069-4-18_ローズ家の会計責任者
そう言って、ホルトラスの言葉を遮った。彼の言うことも分かるけれど、対策もなく農民に伝えれば、混乱しか起きない。とりあえず、調査を進めるしかないけれど、ここは、僕がやるしかないだろう。
というか、僕がやりたい! だって、冒険の匂いがするからね。
「村長さん、ホルトラスさん、種の浄化方法がまだ見つからないのに、先にみんなに言っちゃえば不安を煽るだけだよ。もしかすると、種まきを諦める人も出てくるかもしれない。だから、今日、寄合までに、出来る限りのことをやってみようよ。それで、寄合の時に、ちゃんと説明すればいい。まずは、神池の様子を見に行かないとね」
そう言って、「神池の調査は僕に任せて」と付け加えた。すると、村長が、神妙な顔をして言った。
「エリア様と言いなさったか。大丈夫かのう? まだ、そんなに小さくて、しかもオナゴのあんたに。魔獣に出くわせば丸呑みされそうじゃがなぁ?」
そう言って、彼は、眉を寄せた。
オナゴだって、結構、強いんだからねっ!
村長の言葉を聞いてホルトラスが、村長を説き伏せてくれた。
「村長殿。エリア様なら心配ないじゃろう。詳しくは言えんが、このお方はワシを救ってくださった方なのじゃ……」
村長は、まだ心配そうにしていたが、ホルトラスがそこまで言うなら、としぶしぶ承諾したようだ。そして、村長はぽつりと呟いた。
「女神様でも現れてくれんかのう?」
069-4-18_ローズ家の会計責任者
そう言って、ホルトラスの言葉を遮った。彼の言うことも分かるけれど、対策もなく農民に伝えれば、混乱しか起きない。とりあえず、調査を進めるしかないけれど、ここは、僕がやるしかないだろう。
というか、僕がやりたい! だって、冒険の匂いがするからね。
「村長さん、ホルトラスさん、種の浄化方法がまだ見つからないのに、先にみんなに言っちゃえば不安を煽るだけだよ。もしかすると、種まきを諦める人も出てくるかもしれない。だから、今日、寄合までに、出来る限りのことをやってみようよ。それで、寄合の時に、ちゃんと説明すればいい。まずは、神池の様子を見に行かないとね」
そう言って、「神池の調査は僕に任せて」と付け加えた。すると、村長が、神妙な顔をして言った。
「エリア様と言いなさったか。大丈夫かのう? まだ、そんなに小さくて、しかもオナゴのあんたに。魔獣に出くわせば丸呑みされそうじゃがなぁ?」
そう言って、彼は、眉を寄せた。
オナゴだって、結構、強いんだからねっ!
村長の言葉を聞いてホルトラスが、村長を説き伏せてくれた。
「村長殿。エリア様なら心配ないじゃろう。詳しくは言えんが、このお方はワシを救ってくださった方なのじゃ……」
村長は、まだ心配そうにしていたが、ホルトラスがそこまで言うなら、としぶしぶ承諾したようだ。そして、村長はぽつりと呟いた。
「女神様でも現れてくれんかのう?」
ここにいるよっ!
その後、ホルトラスは、彼の用事である村長との話を済ませ、教会に戻ることにした。ホルトラスに、畑に連れてきてもらったおかげで、小麦の不作の原因を知ることができたのは大きな収穫だ。
教会への帰り道、ホルトラスが、村長の呟いた言葉の意味を語ってくれた。
「エリア様、村長だけじゃなく、村のもんはみな、女神様をとても大切に思うとるんですじゃ。この地域は、先祖代々、女神ガイア様を信仰しておりましてな、村長がああいう言い方をされよったのには、半分冗談じゃが、もう半分は彼らの本心からの願いでもありますじゃ……」
ホルトラスが言うには、この地には、久しい昔に、女神がこの地に訪れて、広大な未開の森をその御業で畑に変えたという言い伝えが残っているとのことだ。
へぇ~、凄い力だね。正に豊穣の女神だ!
「ほんに、女神様がいらっしゃって下されば嬉しいんですじゃがな」
そう言って、ホルトラスは笑顔で僕を見た。
意味ありげだね、その顔。それにしても、神池の蛇神かぁ。どんな存在なんだろう?
さて、もうそろそろセシリカという使用人が来ているかもしれない。そして、教会に到着すると、早速、ホルトラスとともに扉を開けて中に入った。
教会に入ると、祭壇の前で知らない女性が跪き、ラヒナをギュッと抱き締めている。そして、ラヒナのエインセルが二人の周りをぐるぐると飛び回っていた。ヴィースは腕組してその様子を見ている。
「誰だろう?」
するとホルトラスが、「セシリカ様!」と声をかけた。
ああ、セシリカってやっぱり女性なのか。名前からしてそうだと思ったけど。それにしても、長いハグだったな。久しぶりにラヒナ会ったのか?
