043:裏切り
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『赤城サンブレイク』×6名『堕天使の翼』×5名『黄昏の月《トワイライトムーン》』×4名の、総勢15名で撤退のフォーメーションを組み終わると、ついにヒールスパイダーが隠れた穴から再び現れる。
予定通り『赤城サンブレイク』の沼田さんとサブリーダーの二人と、オレとがしんがりを務め、ヒメが念のためサポートとしてオレ達の後方で待機。黒原はその後ろで、岩を落とすためのタイミングを見据えながらポジションを取る。
閉じ込める第一弾として、北側に抜ける道の先へと誘導すると、黒原が自分のスキルを実行する。
すると、北側へ抜ける通路付近の上部で爆発が起こり、天井の岩が落下しヒールスパイダーの後方に岩が積みあがっていく。
隅の方に少しスペースが残っているけど、人が通り抜けられる程度の隙間なので、ヒールスパイダーが通り抜けることはないだろう。
「輝くん、少し押し込むぞ!」
沼田さんはそう言うと、走り出しヒールスパイダーへ近づき、ロングソードの一撃を入れる。切断を狙う攻撃ではなく、後ろに後退させることをイメージしての攻撃だ。
「沼田さん、撃ちます!」
「おうっ」
掛け声と共に後退する沼田さん。そのタイミングでグレネード型散弾を発射し、更に魔力をチャージし2発目も撃つと、思った以上に効果があり、ヒールスパイダーは黒原が落下させた岩山の辺りまでノックバック差焦ることに成功する。
「輝くんナイスだ。今の攻撃でかなり距離を稼げぐことができた」
おおっ。こういう激励って上がるな。しかも、こういうのって今後のチーム運営の参考になる。沼田さんも高校生だから、ダンジョンに入るようになったのは今年からだけど、その前から準備はしていたのがよくわかる。
「これで撤退までの時間はかなり稼げたはずだ。先行で撤退するメンバーは、全員とも落石させるポイントを超えたぞ。後は俺たちだけだ」
残るはオレとヒメ、赤城サンブレイクの二人、黒原とサブリーダーの井地北の計6人がそのポイントを超えた後に、黒原の爆破がうまくいけば、この作戦はほぼ成功だ。
「最後の仕上げだ。俺たち二人とヒカル君とであいつを抑えながら撤退する。黒原君たちと藍澤さんは先に落石ポイントを超えて待機してくれ」
赤城サンブレイクの沼田さんが指示を出す。
「いえ、わたくしは念のため、少しだけ後方で撤退速度に合わせて後退しますわ」
「そうか……承知した」
ヒメは念のため残るらしい。
ちらっとヒメを見るが、決意は硬そうだな。本当は先に撤退してほしいんだが、少し後方のポジションならさほど危険はないか。
「それじゃ、俺たちは先に行くぜぇ」
ヒメは残る決意をしたこともあり、即決で撤退する黒原の言い方に多少イラっとするが……心情的にはかなりイラっとするが、まあ残っても邪魔なだけだしな。
黒原達が撤退した後、残りあと10メートルの撤退戦を開始する。
赤城サンブレイクの二人の攻撃と牽制後オレのグレネード型散弾のノックバックを繰り返すこと三回。これで残り5メートルのところまで撤退した。
ようやく見えた光明がいよいよ現実へとなりそうだ。
そして、さらに同じ連携で三回ほど攻撃を繰り返すと、ようやく落石予定のポイントに到達する。ここまでくれば、オレの攻撃だけでなんとか凌げそうだ。
「ここでオレが何発か撃ってノックバックさせたあとオレも後退しますので、三人は先に後方へ退却してください」
「「承知した!!」」
ヒールスパイダーは、落石予定ポイントまで約3メートルまで迫ってきてる。つまりは、オレとヒールスパイダーとの距離はヒールスパイダーの大きさと同じ程度だ。
この距離で対峙すると、3メートルもの大きさがあるヒールスパイダーは、かなり圧迫感がある。
だが、怖気づくわけにはいかない。
後方へと撤退していく三人……いや、二人を見ながらグレネード型散弾を一発発射しMPをチャージする。
ヒメがオレの後方に張り付き、撤退していない。
「ヒ、ヒメ?」
「最後までフォローいたします」
オレたちとパーティーを組む前から、がっつりとダンジョン入りしただけある。さすが、肝が据わっている。カッケーな。
「うん。ヒメ、任せた」
「了」
そして二発目を発射し再度MPをチャージ。そのタイミングで異変が発生する。
今まで、オレたちの行動を撮影して配信しているであろう周辺を飛行しているドローンの動きが不安定になったのだ。
落下や着陸、不安定な飛行など、視認できる範囲のドローン全てが、おかしな挙動になっている。
この動きってどこかで見た覚えがあるぞ……。
そうだ。この前購入して、今回も個人で使用しているドローンの通信が切断された時の動きに似てるんだ。
いや、今はそんな検証をしている場合じゃないな。
再びヒールスパイダーを攻撃するため、グレネード型散弾を発射しようとしたその時、オレの上部で爆発音がする。な、なんだ?
「ヒカル様!」
ヒメの叫び声と共に、オレの背後で爆発音が! な、何が起きたんだ?
「く、黒原君!!!」
「ヒカル!!」「ヒカルっち!!」
オレが撤退するよりも先に、岩は爆破されて落石し、通路は岩で堰き止められて、予定通り無事作戦は成功した。
オレたちが撤退成功する以外……は。




