098-6-3_公爵の令嬢
へぇ~、公爵令嬢か。道理で男爵も敬語を使うわけだ。でも、王族がなんで王宮騎士団なんだ?
こそこそと動いていると、ピュリスがチラッとこちらを見た。
あっ、目が合っちゃった?
しかし、ピュリスはこちらに興味を示さず、両手を腰にやって凛とした態度で男爵に話しかけた。
「それで、ボズウィック男爵。バイドンが言っていた魔石の回収作業は上手く捗っているのか?」
「はい。こちらにございます通り、全ての魔石の回収と浄化作業を、たった今終えたばかりでございます」
男爵はそう言って、透明の魔石が積み上がった山を指し示した。すると、ピュリスが感心して言った。
「ほぉ、これが浄化された魔石か? 私も、バイドンから浄化前の魔石を見せられたが、一つでも気が滅入るものだった。これほどの量が湖底にあったとは驚きだな。しかし……」
そう言うと、ピュリスは腕組みをして考え込んでしまった。
何か気になることでもあるんだろうか? もしかして浄化作業のこと?
これほどの浄化魔法は、人間が簡単に使えるレベルでは無い。もし、そういう事情を分かった人間であれば、どうやって浄化したのか不思議に思うだろう。
何か聞かれたらどうしよう? もし、女神エネルギーの事を聞かれるとやっかいだね。ここは、ヴィースとカリスにやってもらったことにして、切り抜けるか?
そう考えていると、ピュリスが、突然、大きく身体を前に倒し男爵に向かって言った。
「ボズウィック男爵。この度は、王宮騎士団の代わりに、このような危険な作業を担っていただき、大変感謝するっ!」
ピュリスの後ろでは、バイドンも同様に頭を下げていた。
「お、おやめ下さいっ! ピュリス様」
男爵が、大慌てになってピュリスの行為を制止しようとしたが、彼女の身体に触れる訳にも行かず、彼は片膝をついて跪ずき頭を下げた。それを見て、ローラ夫人とイリハにラヒナも、その場で膝を付いて同様に頭を下げた。
ぼ、僕もやった方がいいよね?
彼女たちに少し遅れて跪いた。モートンとアリサは離れた位置で控えている。ヴィースとカリス、アムはというと、さっきと変わらず、突っ立ったままだ。この三人は、人間の事情に興味ないから、まぁ、いいか。それにしても、突然、男爵に頭を下げるなんて、王族が取るような態度じゃないと思うけど。
それにしても、あまり偉い人が来ると、みんな慌てちゃうよね。突然だし。
上体を起こしたピュリスに、男爵が言葉を掛けた。
「よろしければ、屋敷の方でお寛ぎを」
「そうさせてもらおう」
そうして、お歴々の方々は屋敷に戻ることとなった。その方が助かる。アリサとモートンにも、男爵たちとともに屋敷に帰ってもらった。ピュリスもいることだし、彼らも男爵の側に控える必要がある。
「ハァ〜、驚いたよ、まさか王族とはね」
彼らの姿が見えなくなるのを見届け、水の魔石を確認することにした。魔石は既にカリスが木箱に入れて積み上げてくれている。木箱は三十箱ほどあるようだ。思っていたよりかなり量が多い。
「何個くらいあるんだろうね?」
バイドンはかなり疑っていたようだけど、やはり、ヴィースの言った通り、水の魔石は、レピ湖の底に多量に眠っていたようだ。
もう、これだけあれば王家の秘宝なんて目じゃないよ、きっと。でも、箱は、男爵やみんなの前で開けることにしようかな。
とりあえず、水の魔石の入った箱は、こっそりと屋敷の地下室にある倉庫に転移して運んでおくことにした。それにしても、ピュリスたちがやってきた時にはどうしようかと思ったけれど、男爵がうまいこと屋敷に連れて行ってくれたので助かった。もし、これだけあると知られたら、王宮に接収されかねない。
後は、浄化した魔石の方だけど……。
これの使い方ついては、しばらく保留だ。浄化したと言っても、お屋敷に運び入れるには、もう少し安全性を確認する必要がある。当分の間は、シートで覆ってこのままにしておくしかないだろう。
水の魔石の箱を屋敷に運ぶ作業は、転移魔法と浮遊魔法を使う。浜に残ったのは、僕とヴィースとカリス、そして、アムの四人だけど四人もいれば直ぐに終わるだろう。早速、作業開始。そして、終了! あっという間だ。運搬作業を終え、最後に、浜の様子を確認するために、四人で、もう一度浜に戻ってきた。みんなで並んで周囲の様子を見ていると、アムが右手をクイっと引っ張った。
「あ、あの、エリア様。カリスさんってカニ精霊ですよね。かっこいい~」
アムが、カリスばかりを見ていたのは分かっている。彼女は、強い戦士に憧れているのだ。だから、カリスが気になって仕方なかったのだろう。
「そうなんだよ。カリスはかっこいいよね」
でも、今、彼女はカニ腕を見せないようにしているようだ。それでもアムは、カリスのことをまじまじと見ている。それなら……。
「カリス、アムは山犬族の戦士なんだ。もし、時間があったら、アムに稽古をつけてやってくれない?」
そう言うと、カリスがアムに向かって言った。
「アム。私は、接近戦を得意とする。良かったら、後で、私と模擬線でもするか?」
すると、アムは大喜びで言った。
「ほ、本当ですか? ヤッター! ぜ、是非お願いしますっ!」
アムは、ジャンプして喜んでいる。しかし、カリスは、その前に用があると言って、「少しよろしいですか?」と話を始めた。
「……エリア様、実は、エリア様にお会いしたいと言う者がおりまして……」
「面白いかも!」
「続きが気になるぞ!」
「この後どうなるのっ……!」
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