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47話 ジャックの懸念

「なんだよ~。引っ張るなよ」

「いいから、あれから離れろ」


遠ざかる黒髪の少年の姿。

声が聞こえない程度に離れたところでトーヤは赤兎を解放した。


トウキは全く気にしていないが、トーヤは黒髪の少年トラクマドウジの異様性にいち早く勘付いている。


敵に回せば厄介なことになる、と。


「(であれば味方のままにしておくのが最上策)」


トウキはトーヤの行動に不満であることを示す。

ほっぺに空気を入れて膨らませたのだ。


トーヤは鬱陶しいので指で彼女の頬を突いて空気を抜いた。


「見境なく喧嘩を吹っ掛けるな」

「向こうが仕掛けてきたんだぞ。目と目が合ったら喧嘩だろうが」

「どこの野生生物だ、おまえは」


中身ゴリラだから仕方がない。

ドラミングしなかっただけ偉い。


「も~っ、びっくりしたわよ。本部の連中といざこざを起こさないでよね」


トウキの鬱憤をトーヤが、ぷひっ、と抜いたところでデューイたちが合流する。

ジャックの手にはたまね牛の串焼きの姿。


どうやら転送して早々に調理して提供されているようだ。


「あれが本部の精鋭ねぇ……確かにトウキを見ていると、そこまでの凄さを感じられんが」

「何か引っかかる言い方ですね」


ジャックは眉を顰めるトーヤに「ん」と牛串を手渡す。

彼女はそれを受け取るとおもむろに齧り付いた。


むちっ、くちゅくちゅ……とろ~。


まるで和牛のさしの部分。

じゅわりと脂が溶けて行き、甘いスープへと変貌する。


味付けが塩コショウという単純なものだから、肉の美味さだけで勝負するこの料理とは相性がとても良い。


まさに肉を堪能するならこれ、というお手本のような料理だ。


「おいひぃ」


頬に手を添えて、うっとりとした表情を見せる眼鏡美人。

牛串に蕩けさせられたトーヤは、その表情で周りの男どもを蕩けさせた。


「あーっ! 俺にもくれぇ!」

「分かってるよ、ほら」

「わぁいっ!」


こっちは美人より残念と可愛いが上回っている。

その光景は明らかに仲の良い兄妹の姿。

片方は珍妙な格好なのがシュールさを助長させている。


「うまうまっ」

「肉汁を零すな」


相変わらず食べ方が雑。

口から溢れた肉汁が乳房に滴ってもお構いなしだ。

放っておいたら舌で舐め取る光景が見えるので、ジャックはハンカチを取り出して雑にふき取った。


もちろん、双方共に気にしていない。

お互いの正体を知っているからだ。


この二人の関係を知らない者たちは、やっぱ兄妹か、と勘違いすることだろう。


「それでジャックさん」

「話の続きか? まぁ、勘ってやつなんだが……どうも黒い部分が見え隠れしててなぁ」

「確証はない、というやつですか」

「そんなところだ。結論から言うと、奴には近付くな、となる」


デューイに牛串を手渡す、とジャックも豪快に牛串に齧り付いた。


「おかわりっ!」

「ねぇよ」

「ソンナー」


トウキはがっくしと肩を落とす。

たまね牛の換金は本日査定が行われ、翌日に振り込まれるので現在のトウキは無一文である。


僅かに残っていた金はたまね牛の狩猟の際に全て食べ物へと変わった。


宵越しの金は持たない、という江戸っ子気質、といえば聞こえはいいが、ただ単に無計画な性格であることは疑いの余地が無い。


つまり馬鹿である。






―――すすきの地下都市・グランドホテル、ロイヤルスイートルーム。


そこにチームオーガの姿があった。


本体は東京で操縦しているため、北海道に来ているのはドッペルドールのみ。

したがって、彼らの拠点となる場所が必要だ。


すすきののドッペルドールビルの調整室は、どうやら彼らのお眼鏡に掛からなかったようで、自らで調整を行うと辞退した形だ。


「よし、いいよ。クマ」

「ありがとーっ♡ このまま、夜のお勤め、しちゃう?」

「皆の調整が済まないとダメだよ」

「え~? 放っといていいじゃん」


ジト目でその他を見る赤毛の少女。

彼女は全裸だが少年を前にして隠そうともしない。

つまりは、そういう仲なのだ。


「ちょっと! ふざけんじゃないわよ! 熊女っ!」

「何さ、ペタン娘」

「剛毛っ」

「お、男はこっちの方が興奮するのよっ!」


赤と青が言い争っている隙を突いて黄が少年に調整を頼む。


「馬鹿ばかりね」

「キン、そんな事を言わないの」

「はぁい♡」


黄もまた、少年に好意を持つ者の一人だ。

彼女は少年の分け隔ての無い愛に心を打たれた。


それからというもの、彼以外には決して心を開かず、彼だけに全てを捧げる狂信者のような状態になっている。


少年としては他の皆にも関心を持ってほしいと思っているが、彼女の性格上、難しいとも把握していた。

だから今は彼女の好きなようにさせている状態だ。


「ちょっと!? 次は私でしょうっ!?」

「早い者勝ちよ、ホシクマ」

「きーっ!」


青髪の少女、ホシクマドウジは地団太を踏む。

外見は沈着冷静そうに見えるが、実は嫉妬深く短気で暴走しがちである。


調整は主に少年が行う。

その方法とは簡単に言えばマッサージだ。

ドッペルドールの全身を特別な揉み方で解しエネルギーの循環を調整する。


彼はそのマッサージがとても上手だった。

それこそ、凡夫を天才にまで高めてしまうほどに。


「んあぁぁぁぁぁぁぁぁっ♡ しゅごいのぉぉぉぉぉぉっ♡」

「普通にマッサージしているだけだよ」


キンことキンドウジは絶対に他者には見せないであろうアヘ顔を晒した。

それほどまでに快感なのである。


そして、このマッサージは性的快楽も同時に起こるので、施術後は大変なことになった。


つまり、少年はこの後、三人娘の相手をしなくてはならないのだ。

これが結構、きついらしく。


そのお陰で色々と強くなったらしい。


夜のホテルで【いやーん】な状況が引き起こされる。

残念ながら、ここからは危険な領域に入るので【カット】だ。


こうして、この物語の平和は保たれることになった。


やったぜ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 飛ばされたいや〜んな部分の開示を求める! 後日なっとうごはんから黒塗りの原稿用紙が提出された 読者「いや〜ん」 [気になる点] これはまた懐かしい名前がまた! この分だとヤドカリ君の出番も…
[一言] イヤーンなシーンはカットされた NG「お盛んな事で…」 珍獣「ちょっと主任を呼んで戒めて貰おう」 虎熊「勝てないのでやめて下さい」土下座
[一言] 最近はpkmnトレーナーでも話しかけないと対戦は発生しないのにゴリラときたら
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