盲点
もはや新年と言えば新年ですが、かなり遅れてしまった新年一回目の更新です。更新頻度が著しく落ちていますが、今年もよろしくお願いします。
さて、装備の修復と配下にするモンスターについて相談するためにカオルさんの店まで来たわけだが、その外観は相変わらず重厚で高級感を漂わせている。
現実でもリュウや明日香ちゃんの親父さんに連れられて、様々な高級店に入ったことはあるが、どの店にも負けていない。
そういえば高級店についてだが、ある時期を境にリュウの親父さんに高級店などに連れていかれる頻度が増えた気がする。
確かその時期はリュウと親父さんが、リュウの将来の進路について揉めていた時だったような。
リュウに後から聞いた話だと、最終的には何らかの取引を親父さんとして決着がついたらしいが、今考えると俺にも関係がある取引だったのだろうか?
まぁ変わった事といえばそれ以外だと、取引があったらしい後からリュウの家によく呼ばれるようになった事と、親父さんが冗談で俺の事を息子と呼んだり「おとうさん(お義父さん)と呼んでもいいんだよ?」と言われるようになった事だけなので問題ないが。
それと使用人さんたちの変化もあったか、元々丁寧に話す人たちだったがより一層それが強まった気がする。
っと、いつまでも店の前で呆けているわけにはいかない。
時間は無限にあるわけでもないのだから。
そういえば、心構えもしておかないとな。
前回は店に入ってすぐ、メイドと執事を見て固まってしまったのだから。
俺はそう考えながら店の扉を開ける。
さあ、メイドでも執事でもどちらでもk・・・・・・。
・・・俺は店を間違えただろうか。
店の扉を閉めて、改めて確認する。
うん、どこからどう見てもカオルさんの店である。
俺はもう一度店の扉を開く。
そこには客と思われるプレイヤーと、その接客をしている矢絣のお召と海老茶色の袴の女学生、立て襟の洋シャツに袷と袴、学生帽と下駄の書生。
ここはいつの時代で何の店かと言いたい俺がいる。
しかし、かくいう俺も破損してはいるが憲兵の様な防具を着て、時代と雰囲気があってしまっているのでツッコミはブーメランである。
しばし俺が何も言えずに固まっていると、事の元凶と思われる人物から声がかけられる。
「あらヨル、ずいぶんひどい格好になっているわね。今回は何をやらかしたのかしら?」
俺はぎこちない動きでカオルさんの方を向いた。
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店の奥へ通された俺は、さっそくカオルさんに俺がやった事と相談について話をした。(店員の衣装については、さっきも言ったがブーメランになりそうなのでしない)
「そう、話は分かったわ。防具に付いては少し相談したい事もあるけど任せて。でもモンスターに付いては、私もそこまで詳しいわけでは無いわよ?」
俺はカオルさんの返事を聞いて、また配下に付いて悩む必要があるのかと、少し憂鬱になる。
この件に付いては、リュウに相談した方が良かっただろうか?
いや、カオルさんも「そこまで詳しいわけでは無い」と言っているが、確実に俺よりは詳しいだろう。
ここは話を聞いてから決めよう!
「取り合えず防具に付いて話をして、その後モンスターに付いて教えてくれ。最悪、気に入るモンスターが居なかったらリュウに相談するから」
「そう?なら防具なんだけど、服の修復は問題ないわ。でも籠手は新しく作り直した方が良いと思うの。一応、素材さえあれば修復出来るけど、元々が右と左の二対を揃えて作ったから、完全に破損した左だけを別に作ると、右と左で品質が変わってしまうのよ」
「品質が変わると何か問題があるのか?」
「別々に修復するからお金が余計にかかるし、もし装備を強化することがあれば同じように強化できない場合があるわね」
これは見事にデメリットしかないな。
ならカオルさんの言う通り、新しく作る事にするか。
「じゃあ、新しく作る方で頼む」
「分かったわ。それで素材はどうしましょうか?またレッドベアーの素材を使うなら、ヨルにとってきてもらう必要があるけど」
新しい素材か・・・。
レッドベアーの素材を取ってくるのは簡単だし、前の籠手でも不満はないけれど、せっかく新しく作るなら何か別の!
「カオルさん、この素材で籠手を作る事はできるか?」
そう言って俺が取り出したのは、ブラックウルフの素材である。
ブラックウルフは中ボスであるし、元々はブラックウルフによって籠手は壊されたのだ。
この素材で籠手を作る事が可能なら、レッドベアー素材で作られていた前の籠手より頑強なものを作ることができるかもしれない。
「これは・・・中ボスのブラックウルフの素材ね。素材も籠手を作るだけなら十分にあるし、前よりもいいものを作ることができると思うわ」
よし!どうやら俺の予想は当たったようだ。
「それじゃあ、籠手はブラックウルフの素材でよろしく。それで次は配下にするモンス「ちょっと待って」」
「んっ?まだなにかあったか?」
防具の話も終わったと思ったのでモンスターについて聞こうとしたが、カオルさんに止められてしまった。
「ええ、これは籠手に限らずヨルの防具全般に関わる事だけど、どうせなら防具にヨルの【魔力付与】を使って強化した素材を使わない?さっきは服も修復できるといったけど、同じ素材を揃えてお金さえ払ってくれれば作り直してもいいわよ」
これは盲点だった。
前に装備を作った時は【錬金術】で素材を上位の物にしたりはしていたが、ティアを配下にする前だったので【魔力付与】はしていない。
「それに、どうせ作るなら私も良い物が作りたいし、前に手伝って貰った時の【魔力付与】された素材で作った装備のデータが揃っているのよ。今ならそれより良い物が作れると思うし、実験の意味もあるから安くしておくわよ?」
カオルさんの言葉を聞いた俺の答えは決まっていた。
「どうか、それでよろしくお願いします!」
良い物ができるのは素晴らしい。
金はガンドさんにポーションやエーテルを売っているので今はそこそこあるが、安くなるならその方が良いしな。
その後は用意する素材や、それぞれの予定について話し合った。
話を聞いているだけでも、期待が持てる。
さて、次は配下にするものモンスターについてだ。
何か面白いやつがいることを期待しよう。




