002 大崩壊の記 <1>*
※ナレーターはお好きな声優さんで
脳内変換ください(°∇°)♬
誰もが知っていることだが、世界は一度滅び、生まれ変わった。
"大崩壊"と呼ばれる、不明の時代を越えて――。
さかのぼること遥か昔。
繁栄を極めた人類は、文明の頂点にいた。
しかしある日突然、その栄華は終わりを告げる。
前触れなく始まった大規模な地殻変動が、この地球に住むすべての生きものに地獄をもたらしたのだ。
想像してみて欲しい。
それまで当たり前にあった環境が、一変した世界を。
生身で息をすることすら難しい、過酷な世界を。
大気に宿る地磁気は、わずかだけを残して消え去ってしまった。
有害な太陽風を遮ることのできない地球は、つねに宇宙からの強烈な高エネルギーにさらされることになる。
文字通り身を焦がす有害物質は、容赦なく天から地上に降り注いだ。
大地は揺れ、海面はせり上がり、多くの陸は海に沈んだ。
地上の生命が滅亡する事態はまぬかれたものの、高知的生命体の文明社会は甚大な被害を受け、いちじるしく衰退した。
すべてを失い、住む場所を追われた人たち。
明日をもしれない日々に、誰もが絶望を見た。
そんな"大崩壊"を乗り越え、誕生した新時代。
過酷な環境に適合して生き残ることができたのは、一握りの特殊な力を持つ人たちだった。
すなわち「魔力」を有するものたち。
彼らはひとつの大陸に集まり、人種も民族も越えて新しい群落を作った。
年月とともにその数を増やし、環境の変化に適応していくかのようにみえた。
だが産まれてくる子供の中には魔力を持たないものも多かった。
その結果、人の種類は肌や目の色で区別されるのではなく、分かりやすい二極化を辿ることになる。
分かれた人の種類とは?
魔法を「使えるもの」と「使えないもの」に他ならない。
「魔力」を持つものは、過酷な自然環境に自らの身一つで耐えることが出来た。
持たざるものは弱かった。彼らは有害な大気や汚染物質から身を守るため、ありとあらゆる防護策を講じなくてはならなかった。
生きていく上で重んじるものが違えば、対立も生まれる。
持たざるものが集まり、科学の力を最上として栄えた、科学国家ローラシア。
絶対神を崇め、魔法の力以外を排他することで栄えた、魔法国家ゴンドワナ。
世界最高峰のキエルゴ山脈を狭んで、2つの国家は互いに牽制し合う。
危うい天秤の上で世界の均衡は保たれ、自分たちの信じるものこそが真実と主張し合う。
これはそんな新時代に生まれた、一人の少年の物語――。
タイトルに<1>ってあるけど、退屈なナレーションは以上。
次話からは本編スタートです。明日朝、更新予定。




