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断罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪女を目指す(第十章連載中)【書籍、コミカライズ、オーディオブック化】  作者: 楢山幕府
第四章

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14.悪役令嬢は同志を見つける

「ということは……?」


 思っていたものと違う答えにシャーロットは小さく首を傾げる。


「これでもパルテ王国民として恥ずかしくない程度には鍛えております。ただ闇雲に筋肉を付けると美しくありませんから、ドレスが似合うよう考えておりますの」

「まぁっ、そんな方法がありまして?」


 軽く目を見開いたのはクラウディアだった。

 普段自分がおこなっている鍛錬と近いものを感じたからだ。


「クラウディア様は興味がおありですか?」

「はい、差し支えなければお伺いしたいですわ」


 もしかしたらボディーメイクについて新たな発見が得られるかもしれない。

 興味を引かれ気持ちが前のめりになる。

 傍目にもクラウディアの青い瞳が輝いているのがわかったのだろう、ニアミリアも頬を緩ませた。

 自分の努力が他人の関心を引いたのが嬉しかったようだ。

 しかし彼女が口を開く前に、ウェンディから横槍を入れられる。


「ニアミリア様、騙されないようご注意ください」

「ウェンディ様、そのようなおっしゃりようはディーに失礼ではなくて?」


 堪りかねて口を開いたのはルイーゼだった。

 今の話題のどこに注意する必要があるのかと目尻をつり上げる。


「あなたもです、ルイーゼ様。クラウディア様は他人と距離を詰めるのが上手いのです。十分にお気を付けください」


 先日のパーティーほど取り乱した様子はないものの、ウェンディは頑なな態度を崩さない。

 胸元にあるスミレのブローチが屹然と輝く。

 パーティーでも着けていたものだ。


(お気に入りなのかしら)


 令嬢が連続して同じアクセサリーを身に着けるのは珍しい。

 上級貴族ともなれば力の一つである富を示すため、アクセサリーを多数所持していると見せるのがお決まりだった。


(わたくしが指摘したら嫌みだととられそうね)


 実際アクセサリーの少ない令嬢に対し、指摘することでマウントをとる令嬢もいる。

 単に会話を広げたかっただけだとしても、敵対心剥き出しのウェンディには酌み取ってもらえないだろう。

 ウェンディの注意に、ルイーゼがパンッと音を立てて扇を畳む。不機嫌の表れだ。


「確かにディーは人を惹き付けます。それは美点でこそあれ、注意されるものではなくてよ」

「ルイーゼ様は何もご存じないのですね。いえ、知っていて庇われているのでしょうか? わたくしはこれ以上、クラウディア様に騙される方を増やしたくないのです」

「わたしにはウェンディ様が何をおっしゃっているのかわかりませんわ」


 ウェンディにはウェンディなりの根拠があるのだろう。

 しかし話が自己完結されているため、周囲は困惑するばかりだった。

 これ以上やり合ったところで場の空気が悪くなるのはわかりきっている。

 今日の主役であるニアミリアを前にして長引かせるわけにもいかない。


(困ったものだわ)


 ウェンディが同席を望んだのはこのためだろう。要はクラウディアの邪魔をしたいのだ。

 どう話の流れを変えようか考えていると、ニアミリアがそっと目配せしてくる。

 そして発せられた言葉に、調子を合わせてほしいのだと察した。


「えぇっと、とりあえず気を付ければいいのですね?」

「悪女と話している心づもりでいてくださいませ」

「当人がここにいるのだけれど」


 心外だ、という態度を一応見せておくが言い争いはしない。

 ニアミリアはウェンディの意に沿うことで事なきを得ようとしていた。

 先ほどの目配せは本心ではないと、クラウディアに伝えるためのものだ。


「では、お話の続きといきましょう。ウェンディ様が同席されているなら、クラウディア様も気を引き締められると思いますし」


 ウェンディが頷いたことで話題が体の鍛え方に戻る。

 終始ウェンディから厳しい目を向けられていたことを除けば、クラウディアにとっては楽しい時間だった。

 帰り際、ウェンディから離れたところでニアミリアに呼び止められる。


「本心でないとはいえ、あの場では失礼いたしました」

「謝らないでくださいませ。わたくしのほうこそ場をまとめられず申し訳ありませんでしたわ」


 客人に気を使わせる結果になり、クラウディアには反省しかなかった。

 眉尻を下げるクラウディアに、ニアミリアは朗らかな笑みを見せる。


「ウェンディ様にも事情があるのだと存じますが、クラウディア様とのお話はとても心が躍りました」

「そう言っていただけると救われますわ。早速ニアミリア様の鍛錬方法を試してみますわね」

「ぜひ! わからないことがあれば何でも聞いてください! クラウディア様も体づくりに興味があると知れて嬉しい限りです」


 ニアミリアほど本格的ではないが、クラウディアも独自に体を鍛えていると知り、二人の距離は一気に縮まっていた。

 ニアミリアにつられてクラウディアも笑顔になる。


「今後も気軽に接していただけると嬉しいですわ」

「こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします」


 別れ際には定型句のような挨拶が交わされるが、互いに打ち解けているのは表情が物語っている。

 体づくりに余念のない二人は、まるで戦友のようだった。

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