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32話
「別にあんたが悪いなんて言うつもりはねぇさ。家族だからって同じペースで生きなきゃならん道理もねぇ……あんたが仕事にかまけて家庭をしくじろうが、その代わりに誰を守ろうがオレにはどうでもいい。だがな……」
男は空になったグラスを意地汚く口の上で逆さにしたあと……名残り惜しそうにコースターへグラスを戻した。
「自分がやりたい事を他人のせいにして正義面するのはやめときな。せっかく積んだ功徳を無駄にする……どころか倍返しで業を背負う事になるぜ?」
「何が言いたい?」
「あんたは言ったよな。『報いをくれてやりたい』って。それは彼女の望みか? それとも……」
酔っ払った半眼のまま俺を射抜く様に見つめる瞳……
「おい、勘違いするなよ? 奴等が許せんのは俺だ。そいつを娘のせいにするつもりなんぞない。それに……ただ娘の復讐をするだけなら俺が奴等一人一人を自分で撃ち殺して回れば済む事だ。だが、仇をとるなら……奴等をただ殺して勝ち逃げさせるなんて真似は死んでも出来ん!」




