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チートルーレット!~転生時に貰ったチートがとても酷いものだったので、田舎でのんびりスローライフを送ります~  作者: 宮本XP


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第327話 カークおじさん宅


 カーク村観光も一通り終了し、僕達はカークおじさん宅へ向かっていた。


「それにしても……カークおじさんがいなければ、どうなっていたんでしょうね」


「ん?」


「もしも僕とジスレアさんだけなら、だいぶ苦労していたような気がします」


「あー、まぁその覆面だとなぁ……」


 どのお店でも、とりあえず最初に『その覆面は何……?』なんて聞かれるし、こうして道を歩いていても時折話し掛けられる。

 そのたびにカークおじさんが、『彼はとてもシャイなので』と説明してくれて事なきを得るのだが……僕とジスレアさんだけであれば、いったいどうなっていたことやら。


「あ……。そういえばアレク、その覆面――というかアレクの素顔についてなんだが……」


「はい? なんですか?」


「実は何人かの知り合いに、アレクのことを話してしまっていてだな……」


「僕のことを?」


「知り合いに、『とんでもなく美形のエルフを見た』と話してしまったんだ」


「あぁ、二ヶ月前のことですか」


 第二回世界旅行では、素顔でカークおじさんと遭遇したわけだが、そのときのことを知り合いに話してしまったらしい。

 まぁそんな美少年エルフを見たら、誰かに話したくもなるわな。


「すまない。つい……」


「いえいえ、構いませんよ。なんだったら僕もそうですしね。僕もナナさんに、普通のおじさんを見たと話しましたし」


「普通のおじさん……。うん、まぁエルフと比べたらな……」


「あっ……。その、なかなか精悍な顔つきをした普通のおじさんだとは言いましたけど……」


「そうか……。ありがとうアレク」


 カークおじさんが軽くショックを受けてしまったようなので、慌てて言葉を付け足してフォローしておいた。

 ……まぁ『精悍な顔つきの普通のおじさん』って文言で、しっかりフォローできたかは謎である。


「あのとき私もいた」


「え?」


「私のことは言わなかった?」


「あ、いや、えぇと……」


 妙なところで、カークおじさんがジスレアさんに絡まれてしまった……。


「ま、まぁジスレアさんは何度かカーク村に来ているそうですし、改めて話すこともなかったのではないですか?」


「あ、そう。そうなんだ」


「そう……? うん。別にいいのだけど」


 たじたじしていたカークおじさんに、僕は助け舟を出してみた。

 無事に救助できたようで何よりだ。カークおじさんも、視線だけで『ありがとうアレク』と訴えている。


「とにかくそんなわけでな、もしかしたらアレクの覆面姿を見て、俺が以前に話した美形エルフの話を思い出す人がいるかもしれない」


「あー、そういうことですか」


 カークおじさんが連れている覆面男を見て、『もしやあれは、以前にカークおじさんが言っていた美少年エルフでは?』なんて勘付く人がいるかもしれないという話か。


「一応それでも『シャイだから見せることはできない』と伝えるつもりだが、アレクも気を付けてくれ」


「はぁ」


 気を付けなければいけないのか……。

 なんかもう、そこまでバレているのならちょっとくらい見せてしまってもいいような気がするけど……。


「頼むぞアレク、例え相手が女性だろうと、見せないようにな?」


「はぁ……」


 なんかその台詞、僕という人物に対して軽く偏見が入ってやしないかい?


「相手が男性だったら、多少は見せても大丈夫ですかね?」


「男相手でも気を付けた方がいいと思うけどな……」


 そうなんだ……。


「もしかしたら、その男がそっちの趣味に目覚めて――おっと、ここだ。ここが俺の家だ」


 何やら不穏な台詞を途中で止め、足も止めたカークおじさん。

 台詞の続きが結構気になった僕だったりするけれど、とりあえずここがカークおじさん宅らしい。


「ここですか。なるほど、良いお家ですね」


「そうか? 見ての通り小さな家だが」


「いえいえ、大したものです」


 確かにこじんまりとした平屋ではあるが、カークおじさんは一人暮らしとのことで、一人で住むなら十分だろう。

 三十一歳で夢のマイホーム。大したものだ。


「それじゃあ上がってくれ」


「お邪魔しまーす」


「お邪魔します」


 カークおじさんに続き、僕とジスレアさんもお家の中に入った。


「ほうほう。こんな感じですか」


「こっちだ、付いてきてくれ」


「はーい」


 カークおじさんに先導され、家の中を進む。

 一見したところ、家の中は綺麗に片付いていて、掃除が行き届いているように見える。


 おじさんの一人暮らしだというのに、まめに掃除をしているのか……。


「ここだ。二人にはこの部屋を使ってもらおうと思う。……すまんな、散らかった部屋で」


「いえいえ。そんなことないですよ」


 カークおじさんに案内された六畳ほどの部屋は、確かにいろんな道具やら荷物やらが置かれているが、あまり散らかっている印象は受けない。

 部屋自体は綺麗に掃除されているし、置いてある物も、そこそこ整頓されているように感じる。


「普段はここで、装備の手入れなんかをしていてな」


「そうなんですね。……おや、剣ですか」


 なんとなく室内を見回していると、(さや)に仕舞われている剣を見つけた。


 そういえばカークおじさんは、剣を使うんだったな。

 ……今日おじさんと再会したときに、僕も使われそうになったね。


「それはスペアの剣だな。少し手入れをしていたんだ」


「なるほど、剣の手入れを――――ハッ」


「ん? どうしたアレク?」


「これは……」


 ふと目に入った、手のひらサイズの茶色い物体。

 どうやらこれを使って、カークおじさんは剣の掃除をしていたらしいが……。


「カークおじさん、これは……」


「アレクブラシだな」


「…………」


 というわけでアレクブラシ――タワシである。


 レリーナパパが言っていたけど、本当に人界まで広まっているんだな……。

 しかも、その名前で……。





 next chapter:アレクブラシ2

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