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ハズレギフト【非才無能】で落ちこぼれだった俺、伝説の魔剣を手にして成り上がる~元仲間がすがって来るけどもう遅いと斬り捨てる~  作者: 折本装置


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47話「非才無能、宿敵を見つける」

「ああ、始めまして。私は錬金魔人、ハーゲンティと申します」



 禿頭の男だった。

 首の下にある胴体は筋肉質で、歴戦の戦士であることをうかがわせる。

 だがそれだけならば、冒険者ギルドで多くの猛者を見てきた俺達が警戒するほどではない。

 俺達が身構えているのは――顔と胴体意外だった。

 まず、腕。

 左腕は黄金の

 そして、腰から下はやはり黄金色の馬の体があった。

 尾も、胴体も、蹄すらも黄金色で構成されている。

 目が潰れそうだった。生命と貴金属を混ぜ合わせて冒涜したような在り様に、俺は嫌悪感を抱かずにはいられなかった。

 間違いなく、人間のそれではない。



「第四十二魔剣の主あるいは、錬金の魔人と、名乗ったほうがわかりやすいですかね?」



「マリィ」



 俺は構えたばかりの魔剣を握りしめる。



『肯定。第四十二魔剣ハーゲンティの反応を対象の内部に確認。魔剣と融合した魔人に相違ありません』

「…………」



 まずい、と思った。

 どういうわけか知らないが、話に聞いていた魔人と迷宮内で遭遇してしまった。

 それにしても、どうしてなのだろう。

 俺の記憶が正しければ、ダンジョンの同じ部屋に《《六人以上は同時に存在できなかった》》はずだ。

 そこまで考えかけて俺は、気づく。

 


(人間じゃない)



 さんざん言われていたことだ。

 魔人は種族も、心の在り方も、人から外れた存在だと。

 俺は散々聞いて、知っていた。

 俺自身も一歩間違えていたら、あるいは一歩分正しくあれていたら。

 こういう未来もあったのかもしれない。



「それにしても、素晴らしいですね。まさか四体もいるだなんて。ああ、最近は不運続きで気が滅入っていましたが、これは本当に素晴らしいことですよ」

「…………」



 何を言っているんだと、誰もが思った。

 それを口に出来なかったのは、全員が雰囲気に、ハーゲンティにのまれていたからだ。

 本能で察していた。

 逆らえば、彼の話を遮れば、死ぬよりなお悪い結末が待っていると。

 唯一、モミトだけがどうにか口を開いた。



「素晴らしい、というのは?」

「もちろん、皆さんが美しいからです」



 恍惚とした表情で、ハーゲンティが答える。

 それは、まるで目当てのおもちゃを見つけた子供のようであり、欲望に目をギラギラさせた老爺のようでもあった。



「世の中には様々な生き物が暮らしていますよね?ですが思うのです。その中に、鑑賞に堪えうるものはどれくらいいるのだろうと」

「何を言ってる?」



 まるでこの状況には見合わない、場違いで見当違いの発言。

 だが、ハーゲンティはこちら側のリアクションには付き合わず。



「ああ、私としたことがいけませんね。つい、取り乱してしまいました。とりあえず状態が悪くなってはいけませんからね、処置を済ませましょう」



 ぞっとした。

 それは、スキルなどによるものではない。

 生物が生まれつき有している本能が目の前の怪人を恐れ、拒絶していた。



「…………逃げ」

「逃げないでくださいね?《茨の王》」



 かつん、と地面をける音が響いた。

 瞬間、地面がひび割れて。



「っ!モミト!」



 地面から黄金の蔓が飛び出し、瞬く間にダンジョンの床を埋め尽くしていく。

 逃げ場のない範囲攻撃に対して、被弾する以外の選択肢などなく――。

 パーティー六人のうち、五人が一瞬で戦闘不能になった。



「お――」



 唯一の例外であったモミトは、それを為したナナミを見る。

 《危機感知》で足元に危険があるのだと判断したナナミは、ロープでモミトを絡めとると、天井近くまで放り投げた。

 彼女自身を含めたパーティメンバーの中で、誰が一番必要な存在か、判断した結果である。

 結果として、モミトは攻撃を受けることはなかった。

 そして、モミト以外はそうはいかなかった。



「なんだ、これは」

 



 俺をロープで放り投げたナナミが、チェーンソーを手に対処しようとしたリップが、解剖用のメスを取り出したメルティーナが、顔を青くして震えていたシャーレイが、シャーレイを庇うように立っていたヒュンリが。

 全員等しく、茨にからめとられて。

 ――《《黄金》》に変わっていく。



「なんだ、これは」



 地面に着地し、黄金の茨を切り払いながら、俺は情報を処理していく。

 俺も、訊いたことがあった。

 知っては、いた。

 黄金病について、詳しい原因はわかっていないこと。

 病というよりは、呪いに近い代物であること。

 何かしらのモンスターが起こしている可能性があったこと。

 それらの情報が、今、俺の脳内で完結して。

 すべてを理解する。

 こいつだ、と。




「ああ、美しい――またしても、芸術が増えました。」

「ハーゲンティーー!」



 モミトは、まっすぐにハーゲンティへと――家族を覚めない眠りにつかせた怪物へと、挑みかかった。


ここまで読んでくださってありがとうございます。


「面白い」「続きが気になる」と思ったら、評価☆☆☆☆☆、レビューなどよろしくお願いします。



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