごっこ……。一生職業が種族に追いつかんな……。
「でも逆に、これから『大ネズミ』スキルが伸びることもあるかもしれませんし、そこはなんとも言えないですけどねー」
「おや? そうなんですか? もう大ネズミではなくなったのに、これから『大ネズミ』スキルが伸びることがありますか?」
「あるんじゃないですかねー。例えば爪で引っ掻いたりって攻撃は、大ネズミっぽい攻撃と言えそうですし、それで『大ネズミ』スキルが伸びることもあると思いますー」
はー、そういうものか。なかなか奥が深いな。
ローデットさんの読み通りならば、まだまだこれから『大ネズミ』スキルが伸びる可能性もあるとのことで、それはリンゴちゃんにとってプラスだよね。良いことだ。
「とりあえずはこんなところですかねー。大体の確認は終わったでしょうかー」
「そうですね、気になる部分はチェックできた気がします」
「キー」
「リンゴちゃんも、『大変参考になりました。ありがとうございます』と申しております」
「いえいえ、私も興味深いものを見せてもらいましたー。こちらこそありがとうございますー」
てな感じで、ひとまずリンゴちゃんのステータス確認作業は終了かな。
面白いもんだね。最初は謎でしかなくて、わけがわからなかったリンゴちゃんのステータスだが、一個一個確認していった結果、ほぼほぼ納得できる回答が得られた気がする。
それもこれも、すべてはローデットさんのおかげだ。ありがとうローデットさん、さすがは解説キャラのローデットさんだ。
「いやはや、ローデットさんのお話を聞けてよかったです。いきなりリンゴちゃんが大きなシマリスに変化して、僕なんて慌てふためくばかりでしたよ」
「そうですよねー。私も最初見たときは驚きましたー。たぶんリンゴちゃんだとは思ったのですが、なんだかずいぶんと雰囲気が変わっていましたからー」
まぁ種族変わっちゃってるからね。そりゃあ驚くよね……。
「……しかしよくよく考えると、そこに関しては気を付けた方がいいかもしれませんね。もしかしたら、リンゴちゃんをリンゴちゃんだと気付けない人がいるかもしれません」
「あー、確かにそうですねー。事情を知らない人からすると、ちょっと混乱しそうですー」
「下手したらリンゴちゃんを見て、ただのモンスターだと勘違いしてしまう可能性が…………というか、そもそも大シマリスってモンスターは、自然界に存在しているんでしょうか?」
微妙に気になった。どうなの? 普通にいるものなの? 召喚獣限定とかじゃなくて? 少なくとも僕は今まで見たことないんだけど……。
「んー、確か一応はいたと思いますー。大ネズミの進化先は相当多いらしくて、その中でもかなり珍しいはずですけどー」
「へー」
そうなのか、一応はいるのか。さすがはローデットさん、なんでも知ってる。
そして大シマリスへの進化はレアらしい。なるほど、レアか。それは良い。良かったねリンゴちゃん。
「さておき、ではやはりモンスターだと勘違いされてしまう可能性もあるとのことで、とりあえずはみんなに進化のことをしっかり周知しておいた方がよさそうですね」
「ですねー。私もそう思いますー」
うんうん、そうだよね。
となると――
「ではローデットさん――通話の魔道具を貸していただけますでしょうか」
「……はい? えぇと、それはもちろん構いませんけど……急にどうしたんですか?」
「この子は大シマリスに進化したリンゴちゃんなのだと広く周知するため、村を回ってこようと思うのです」
「はぁ、そうですかー……え? それで、何故通話を?」
「リンゴちゃんが村を回るとなると――やはりユグドラシル様です」
ここはユグドラシルさんだろう。ユグドラシルさんの出番だ。
新年パン祭りのときと同様に、軽くお神輿をしてもらおう。リンゴちゃんが人力車を引いて、今回もユグドラシルさんには荷台に乗ってもらおう。その状態で、村を何周か回ってもらおう。
きっとユグドラシルさんも喜んでくれる――かどうかはわからんが、とりあえずリンゴちゃんのためだと伝えたら、喜んで参加してくれるはず。きっとそのはず。
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