7話
「長くて半年……か」
精密検査が終わってから告げられた俺の余命。長生きは出来ないと覚悟していたが……
家族すらかえりみず仕事に没頭していたツケが廻ってきたとでも?
これではとても裁判が終わるのを見届ける事は出来ないだろう。
俺の命なんて正直どうだっていい。ただ……栞をあんな目に会わせた奴らに報いをくれてやる時間すら無いとは……
「……クソッ……天罰とでも言いたいのか?」
病院を出てフラフラと彷徨っていると見覚えのある通りを歩いていることに気付く。署の管轄にある繁華街……
こんな時でも足が職場に向かっていたとは……本当に救いようが無い人間だとつくづく思わずには居られなかった。
− チリン −
夕暮れの雑踏に……妙に耳に残る音が響いた。目を向けると銀の鈴を付けた黒い猫が路地へと吸い込まれて行くのが見えた。
「なんだ……?」
あんな所に路地なんてあったか?
何故なのかは分からない。が、俺はその猫を追って路地裏に足を踏み入れた。
俺を待つように……時々振り返ってはゆっくりと進む猫を追って路地を進む。
ある角を曲がると……猫は不意に消えた。
「俺は何をやって……」
その時、初めて気づいた。猫が消えた角の奥は行き止まりで……そこには小さなプレートを掲げたやたらに重厚なドアが一つあった。
“ bAR dANTE ”
「この門を潜る者、全ての希望を捨てよ……か。上等だ」
俺は悪魔の手を模したらしきノブに手を掛けた。
固い握手をかわすように……




