平原
すみません、短めです。
多くの者が始めに訪れ、遮る物がほとんど無く、広々とした場所。
平原エリア
現在、俺は店をマーガレットさん達に任せて、このエリアに来ていた。
目的地に向かっていると【気配察知】が、後ろから向かって来る何かの気配をとらえる。
「ガァッ」
俺に噛み付こうと、狼のモンスター、ウルフが跳びかかって来た。
その速さはレッドベアーよりも遅い。
俺はタイミングを合わせて、ウルフの鼻っ面に蹴りを入れる。
「キャウンッ」
蹴りが当たると赤いエフェクトが起こり、ウルフのHpがごっそりと減る。
ふむ、ただの蹴りにしてはHpが大きく減ったな。
カウンターの様になったので、ウルフの勢いも関係があるかもしれない。
「グルルル」
反撃を受けたウルフは警戒してか、攻撃を仕掛けて来ない。
今度は俺から近づいて攻撃してもいいが、手っ取り早く済ませるか。
「ティア」
俺の頭の上にいたティアに声を掛けると、ティアはウルフに向かって風の刃を放つ。
ヒュン
ウルフはティアの魔法に反応して避けようとしたが、風の刃は速く、完全には避けきれずに残りのHpを失って砕け散った。
「ティア、良くやったな」
ティアは褒められて嬉しかったのか、機嫌良さそうにしている。
最近は店の開店準備で余り構ってやれなかったので、それも関係あるかもしれないな。
俺はティアの好物のアプの実を渡して、目的地である草原エリアの中ボスがいる場所に向かうのを再開した。
さて、俺が草原エリアに来ている理由だが、俺の店の商品を宣伝する為だ。
現在の草原エリアはボスが攻略され、新しい街が見つかった事も合わさり、多くのプレイヤーが自分達も新しく見つかった街に行こうと集まっている。
しかもそのほとんどは、ボスに挑める程のトッププレイヤー達だ。
俺の店の商品は市場を破壊しない為にも(ノーラさんに注意された)それなりに高額なので、金を持っていそうなトッププレイヤー達が集まっているのは、宣伝に持ってこいである。
それに商品は高額だが、売り出す事を悩んだ程に効果はぶっ飛んでいるので、ボスに挑むプレイヤー達にとっては、かなり魅力的に思えるだろう。
そんな理由で、俺は草原のエリアボスの場所まで行く事にしたのだ。
暫くウルフやスライムを倒しながら進んでいると、小さな門と何人かのプレイヤーの姿が見えてきた。
中ボスに挑みに来たプレイヤー達だろう。
それと門だか、あれはボスのいる場所に繋がっていて、ボスを倒さなければループして、一定範囲から先には進めなくなるらしい。(リュウからの情報)
俺は初めて見るが森エリアにもあるはずなので、宣伝が上手くいったら探しに行くのも良いかもな。
それとここでは商品の宣伝はしないで早く中ボスに挑むとしよう。
商品は有限であるし、大ボスの場所にいるプレイヤーの方が買ってくれそうだしな。
そんな訳で俺がさっさと一人で門に近づいて行くと、門の近くにいた男性プレイヤーの一人が声を掛けてきた。
「おいあんた、一人で中ボスに挑戦するのか?止めておいた方が良いぜ」
「そうだが、一人だと何かあるのか?」
忠告してくれるのはありがたいが、何故一人だといけないのか分からないので聞いて見る。
すると男性プレイヤーは理由を教えてくれた。
何でも中ボスはブラックウルフというでかい狼で、取り巻きに三体のウルフもいるらしい。
なので少ない人数で挑むと、囲まれてやられやすいらしい。
聞いてみれば確かに納得出来たが、他にメンバーもいないし、一人で挑んではいけない訳では無いので、忠告はありがたいがこのまま挑みますか。
男性プレイヤーには情報の礼を言うが、そのまま挑むと伝える。
男性プレイヤーは俺の言葉を聞くと呆れた様子で俺の事を見るが、もう一度止めようとはしないので、後は勝手にしろと言う事か。
話も終わったので、再び門に向かう。
しかしブラックウルフとウルフ三体か。
戦闘は今までに無いくらい厳しい物になりそうだな。
それこそ、棒一本で挑んだレッドベアーとの初戦闘を超える程に。
考え事をしていたら、門の前に着いた。
この門をくぐれば、とうとう初のボス戦である。
…………
………………
……………………やばい、気分が高揚してきた。
最近は店の準備だけで、ろくに戦闘もしていなかった。
自分が死に戻りしそうになると思う様な状況もほとんど無かった。
自分の顔に笑みが浮かんでいるのがわかる。
さあ、楽しい戦闘を始めよう。
俺は一度息を吐いてから門をくぐった。




