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サツキとダンの新しい世界  作者: 手絞り薬味
続・サツキとダンの新しい世界
97/101

続ー23サツキ編     結婚式と披露宴

 城に着いた私達は、ニィの案内で妙に豪華な部屋へとやって来た。ここ、何の部屋かなぁ。やたら人が集まって歓声上げてるけど……って、え!?

 何気なく部屋の奥に視線を移して、私は驚いた。あの、やたら豪華な椅子に座ってるのって……、


「レムじいちゃん!?」


 そうだよ、レムじいちゃんだよ! しかも、ちょうちん袖の服着て、かぼちゃパンツに白いタイツ穿いて、マント着けて、おまけに頭には宝石をちりばめた黄金の冠をのっけてるじゃない!

 この『いかにも』な格好、まさかレムじいちゃんって……。

 私は慌ててダンを見上げる。

「ダン、レムじいちゃんって――」

 王様なの? という言葉を言う前に、周囲が急にざわめき始めた。え? 何、この雰囲気?

 戸惑っていると、レムじいちゃんが立ち上がり、私達の前に立って優しく話し始めた。

「サツキちゃん、ダンが帰ってきて良かったね」

「レムじいちゃん……、えーと……」

 王様なの? って訊いてもいいのかな?

 ちょっぴり迷う私の肩に、ダンが手を置いて囁く。

「サツキ、違う」

 ん? 違う? 王様じゃない? 首を傾げる私に、レムじいちゃんが言った。

「『レムじいちゃん』がいい」

 そして頭を撫でる。

 うーん、結局王様なの? まあ、いいけど。

 で、そのレムじいちゃんが、ニィから紙を一枚受け取って、読み始める。


「ダン・ワーガルの、愛の×××と、愛の×××と、愛の×××を認める」


 …………。

 私は耳を疑った。はい? 今、なんていったの? 知らない言葉ばっかりで、いまいち分からなかったけど、でも確かに聞こえた。愛を――認める? 何それ?

 私はダンの腕を掴んで、顔を見上げた。

「ダン……」

 愛を認めるって、何?

 するとダンは、何かを訴えるように私をじっと見つめ、それから私の左手を取った。ダンがポケットから取り出したモノが光る。嘘、それって……!

 私の左手の薬指、そこに指輪がはまった。更にダンは、ポケットからもう一つ指輪を出す。

 ペアリング、愛を認める……。つまり、これは――そういうことなの!?

 ダンからもう一つの指輪を受け取り、私はそれをダンの左手の薬指にはめた。

「ダン……!」

 思わず抱きついた私の顎を軽く持ち上げ、ダンが口付けをする。誓いの口付け、だよね。やっぱりそうなんだ。


 これは……、結婚式だよね!


 ダンの顔が離れると、みんなが拍手をしてくれる。次いで、机が用意された。机の上に置かれた紙に、ダンがサラサラとサインをする。

「サツキ、名前を」

 うん。分かった。

 受け取ったペンで、私も紙に――婚姻届にサインをした。レムじいちゃんが二人のサインを確認して、大きな声で言う。

「さあ、お祝いだ!」

 促されて大広間に移動すると、そこには天井まで届きそうなくらい大きなケーキが用意してあった。

 披露宴まで用意してたの? よく見たら、お父様とお母様、それにマチルダとヤンも居るじゃない。散々待たしたくせに、お城で結婚式と披露宴なんてサプライズ用意してるなんて……もう、馬鹿! 嬉しいじゃないの!

「ケーキだ」

 うん、分かった。

「ダン」

 係りの人から渡されたナイフを二人で握る。そしてゆっくりと、二人の初めての共同作業、ケーキ入刀をした。

 う……、涙が溢れてきたよ。

「サツキ……!?」

 私はダンを見上げて訊いた。


「愛してる?」

「ああ、当然だ」


 ダン……。

 ダンが私を抱きしめる。周りから聞こえる、「おめでとう」の声。ふと見ると、そこには屋敷まで押しかけてきた、ダンの浮気相手の姿もあった。

 あの人達に勝ったんだ、私! ダンは私のものなんだから、名実ともに妻になったんだから!

 もう絶対、浮気なんてさせない!

 私はみんなに見せつけるように、ダンにギュッと抱きついた。



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