初めて
この話は大丈夫かと、作者は皆様の反応を怖がっています。
出来れば、優しい目と心で読んでくださるとありがたいです。
カオルさんから話を聞いた俺は、数日かけて防具の素材集めとある二つの事を行っていた。
一つ目はドライアドに付いての情報収集。
二つ目は森の中ボスの門の捜索だ。
ここまで言えばもう分かると思うが、俺は配下の一体をドライアドに決めた。
話を聞いて、ドライアドが生産に役立つのではないかと俺は考えていたので、もしかしたらと思いホルトさん達に話を聞いて見た。
すると一人の老人が情報を持っていたのだ。
その内容とは、ドライアドは植物の育成を助けるというもので、ポーションやエーテルが主力商品の家の店では、是非とも手に入れたい存在である。
しかし問題もその老人の話から出てくる事になった。
どうやら森の中ボスは巨大な蛾のモンスターで、複数の状態異常攻撃をしてくる相手だと分かったのだ。
スキルの中には状態異常に対する耐性系のスキルもあるので、スキル石さえあれば取得出来るし、俺も解毒等のアイテムを作る事は出来るが、ティアと俺の二人ではどう考えても手が足りない。
カオルさんから話を聞いた時は、難易度が一つ上でも単体の中ボスなら上手くいけば倒せるかも知れないと考えていたが、はっきり言って無理だ。
防具の素材集めのついでに中ボスの門も探しておいたが、解決策を見いだせず、カオルさんの所へ素材の納品と魔力付与をしに行く事になった。
だがカオルさんはやはり頼りになる。
俺からその話を聞いて解決策を提案してくれた。
そしてその提案とは【状態異常無効】のスキルを持つモンスターを配下にすることだ。
幸い、そのスキルを持つモンスターの存在は、あるモンスターを従魔にしたプレイヤーがいたので分かっている。
そのモンスターとはゴーレム。
ゴーレム系のモンスターは例外なく【状態異常無効】のスキルを持っているのだ。
そして現在、昨日の内に防具の素材に魔力付与をし終わった俺は、山脈のエリアであのモンスターを探している。
ナイトゴーレムだ。
普通のロックゴーレムでも【状態異常無効】のスキルは持っているが、配下の候補にはナイトゴーレムがいたし、まだ誰にも倒された事がないモンスターというのは、戦闘能力を期待出来る配下として非常に魅力的である。
ここは一つ頑張ってみよう。
空から襲いかかってくるホークや、ロックゴーレムを倒しながらナイトゴーレムの捜索を続けていると、【気配察知】に今まで感じた事のないモンスターの気配が引っ掛かる。
これはもしかしたらナイトゴーレムだろうか?
さっそく行ってみよう。
離れた場所に土色の鎧騎士が見える。
俺よりも大きく、手には話の通り剣と盾を持っている。
おそらくあれがナイトゴーレムだと思うが、ロックゴーレムとの違いがかなりあるな。
ロックゴーレムは鈍重そうな人形だが、ナイトゴーレムは細身で動き易そうな形だ。
あれで硬いなら、今まで倒されていないと言うのも納得出来る気がする。
それでは挑むとしよう。
ナイトゴーレムの後ろに回り、距離が五メートル位まで縮んだ所で魔力付与を施す。
ティアには俺が魔力付与を行ったら、上空から魔法で攻撃をするように指示している。
ティアの攻撃が戦闘開始の合図だ。
来た!
ティアの放った風の刃が見えた瞬間に、ナイトゴーレムとの距離を一気に詰める。
ティアの風の刃を受けて、体勢を崩しているナイトゴーレムの首に一撃を加える。
ギンッ
っ!?硬い。
ロックゴーレムであれば切断出来ていたのに、火花が散るだけで斬鉄の薙刀の刃が通らない!
集中して思考を切り換えろ。
きちんと扱えば鉄でさえ斬ることが出来るのだ。
続けて攻撃しようとしたが、ナイトゴーレムが俺の方に向き直り剣で攻撃してくる。
ヒュン
振り下ろしの一撃を半身になって避ける。
ブラックウルフより遅いが、それでもレッドベアーと比べれば確実に速い。
続けて盾で殴り掛かってくるが、勢いがつく前に逆にこちらから盾を蹴って距離を取る。
ナイトゴーレムは追撃しようとしてくるが、ティアが魔法で牽制してくれる。
距離をとった所で思考を加速させると、世界がゆっくりになっていく。
ナイトゴーレムとの距離を詰める
また盾で殴り掛かってきた所を、低姿勢で盾の下をくぐり、跳ね上げる様に薙刀を一閃
薙刀の刃が、盾を持つ腕の関節に吸い込まれる
ギャリンッ
力任せだが腕の切断に成功
一旦距離をっ!?
腕が切断されたにも関わらず、左から、頭部に向けて剣の持ち手での叩き付けが来る
避ける事は不可能
籠手で防!
駄目だ、服は修復したが、今は左の籠手は無い
受けたら左腕が使い物にならなくなる
いや、防御しなければ致命
ッガツ
頭部に衝撃が走り、意識が薄れる。
意識が戻ると店の自室のベットに俺はいる。
何が起こったっけ?
確かナイトゴーレムと戦っていて、剣の持ち手での叩き付けが・・・あぁ、そうか。
無防備な頭部に強烈な一撃。
確実に致命傷だ。
ゲームを開始してからそれなりの時間が経っているが、俺は初めて死に戻りした。
ヨルの初めての死に戻り。
ヨルの反省は次話にあります。




