表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪女を目指す(第十章連載中)【書籍、コミカライズ、オーディオブック化】  作者: 楢山幕府
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/448

05.悪役令嬢は侍女とデートを楽しむ

 パーティーの翌日、クラウディアはヘレンと昼の貴族街を歩いていた。

 護衛もいるが完全に空気だ。


「ウィンドウショッピングもたまには良いわね」


 色々見て回れる分、気分転換にもなる。

 ヒールでコツコツと音を鳴らしながら石畳を歩くのも楽しい。

 季節柄、日差しが強く感じられるようになったものの、日傘があれば気にならなかった。

 ヘレンと腕を組んで歩けば、よりいっそう心が弾む。


(シャーロットのクセがうつったみたい)


 シャーロットと一緒にいると、気付けば腕を組まれていることが多くなっていた。

 甘え癖がうつってしまったのか、最近クラウディアもヘレンと腕を組んでしまう。

 ヘレンが快く受け入れてくれるのもあって甘えっぱなしだ。


(安心感があるのよね)


 一人じゃないと肌で感じられるからだろうか。

 かといってエスコートされる感覚とは違う。

 どっしりとした大木を頼るのではなく、羽毛に包まれるような柔らかさがあった。

 優しくほのかに伝わってくる温かみに心が安らぐ。


(一度味わってしまうと、中々抜けだせないわ)


 嫌がられる前に止めようと思うものの、慈愛に満ちた目差しを向けられると決意は霧散した。

 せめてヘレンも同じ気持ちであってほしいと願う。


「殿下への手土産はどうされます?」

「そうね、菓子折が無難かしら」


 スラフィムを迎えるパーティーのあと、日を改めてシルヴェスターから王城へ招待されていた。

 いつもならシルヴェスターのほうからリンジー公爵家を訪れる頃合いだが、スラフィムの滞在もあって外出ができないらしい。

 招かれた話の内容的に甘い雰囲気にはならなそうだけれど、逢瀬の約束に自然と足取りは軽くなる。


「男性にも人気の菓子店を知っているの」

「クラウディア様の情報なら間違いはありませんね」


 流石です、と褒められるものの、曖昧に笑うことしかできない。

 言わずもがな、娼婦時代の情報だった。

 上客を迎える際に、よく利用していた店だ。

 甘さ控えめのものから塩みがあるものまでと種類が豊富で、味も申し分なかった。


(シルは甘くないほうがいいから、ちょうど良さそう)


 貴族街の中心地からは外れるため少し歩くが、ウィンドウショッピングしながらだと苦にならない。

 ただヘレンと二人、他の店も覗きながらだと到着に時間がかかった。


「帰りは馬車を呼んでもらいましょう」


 ヘレンの提案に素直に頷く。ちょっと調子に乗り過ぎたようだ。

 見覚えのある外観を目にしたときには、足が疲労を訴えていた。

 入店すると、帰りに間に合うようヘレンが前もって馬車を言付ける。どの店も頼めば公爵家へ使いを出してくれた。

 菓子店だけあって、店内には甘い香りが漂っている。

 それでも一般的な菓子店と比べれば薄く感じられた。

 クラウディアの来店を知ったオーナーが出てきて、直々に接客を受ける。

 改めて店内を見渡すと、一人の客が目についた。

 かつて毒を飲んで亡くなった元同僚、若手娼婦のサニーだ。

 そばかすが目立つ容姿は見間違いようがない。

 娼館の現状を知ろうと訪れた先で、ミラージュやマリアンヌ、ケイラといった先輩娼婦と共に彼女にも会っていた。そのときの事件から、彼女はケイラの付き人になったと聞いている。

 先の訪問では身分を隠すため男装し、顔もベールで見えないようにしていたため、サニーがクラウディアに気付くことはない。

 正体を隠しているのだから、クラウディアも声をかけるようなことはしなかった。

 しかしクラウディアの視線に気付いたオーナーが、焦った様子でサニーへ退店を促す。


「お見苦しいところをお見せしていまい申し訳ありません」

「お待ちになって。何が見苦しいと言うのかしら?」


 クラウディアは、自分でも目尻がつり上がるのがわかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