097-6-2_魔石技術(挿絵あり)
097-6-2_魔石技術
浜に戻ってみると、男爵達が既に集まっていた。みんなは、僕たちを待ち構えていて、拍手をして迎えてくれた。
パフォーマンスじゃないんだけどね。
男爵やみんなから賞賛されても、ヴィースは相変わらず腕組みの姿勢で立っており、カリスは両手を腰に当て澄ました顔をしていた。二人は何事も無かったように、平然としている。
カリスも、あまり感情を表に出すタイプじゃなさそうだね。ククリナやエイルは、結構、感情が表情にも態度にも出るけどね。
エイルなら、きっと、自慢気に飛び回っていたに違いない。非物質存在もいろいろのようだ。
男爵が言った。
「良くやってくれた、エリア。これで、レピの町も魔獣に襲われることは無いはずだ。バイドンも直にやってくる。王宮騎士団にも確認しておいてもらおう。それにしても、あの黒い魔石が、これほど美しい水晶に変わるとはな」
浄化された魔石は、すっかり透明となって山のように積み上げられていた。男爵は水晶と言っているけれど、天然のものではない。しかし、見た目は水晶そのもので、それらは、十メートル四方の集積場所に、山のように積み上がっていた。
こうして見ると、結構な量があったね。
そして、そこに太陽光が当たって、先ほどまでネガティブなエネルギーを纏っていたとは思えないほど、キラキラと美しく輝いていた。
「エリア。この水晶だが、魔法の効果は残っておるのか?」
男爵は何気なくそう言った。
ああ、そうか。それは確認しておくほうがいいよね。
「ちょっと見てみるよ」
魔石を一つ拾い上げ、魔力を流してみる。しかし、特に反応は無さそうだ。
「魔法は出ないね」
しかし、ただの透明な石ということでも無さそうだ。
「男爵様。この石、もともと、何かの性質を帯びている気がするよ」
「何かの性質とな?」
「うん、ちょっと待ってね」
石を太陽光に翳して動かしてみる。
何だろう?
浄化前のこの石の機能は、魔力を流すと一種類の魔法効果が現れるというものだった。つまり、この魔石は、魔力を流すとそれぞれの石に応じて特定の魔法を発動させる。
う~ん、もしかしたら、何かの指示を記憶できるようなもの?
それなら、まるで前世で言う半導体みたいなものだね。試しに、魔力を流せばヒーリングエネルギーが発生するような図をイメージし、持っている魔石にその図を転写させることを意図して魔法をかけてみた。
そして、魔力を流してみる。すると……。
「おぉっ! ヒーリング魔法が出てるよ。効果が付与されたようだね!」
これは驚いた! この石、やっぱり、指示を記憶させることができる。これが人工魔石!? こんなものがあるのか!? なるほど、これは、凄い技術かもしれない。
ただ、やはり、魔力を止めると魔法も止まるようだ。
そこが天然魔石と違うところかな?
横で不思議そうに見ていた男爵は、興味を示すように魔石を一つ拾い上げた。
「エリア、何か分かったようだな」
「うん。この人工魔石は凄いよ。どうやら、任意の魔法効果を記憶させることができるみたいなんだ。ただし、魔力を流し続けないと効果が止まっちゃうみたいなんだけどね」
「ワシにはよく分からんが、凄い石なのだな?」
「そうだね、例えば、この石に”光る”という指示を書き込むとするでしょ、そして、なんらかの方法で魔力を流し続けると、この魔石がランプに変わるというわけさ」
「何だと? そうか。それは凄いな。これがアトラス共和国の魔石技術か。便利そうだな」
「問題は、この石に指示を書き込む方法と、魔力を流し続ける方法だね。僕なら可能だけど、それじゃぁ便利とは言えないからさ。まぁ、考えてみるよ」
そう言って、男爵も魔石を太陽に翳したり指で擦ったりしていた。それにしても、たくさんあったものだ。全部でどれほどの量があったんだろう。
「カリス、これって何本あるかって分かるの?」
「はい。約二百万本でございます」
「二百万本っ!?」
とんでもない数だ。重さにすれば、一つ五十グラムとしても百トンにもなる。よくもこれほどの数を捨ててくれたものだ。
男爵や、そこにいるみんながその本数に驚きながら感心していると、林の方から二人の王宮騎士団がやってきた。バイドンとその部下だろう。
おや? もう一人は女性だ。誰なんだ? あの人?
バイドンは、側にやってくると男爵に声を掛けた。
「お待たせしました。ボズウィック男爵様」
彼はそう言うと、部下とみられる女性の方が、バイドンより前に出て、先に敬礼してから軽く男爵に会釈をした。それに続いて、バイドンが敬礼を行った。
あれ? この人、もしかして偉い人なのかな?
「これはこれは、ピュリス様! お久しぶりでございます。しかし、何でまたピュリス様がこのようなところにわざわざいらっしゃったのでございますか?」
「ボズウィック男爵。久しぶりだ!」
すると、ローラ夫人がカーテシーをしてピュリスに挨拶をした。それを見たイリハとラヒナも同様にカーテシーを行った。僕もやった方がよさそうだ。イリハとラヒナに遅れないよう、カーテシーをして彼女に挨拶をした。もちろん、アムに、ヴィース、そして、カリスは挨拶などしない。
「……連絡もせずに突然訪れて申し訳ない。今、騎士団の各支部を巡回していてな、昨日、レピ湖の出張所に着いたばかりなのだが、バイドンからレピ湖の件の報告を受けたので少し様子を見に来たまでだ」
何だか、男爵よりも上から目線で会話をするね。やっぱり偉い人そうだ。一体どんな人なんだろう?
イリハにこそっと聞いてみると、イリハも見たことないと言った。すると、ローラ夫人が耳打ちして教えてくれた。
「このお方は、公爵様のご息女、ピュリス・ディア・クライナ様ですよ……」
「え? 王族?」
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ボズウィック男爵。久しぶりだ!
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