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80話 どうしてこうなった

早朝、まだ人の姿は無く、その殆どは寝床で微睡んでいる。


地下都市の早朝は真夜中と変わらない。


電灯の明かりだけが視界を確保してくれる。


だが、今の凍矢にはそれが有難かった。


この暗闇であるなら自分の変化を隠すことが出来るから。


いやいや、無理だって。


その肩幅と腰のライン、そしてケツ肉はどう足掻いても女のそれだぞ。


「はっ、はっ、ふっ、ふっ」


ランニングをこなす凍矢。


ほんの僅かな膨らみはサラシに巻かれているが、それでも上下に振れ動く。


「(いかん、パンツが食い込んできた)」


汗ばみ下着が肌に密着し、上下運動でそれが徐々に尻に食い込んでくる。


以前であれば、そのような状況には中々ならなかった。


しかし、今は尻が大き過ぎる。


それに加えてむっちり柔らか。


なので現在、パンツの食い込みが凄いことになっている。


しかも、直前にいたしてしまったため、余計に敏感になってしまっていた。


なんでトレーニング前にしちゃうのかなぁ、きみ。


「……」


凍矢は周囲をきょろきょろと見渡し、物陰へと移動。


そして、ズボンを下ろしてパンツの位置を修正した。


「なんだ、凍矢。こんなところで野糞か?」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


バチィィィィィィィィィィンッ!


「ほげぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」


凍矢、必殺の平手打ち。


gorillaは114514のダメージを受けて吹っ飛んだ。


致命的な軽傷である。


「と、桃吉郎かっ!?」

「おまっ、いきなり何すんだよ? ビックリして喰らっちまったじゃねぇか」


桃吉郎は凍矢の平手打ちを回避できなかったのが割とショックだったもよう。


ただ彼の名誉のために言っておくが、今の平手打ちは間違い無く世界最速だった。


回避するのは困難であっただろう。


「しかもおまえ、きゃぁぁぁぁっ、って女かよ」

「――――っ」


ぼりぼり、と頭を掻く桃吉郎は欠伸をした。


実に暢気。


それとは打って変わり、凍矢の心臓の鼓動が半端ではなく。


ドッ、ドッ、ドッ、と激しく脈動する。


口から心臓が飛び出る、という言葉が今の彼女に相応しい。


「気配を消して近付いて来るなっ!」

「いや、物陰に入ったから悪戯してやろうかと」

「するなっ! パンツの位置を元に戻そうとしただけだ!」

「そんなもん、堂々と道の真ん中で直せよ。男だろ」

「それは、おまえだけだ」


凍矢は頭を抱えながらズボンを上げた。


どうやら、桃吉郎は凍矢のパオーンが消失していることには気づいていないもよう。


「……凍矢、おまえ、女に会ってた?」

「いや、急にどうした?」

「おまえから雌の匂いがする」

「ひえっ」


桃吉郎は凍矢から凍矢以外のにおいを感じ取っていた。


流石はgorillaである。


「会ってない、会ってないぞっ」

「おかしいな……発情した雌の匂いがするんだが」

「き、気のせいだっ。僕は女性とお付き合いなどしない」

「ふ~ん」


桃吉郎は凍矢の顔を覗き込む。


薄暗闇の中、筋肉隆々の大男に覆いかぶされそうなシチュエーション。


きゅん♡


その時、凍矢の中の雌が反応した。


とろとろと何かが生産されている。


出番か? 出番なんだなっ!? とスタンバっているのだ。


「……やっぱ、妙なにおいがするなぁ」

「き、き、き、気のせいだっ! いい加減にはなれろっ!」


凍矢は桃吉郎の分厚い胸板を押して強引に距離を生み出した。


その時、凍矢に電流走る。


「(うおぉぉぉっ!? この手の感触っ! これが男の胸板っ!)」


男の時とは全く違う感触。


ありとあらゆる敏感な部分が嬌声を上げるかのような錯覚。


これには凍矢も危険を感じずにはいられない。


事実として、女性の部分がこの刺激で成長し始めていた。


「なんだよぉ……って、おまえ風邪でも引いているのか? 顔が真っ赤だぞ?」

「はぁ、はぁ……か、風邪じゃないっ!」

「いや、風邪だろ。くっそ熱いぞ」

「――――――――!?」


おデコとおデコを合わせるやつ。


桃吉郎は親しい相手なら、こういうことを男性、女性関係なくやる。


しかし、異性を強く意識している今の凍矢には効果抜群だ。


「はぅ……」


遂に腰砕けになってその場に座り込んでしまった。


「ほら見ろっ! 風邪じゃねぇかっ!」

「ち、違うっ」

「違うじゃねぇっ! おまえ、もう今日は家で寝てろっ!」


桃吉郎は自分の無茶は認めさせても、相棒の無茶は絶対に許さない。


「ひゃんっ!?」


凍矢を抱き上げて彼女の家まで全力疾走する。


その際に凍矢が可愛らしい悲鳴を上げたが、gorillaはまったく気にしていないもよう。


速い、速い。


その速度、実に時速100キロメートル。


お米シャワーを余裕で捕獲できる速度だ。


「(うう、何でこんな事に)」


よもや長年の相棒にお姫様抱っこをされることになろうとは。


凍矢は己の迂闊さに呆れる。


しかし同時に謎の幸福感に包まれていた。






「いいか? 今日は絶対安静だぞ!」

「わ、分かったよ」


凍矢を無理矢理寝かしつけた桃吉郎は、台所でお粥を作ってから彼女の家を後にした。


「……なんでこうなった」


盛大なため息を吐き出し天井を見る。


胸、特にその先端部分がジンジンする。


これは間違い無く成長痛であろう。


「もういい、疲れた。今日はもうダラダラしよう」


結局、凍矢は今日一日、病欠することにしたのであった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なるほど、パォーンは食い込み防止のプロテクターだったのか [気になる点] ゴリラの事だから なぁ〜んだ女になっただけじゃないか で、すましそう
[一言] いや… 男以前のセクハラですわ!
[一言] 恵まれた容姿から繰り出されるクッソ汚いダメージ…つまり純愛だな!
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