セシリカはホルトラスに呼びかけられると、そっとラヒナを離し、祭壇の前から床に降りて大きく腰を曲げお辞儀をした。すると、ホルトラスが下がって僕から離れた。彼女は、僕の前まで歩み寄ると、今度は片膝を立て跪き、僕の両手を取って言った。
「あなた様がエリア様でございますね。私はローズ男爵の秘書をしているセシリカと申します。ただいま、ラヒナ様から、エリア様は女神様だと伺いました。ラヒナ様のお耳を治療していただき、なんと感謝を申し上げれば良いか……。すばらしい治療魔法をお持ちなのですね」
セシリカはとても理知的な印象の女性だ。それに、動作が洗練されていて、こちらを気持ちよくさせる。
さすが、ローズ家の会計責任者だな。
とは言え、まだ若そうだ。年齢は二十歳前後と言ったところだろう。
「たまたま僕の父さんが同じ病気だったから出来ただけだよ。ラヒナも頑張り屋さんだから女神様がご褒美くれたんじゃない?」
父さん、また出汁に使ってごめんなさい。
セシリカをよく見ると、彼女はフチが青いメガネをかけており、グレーのスーツに白のブラウスを着ていた。スカートは膝上丈でタイトになっている。化粧は控えめで、背はそれほど高くはないが、全体的にスマートな体形だ。
インテリ系の美人さんだな。でも、彼女、少し疲れているね。手も荒れていたし。
そして、セシリカは、僕のチョーカーを見つめて言った。
「エリア様も奴隷だったのでしょうか?」
彼女は少し目を細め、憂いのある顔をした。
エリア様も、って言ったよね。何か思うところがあるんだろうね。
セシリカには、よく似た首輪をしているけれど、今は奴隷ではないことをした。そして、忙しいところ早めに来てもらったことに礼を言った。
「悪かったね。お仕事いっぱいあるんでしょ?」
すると、セシリカは髪の毛を右手でかき上げると、メガネのずれを直して言った。
「大丈夫です。お屋敷にいれば息が詰まりそうなので、時間を作って、わざと早く参りました。今、お屋敷は、王宮騎士団の詰め所になっていて、彼らの品のない振る舞いも、目に余りますので……」
セシリカの話では、彼らは、二年以上屋敷に駐留しているけれど特に業務を行うでもなく、ローズ男爵の使用人をこき使っているらしい。そして、無理な要求を突きつけ、時には昼間から酒をあおり、日々、無駄な時間を過ごしているということだった。特に酷いのは、詰め所の隊長を務めるレックスという男の振る舞いらしい。セシリカによれば、レックスは四十代後半で、王宮騎士団本部の階級としては班長だという。しかし、本部の班長クラスが地方の詰め所に派遣されれば、隊長や副隊長を任命される慣習があるようだ。そして、レックスはその権力を振るい、横暴極まりない態度でローズ家の女使用人に手を出そうとする。セシリカも、レックスから妾になるようしつこく迫られていると言った。
王宮騎士団って、ゴロツキ集団か?
「はぁ~~~」
セシリカは、大きくため息をついた。
無理もない。いくら優秀と言っても彼女の若さで、男爵家再興のための資金集めや領地運営をこなしているのだから。その上、王宮騎士団のゴロツキ連中の相手までとは、僕ならとっくに投げ出しているところだ。
セシリカは、椅子に座って話そうと言って長椅子を差し示し、僕が腰掛けてから自分も座った。ラヒナも彼女の隣にちょこんと収まった。そして、セシリカが質問する。
「あの、こういう申し上げ方は大変失礼と存じますが、エリア様はどうしてラヒナ様のお耳を治療してくださったのでしょうか? 私への御用というのも、どのような?」
そうだね、何から話そうか。
「まずは、僕の事だけど、僕はボズウィック男爵家の者なんだ。それで……」
セシリカには、昨日、ホルトラスから返してもらったボズウィック家の家紋入りハンカチを見せた上で、レイナードの話を出し、「ライラさんを無事に救出するためなんだ」と言った。それを聞くと、セシリカは真剣な眼差しになり、僕の目を真っすぐ見つめて言った。
「エリア様は、どこまでご存じなのですか?」
「面白いかも!」
「続きが気になるぞ!」
「この後どうなるのっ……!」
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