023:あずささんとダンジョン探索
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昨日はダンジョンから帰宅してすぐに、サーチした魔物の距離の表示について、早々にアイさんへと共有した。
実装可能かに関していえば、距離計測は容易なので、実施はさほど難しくないらしく、朝までに一番近くの魔物限定で、その距離を表示出来るよう調整してくれるらしい。
朝5時ごろにアップデートがかかるように設定してくれるんだって。仕事が早すぎるって。感謝、感謝!
ドローンをオンラインにしておいてくれれば、朝6時までは更新に時間がかかるそうなので、早朝のダンジョンは中止にしようかな……。
魔銃はすべて回収したし、いつも以上にハムハムを狩ったし、一回くらい休んでも罰は当たらないよね? なんて思っていたのに、習慣ってのは恐ろしい。
目覚ましも止めてベッドに入ったのに、いつもの起床時間には目が覚めてしまった……。二度寝しようにも、朝5時だっていうのに暑くて寝苦しすぎて、寝ていられない……。
昨日の今日でハムハムがそれほど出現するとは思えないけど、まだまだドローンのサンプルは取りたいし、今朝も神条ダンジョンで小銭を稼いでくるか。
諸々準備を済ませて6時を過ぎるまで待機したのち、今日は『もやすごみ』収集日なので、あらかじめ玄関に用意していた『もやすごみ』を持ち収集場所へいくと、今朝も白島親子と遭遇した。
「あ! おにいちゃん、おはよー!」
「あかねちゃん、おはようー。今日も元気だねー」
今日もあかねちゃんの突撃を受け止めて、頭をポンポンしながら元気な挨拶を褒めたたえる。
「あずささん、おはようございます!」
「輝くん、お、おはよう」
あずささんは先日のことを気にしてか、頬を赤らめて少しはにかんだ様子が伺える。その姿は、とても二十五歳とは思えないほど可愛らしく、見惚れそうになるその姿を見て、ミスコン優勝へと導いたんだろうなという片鱗をうかがわせる。
「ねえ、輝くん。お願いがあるんだけどいいかな?」
「えっ? な、なんでしょう」
うわっ、意識した時に、そんな上目づかいでお願いしてくるなんて、反則だってばっ! ドキドキが止まらないんだけど。
「次に私がダンジョンに行くときに、サポートをお願いできないかしら」
左右の指を合わせながらお願いしてくるあずささん。な、なにっ? このお願いポーズは! 反則過ぎるほど可愛いいポーズなんだが。
ま、まあ……この前のダンジョンでの戦闘を見る限り、あずささんは素人なうえ戦い方もよく分かってないと見受けられたので、少しレクチャーするのもいいかもしれないな。じゃないと、この前遭遇した時のようなことに再びなりかねないし。
もちろん邪な考えなんてこれっぽっちもないよ?
素人の行動は、経験者では考えられないような、予想の斜め上を行く行動を起こす可能性もあるので、データ収集の面でも、得難い情報が得られる可能性もある。
「いつでもいいですよ。夏休み中だし、なんなら、あずささんの都合にも合わせられます!」
「ホントにー? ありがとう! 今日の夕方に行こうと思っていたんだけど、今日の16時過ぎでも大丈夫? 14時まではパートがあるから、それが終わった後お願いできないかしら」
「問題ないです」
「じゃあ、お願いしちゃおうかなー」
念のため連絡先の交換を行い、神条ダンジョンで15時前に待ち合わせをした後、朝のダンジョン活動の為、神条ダンジョンへと向かった。
☆☆☆☆
神代ダンジョンに到着すると、既にあずささんは到着していて、使い込んだつなぎ姿でメグミ姉さんと何やら会話している。長い髪を束ねて、この前使用していたこん棒らしきものも携帯しているので、もう準備も済んでいるみたいだなーなんて眺めていると、メグミ年産がオレの存在に気が付いた。
「ひっくん遅いー。あずさ先輩を待たせてるぞー」
巫女服で大きく手を振りながらオレに声を掛けてくるメグミ姉さん。苦笑いをしながら、軽く手を振りながら、二人の方へと足を向ける。
「あずささん、お待たせしました」
「ううん。時間通りだよ」
このままダンジョンに入ってもいいんだけど、あずささんとメグミ姉さんには【異空間操作】のスキルのことはまだ共有していないので、とりあえずはドレッシングルームへ小走りで向かい、そこで銃を出すことにする。
「五分だけ待ってくださいー。すぐ準備してきますので-!」
「はーい!」
ん? なぜにメグミ姉さんが返事する……。ま、まあいいか。
ドレッシングルームに入ると、M92F(魔銃化)とP08(魔銃化)の2丁を取り出す。あとは、ドローンとゴーグルを装着しドローンの電源をONにすれば、これだけでオレの準備完了だ。
あずささんの装備は脆弱なので、今日はP08(魔銃化)を貸し出す予定だ。さすがにこん棒は……ね?
オレは久々にメインウエポンにM92F(魔銃化)を使用することにした。あずささんは、戦闘にも魔銃にもまだ慣れていない様子なので、あずささんが使う武器とオレが使う武器が近ければ、武器の使い方をレクチャーする際も、参考にしやすいだろう。
あずささんが銃の使用に適性があれば、1丁は予備で作った銃だから譲ってもいいしね。
M92Fは自分のフォルスターに納めて、ホルスターだけ装着してあるガンベルトにP08を収め、それを持って外で待つ二人の元へと向かう。
「あずささん、これ、使ってください」
「これは?」
そういいながらも、ガンベルトごとぎこちなく受け取るあずささん。銃自体は知っているとは思うけど、扱い方が知らないことがすぐにわかる扱い方だ。
「そのベルトに付いてるホルスターに収まっているのが、オレがダンジョン用にカスタムしたエアガンが、吸収アイテム化したもので、魔銃って呼んでます」
「吸収アイテム? 魔銃?」
そこからか。まあ、しょうがないな。
「吸収アイテムっていうのは、ダンジョン内って地上の物質が残されたまま時間が経過すると、ダンジョンに吸収されてダンジョンの一部になるんです。その物質が時間の経過とともに進化して、生まれ変わったものが魔物を倒した時に、ドロップする場合があるんです。ここまでは理解できました?」
「う……ん。何とか?」
うーん。理解できたか怪しいけど、吸収アイテムについて完全に理解しなくても差しさわりはないけど、もう少しだけ補足しておくか。
「さっき渡したその銃は、オレがカスタム化したあと、何日か前にダンジョンに置いていき、昨日ハムハムを倒した時に、ドロップしたものなんです」
「えーすごいっ!」
本当に理解したのか。なんか流されてる感がすごいあるけど、まあいいか。
「ダンジョンに入ったら、銃の使い方を教えますが、まずは利き腕でグリップをこんな感じで握ってください。その時、トリガーに指をかけるのはNGです」
ホルスターからM92Fを取り出して握って見せる。ただ、オレは左利きなのでグリップを握るのは左手だ。
あずささんもベルトを腰に装着してから、ホルスターから銃を抜いて構えてみせる。
「こんな感じ?」
「大体そんな感じですが……」
少しぎこちない握りだったので、あずささんの手を取り、安定した握り方をレクチャーすると真剣に握り直し、持ちやすくなったことを実感すると、納得の表情を浮かべる。
その後、構え方、セフティーレバーの解除方法、レーザーサイトの使い方、フラッシュライトの使い方、弾のチャージ方法など、撃つ前に必要な取り扱い方法などのレクチャーを一通り終え、一旦銃をホルスターに納め、いよいよダンジョンへと向かう。
「じゃあ、メグミ姉さん行ってきます!」
「はーい。二人とも気を付けてね」
ダンジョンに入ると、少し緊張しているのかあずささんからため息が聞こえる。
「あずささん、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。いろいろ教えますので」
「はい、先生!」
「えっ? 先生?」
「うん。だっていろいろ教えてもらうから」
こういうところかー。ナチュラルに男心をくすぐられたらイチコロだよ。
まず、ハムハムと戦う前に特性を教授する。
ハムハムが数匹出現した場合、先頭のハムハムがこちらに気付くとすぐには行動せず、こちらの様子を伺ったのち、先頭のハムハムが行動を起こす。その数秒後、追随するようにその他のハムハムが動き出す。
なので、まずは先頭のハムハムを倒し、追随するハムハムを倒せば、スムーズに討伐できるはず……と教えたんだけど、敵が複数になると途端に慌てふためきパニックになる。
根気よく、繰り返し討伐を行っていくと、どうにか二匹までは倒せるんだけど、三匹を越えるとどうしていいか分からなくなってしまうよう……。あれだ……、オニク同様、マルチタスクが苦手ってやつだ。
あかねさんのステータスを見れば、何か突破口が見いだせるのか? ダンジョンに入る前に確認するべきだったかもしれない。
早速あかねさんの能力を鑑定してみる。これが鑑定結果か。
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名前 :白島あずさ
レベル :4
年齢 :25
HP :20
MP :16
経験値 :650
未配能力値:40
筋力 :8
敏捷力 :10
耐久力 :10
知力 :8
判断力 :12
魅力 :18
運 :14
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運動面的なところと知能がちょっと低めなのか。
判断力は低くないけど、運動面に劣ることを自覚していて、複数の敵を前にすると腰が引けているのかもしれないな。その思考が悪循環になっているのか?
しかし、これって解決の手立てがあるのか? スキル操作をするわけにもいかないし。
せめて知力を二桁まで引き上げる術があればイイんだけどな……。どうしたらいいか悩んでいると、突然あずささんの嘆く声が響き渡る。
「もういや! あかねのために頑張ってるのに、全然うまくいかない!」
「あかねさん?」
「せっかく輝くんにも時間を作って貰えて、貴重な情報も教えてくれているのにぃ。ごめんねぇ、輝くん……」
「あ、いえ……」
とうとう涙をこぼすあずささんを前に、オレはどうすることもできない。
ダンジョン内でこの状況はよろしくないけど、やろうとしていることがうまくいかない状況を、悔しがる気持ちはよくわかる。とりあえず、あずささんが落ち着くまで辺りの警戒をするか。
「ぐすん……あかねのためだったら何でもするのにぃ……」
なんでもする……か。
「あの……あずささん」
「えっ?」
「オレとエッチしてみませんか」




